精神障害者の職場定着、絶対に必要な体調管理のポイントとは?

精神障害者の職場定着、絶対に必要な体調管理のポイントとは?

2018年09月22日 | 障害者枠で働く

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近年、働く障害者のなかで精神障害者の比率が増えています。精神障害者の雇用が進展しており、これからも精神障害者の雇用拡大や雇用継続はますます進むものと考えられます。

しかし、一方で、精神障害者の雇用は長く続かないとも言われています。もちろん他の障害種別と比べると、確かに雇用継続が難しいケースもありますが、ある一定の期間をすぎれば、安定的に働く精神障害の方もたくさんいます。

精神障害のある人が就労し、仕事を続けるために、体調管理や生活習慣としてどのようなことに気をつければよいのか、そのポイントについて見ていきたいと思います。

何よりも体調管理が大切

精神障害のある人が、働くうえで課題と感じていることの1つに、体調や気分に波があり、勤務状況が不安定になることがあります。疲労やストレスがたまると、体調不良として現れてしまい、それが勤務に影響を与えてしまうのです。

そのために仕事の能力に問題はなくても、体調不調から仕事を休みがちになり、長期欠勤が続き、退職に至ってしまうというケースは少なくありません。そうならないためには、自分自身の特性や疲労やストレスの原因を把握し、管理しておくことが大切です。

病気とどのように付き合っていくのを自分の体調と相談して、調子が悪ければ早期に適切なケアをすることによって、長期休養をとらないでもすむようにすることができます。そのためにも、自身の体調管理と、それを含めた習慣づくりを、日ごろから意識していくようにするとよいでしょう。

自己理解を深める

そのために必要なことは、自己理解を深めることです。自己理解を深めるには、どのようなことをすればよいのでしょうか。

まずは、自分の障害特性や病状、ストレスのサインを理解することです。自分をよく知らなければ、どのように対応してよいかがわからないからです。そして、自分の特性やストレスのサインがわかってきたら、普段よく接する職場の上司や支援機関などの支援者と情報共有することです。このような情報共有ができていると、周囲の人も早めにサインに気づくことができ、配慮してもらえるなど、働きやすい職場環境づくりに役立てることができます。

自分の障害特性や病状、ストレスのサインを理解するには、こうした状況を共有するために、「気になることを書きとめておく」、「人に話して伝える」といった習慣づくりも大切になってきます。では、どのように行えばよいのでしょうか。

例えば、精神障害の就労を長年サポートしてきた桜ヶ丘記念病院では、IPS(Individual Placement and Support)と呼ばれる個別就労・就学支援プログラムを活用することによって自己理解を深めることを行っています。

※ IPS(Individual Placement and Support):精神障害のある人の科学的根拠に基づく援助付き雇用モデルです。本人の興味、関心などのストレングスに着目し、多職種チームアプローチなどを特徴としています。

「キャリアプロフィール」

自己理解を深め、面談などで職場にうまく伝えるのに役立ちます。

・仕事に対する希望「仕事に対してどんな希望がありますか?」
・働きたい動機「なぜ働きたいと思いますか?」
・仕事でのプラスの体験「仕事でよくできたことはありますか?」
・薬による副作用「薬の副作用はどんなことがありますか?」
・能力・適性「ほかの人はあなたが得意なことは何だといいますか?」

「私らしさを保つために」

以下の項目について書き出しておきましょう。サイン(信号)については、周囲の人と共有しておくことで、早めに気づいてもらうことにも役立ちます。

・私の夢・大切にしていること
・私のサポーター
・私の元気が出る「道具箱」(例:好きな音楽を聴く、おいしいものを食べる、など)
・ストレスとなりうるもの
・ストレスとなりうるものへの対処法
・私の青信号
・私の黄色信号
・私の赤信号
・青信号のめやす(例:スムーズに作業をこなせている、など)
・黄色信号のめやす(例:落ち着きがなくなる、整理整頓ができなくなる、など)
・赤信号のめやす(例:遅刻や欠勤をする、など)

出所:「精神障害者の体調管理と習慣づくりVol.1」働く広場 2018年8月号

これらを実際に書くことによって、自分の思いをまとめたり、改めて考えることによって、自分を重視し、働きたい、学びたいという精神障害本人の思いを社会参加という形で実現できるようにチーム体制でサポートしています。

