一見、普通の人、むしろ人に負けない優れた部分を持っている場合も多いけれど、少し変わった言動があったり、会話がかみ合わなかったりするため、ちょっと変わっている人とみなされてしまうことが多いのが発達障害です。
発達障害の人は、脳機能の偏りの結果、多くの場合、いろいろな社会的不適応を起こしてしまうことがあります。その苦手さを補ってストレスの少ない社会生活を送るためには、本人はもちろんですが、周りの人が発達障害を正しく理解することが欠かせません。
最近は、発達障害の雇用も進んでいます。発達障害の職場定着に欠かせないサポートと周囲の理解・協力について見ていきたいと思います。
頑張っても失敗してしまう挫折感が生きにくさにつながることがある
周りからどのように見えようと、発達障害の人たちは、苦手さを解消しようと頑張っていることがほとんどです。それでもうまくいかないことが多くあります。
もし、本人が発達障害であることを知らず、失敗は自分からの問題と思い込み、周囲からも怠け癖や努力不足のせいで少しも改善させられないと誤解したままだと、どうなるでしょうか。その結果として、うつ病や依存症などの二次障害や引きこもりにつながってしまうケースも少なくありません。
一方、発達障害の診断を受けた人は、その特性を理解した上で、苦手さをどのように解消できるかを一緒に探っていくことができます。大人になって発達障害がわかった人の中には、できないことや苦手さの原因が発達障害であることがはっきりして、自分の怠けや努力不足ではないことがわかり、ホッとしたという人も多くいます。
では、周りの人がフォローしたいと思ったら、どのようにすればよいのでしょうか。サポートしたいという気持ちはあっても、多くの人はどのように対応したらいいのかわからないという声も聞きます。そこで、社会生活で発達障害の人が苦労しやすい場面で、周りの人が多い人をサポートするための方法や考え方を具体的に見ていきたいと思います。
発達障害の特性から生じる苦手さを知る
まず、発達障害についての正しい知識と特性から生まれている苦手さを知ることが大切です。
発達障害の人は、言語能力、集中力、発想力、記憶力などが定型発達の人と違うことがあります。そのために、一般的には、理解しにくい状況がでてきて、生きにくさに繋がる原因となっています。これを理解していない周りの人が見ると、誤解や無理解、偏見、先入観へとつながってしまうことになります。
発達障害の理解者は、近くにいる職場の人や、家族や支援者です。そして、発達障害の人の生きにくさからサポートできるのも、周りの人の理解と協力です。
社会的には、まだ発達障害について知られていないため、多くの場合、理解不足のことが少なくありません。苦手さを理解することで、それを補う方法を見つけたり、周りの人も理解することで、サポート方法や彼らの優れた能力に目が向くようになります。
発達障害の人たちが、社会で生きていく中で一般的な社会の中のズレの理由がわからず戸惑っていることが少なくありません。発達障害を理解した上で、ちょっと違っている視点があるとしても、敬遠しないで受け入れていくことが求められます。
発達障害の人が働くときに感じるストレスとは?
社会に出る、仕事を始めるということは、環境が変化し、新しい状況になることを意味します。学生時代のときは、気の合う人とだけ付き合えばよかったかもしれませんが、社会人となると、そうもいきません。
社会人には、社会性やコミュニケーション能力が求められるからです。これは発達障害の有無にかかわらず誰にとっても同じですが、発達障害の人にとっては特に苦手とする状況が日常となっていることを周囲の人は理解する必要があります。
社会人になってから、仕事や人間関係で大きな悩みを持つようになったと言う人が、発達障害では多く見られます。そして、周りとの軋轢がその悩みをさらに深刻なものにしていき、二次障害などが現れると、その状況はますます悪化します。
周りのサポートで必要なことは、どのような苦手さがあるのかを発達障害の本人と確認した上で、職場や社会生活への不適応を解消する方法を考えることです。発達障害者のいる職場では、その特徴を理解するとともに、発達障害の人が社会に出て働くことの大変さも理解してフォローすることを心がけましょう。
発達障害本人が社会の行き詰まりや生きにくさを克服するためには、職場はもちろん、家族などの身近な支え、医療機関等の対応、学校の理解、福祉機関などの支援が必要になります。周りがサポートして、本人を孤立させないことが大事です。社会への橋渡しを上手につなぐことが大切です。
周囲のサポートは強いフォローになる
独特の行動や社会性のさまざまな問題から、劣等感や不安などに陥った発達障害の人にとっては、周囲の理解やサポートは不安を和らげるとともに、強いフォローとなります。
サポートとしては、役割分担をすることができます。例えば、得意なことは、ルールがはっきりしていること、苦手なことは集中力のいることなどとリストアップをして、不得意部分を引き受けることから始めてみましょう。
苦手とすることの多いコミュニケーション、生活リズムの自己管理等は、ルールを作ったり、話しやすい場所や時間を設けてサポートすることで、本人がひとりで抱え込っだり、孤立しなくてもすむことができます。
動画の解説はこちらから
まとめ
発達障害の職場定着に欠かせないサポートと周囲の理解・協力について見てきました。
まず、発達障害についての正しい知識と特性から生まれている苦手さを知ることが大切です。そして、どのような苦手さがあるのかを発達障害の人と確認した上で、周りのサポートとして社会生活への不適応を解消する方法を考えていきましょう。
また、社会の行き詰まりや生きにくさを克服するために、職場のサポートに加え、家族、就労支援機関、医療機関、学校、福祉機関などの支援も有効的です。
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