このような自己理解シートは、自己理解を深めるための取扱説明書やナビゲーションブックなどとして、就労移行支援事業所や研究機関からいくつか出されていますので、自分にあったものを使ってみてください。

ストレスのサインを把握

自分がどのようなことにストレスを感じるのか、原因を考えてみます。例えば、精神障害のある人は、安定しているときは仕事もスムーズに問題なくこなせますが、疲労やストレスが溜まると「緊張してイライラする」、「混乱して集中できない」といった状態に陥ることがよくあります。

このような不調は突然起こるものではなく、不調を引き起こす前には「ストレス・サイン(黄色信号)」が出ることがよくあります。このサインは人それぞれですが、「部屋が汚くなる」、「お酒の量が増える」、「外出が億劫(おっくう)になる」、「視線が下がる」、「悩みごとをずっと考えてしまう」、「メールの返信をしなくなる」などといったことが見られます。

このほかにも、作業手順や、仕事にとりかかる前の決まった作業(ルーティン)など、自分なりの習慣を気にしてみるのもよいでしょう。体調によって「同じ作業を行っているが負担に感じる」、「やり忘れる」、「手順を間違える」など、いつもと何かが違うと感じる場合、自身の変化に気づくための、ひとつの「目安」にすることができます。

また、自分でサインが見つけられないときには、家族や医師、支援者などのアドバイスを聞いて、自分のサインを見つけられるかもしれません。

このようにして自分のサインを把握しておくならば、自分でコントロールしやすくなります。そして、自分のサインを他のサポートしてくれる人にも伝えておくと、早めに対応ができるでしょう。誰かに相談したり、頼ることは決して恥ずかしいことではありません。困っているときに「助けて!」ということはとても大事です。ストレスが溜まっている可能性を考え、原因や対応について早めに職場や医療機関に相談してください。

通院と服薬について

体調管理のうえで、通院・服薬はとても大切です。通院の間隔は人それぞれですが、「仕事内容が変わった」、「部署を異動した」など、職場環境が変わったときや、新しいことにチャレンジするようなときは、通院するときに、そのような状況を報告することも必要です。

医師は、職場での患者の様子を見る機会がありません。「どのように仕事をしているのか」、「どんな気分か」、「何が気になっているのか」などは、精神障害本人の話からしか推測できません。少しでも多くの情報を伝えておくことは、治療やサポートに役立ちます。

医療機関のところで「できます」とアピールをすることは、ほとんど意味がありません。それより実際に困っていること、悩んでいることを伝えたほうが、より適切な対応やサポートにつながります。

また、就業中に、薬の副作用によって「頭がボーっとする」という人がいます。自己判断で薬の量を減らしたり、中断する人がいますが、病気の再発につながる恐れがあるので絶対にやめましょう。このような場合も、そうした症状を我慢するのではなく、遠慮せずに医師に相談し、眠気やだるさが出にくい薬に変えてもらう方法もあります。

また、薬のせいではなく、精神症状として頭がボーっとしたり、意欲が出なかったり、動作が鈍くなったりする場合もあります。体調や仕事中の気分で困っていることがあれば、自分で判断せずに、きちんと医師に相談するようにしましょう。

上手くいかなければ、調整してまたチャレンジすればよい

精神障害のある人は日常生活や仕事において、自分の頭のなかで「私には無理なのではないか」と最初から結論を出してしまうことがあります。それによって「状態がよくなるチャンス」を失うこともあります。

もし、仕事で失敗したり、うまくいかないことがあれば、そのときに学んで、次を工夫すればよいだけです。また、実際に取り返しのつかないような失敗というのは現実には少ないものです。人間は失敗することや、働くことを含めていろいろな経験をすることから、たくさんの学びや今後のためのヒントが得られるものです。

まとめ

精神障害のある人が就労し、仕事を続けるために、体調管理や生活習慣としてどのようなことに気をつければよいのか、そのポイントについて見てきました。

まず、自分の病状などを職場にうまく伝えられるよう、キャリアプロフィールなどを活用し自己理解を深めることが大切です。そして、自己理解とともに体調の波やストレスのサインを認識し、原因と対処法を把握しましょう。できれば、ここで考えたことを周囲のサポートしてくれる人たち、職場や医療機関、家族などにも共有するとよいでしょう。理解してもらいやすくなりますし、周囲もサポートしやすくなります。また、体調に変化が出た場合、自己判断しないで、必ず医療機関に相談するようにしてください。

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