全国に障害者就労支援サービスを行なっている就労移行支援事業所がありますが、一言で就労移行支援事業と言っても、その事業所ごとに特色があります。
そんな中でITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」が11月に秋葉原にオープンしました。運営する会社は、パーソルホールディングス株式会社の特例子会社であるパーソルチャレンジ株式会社です。この会社では、障害者雇用支援事業を手がけています。
「Neuro Dive(ニューロダイブ)」とはどのような就労移行支援事業所になるのか、このような事業所ができた背景などについて見ていきます。
IT特化型就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」とは
『Neuro Dive』は、人工知能(AI)や機械学習、データサイエンスなどの先端IT領域で障害者の職域拡大を目指した就労移行支援事業所となります。
就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいて提供される福祉支援サービスの1つで、65歳未満の身体、知的、精神障害または難病があり、企業への就職を希望している人が対象となり、就職に関する相談や必要なスキル訓練などを受けられるサービスです。最長2年間、利用することができます。
「先端ITを学べる就労移行支援事業所」としては国内初めてとなるそうで、AI・機械学習やデータサイエンスなどの先端IT領域における障害者の職域拡大と活躍を支援していくことになります。
障害者雇用状況とIT領域の人材不足の課題解決になるか
「平成30年障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)によると、民間企業の障害者雇用率は、法定雇用率2.2%に対し、実雇用率は2.05%となっており、達成している企業の割合は45.9%となっています。
出所:「平成30年障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)
そんな中で、法定雇用率は2020年度末までに2.3%へ引き上げることが予定されており、企業にとっては障害者雇用の拡大は常に考えておく必要があります。とはいえ、社内で切り出せる業務は切り出した感がある企業も少なくありません。そこで、今まで障害者雇用していた仕事内容だけでなく、新たな業務開拓が必要となっています。
一方で、人材市場では産業構造の変化により、IT人材の必要性が高まっています。
AI やビッグデータを使いこなし、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化を通じて生産性向上等に寄与できる IT 人材の確保が重要となっている。
一方で、少子高齢化が進む中、人材確保が難しくなっていることに加えて、技術進展が 進む IT 分野では、需要構造が変化し、人材に求められるスキルや能力が変化するため、需要構造に対応した IT 人材を確保していくことが求められている。
出所:IT 人材需給に関する調査(みずほ情報総研株式会社)
経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、2019年をピークにIT人材の供給数は減少することが予想されており、2020年時点では約30万人、2030年には需要に対して59万人(中位シナリオ)の不足が見込まれています。
出所:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(経済産業省)
このような2つの課題を解決して、先端IT領域において障害者の新たな職域拡大や活躍する機会を創り出そうとすることが背景にあります。
どのように人材育成や就職へ結びつけるのか
Neuro Dive(ニューロダイブ)では、オンライン動画学習サービス「Udemy」を活用し、データサイエンスやビジネスデータ分析、データ可視化といった先端IT領域のスキル習得を図るようです。
「Udemy」は2009年にアメリカで設立されたオンライン動画学習のプラットフォームサイトで、日本の運営はベネッセが行っています。会員制のサイトでアカウントを作ることによって学習動画を見ることができます。
また、キャリアコンサルタントとITに詳しいスタッフを配置し、一人ひとりの特性や意向に合ったスキル習得計画を立て、支援を行っていきます。利用者を採用した企業には、卒業生一人ひとりの特性や能力、必要な配慮やマネジメントのポイントなど、持っている能力を活かして長く活躍できるための情報提供やアドバイスも行なっていくそうです。
出所:国内初、先端ITを学べるIT特化型就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)™」 11月1日開設 労働力不足が深刻な先端IT領域で、障害者雇用の職域拡大・活躍を支援(PERSOL HOLDINGS)
まとめ
ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」がスタートしました。「先端ITを学べる就労移行支援事業所」としては国内初めてとなるそうで、AI・機械学習やデータサイエンスなどの先端IT領域における障害者の職域拡大と活躍を支援していくことになります。
発達障害に向いている仕事ととして、ある程度合理的に仕事が進んでいくことや、正しいか正しくないかがはっきりしている職種があげられることがあります。IT関連の技術者(プログラマーやWEBエンジニアなど)はこのような条件に合い、また自分のペースで黙々と作業の出来ることから、適性を活かせる仕事の1つと言われています。集中力や持続力を生かして能力を発揮することも珍しくありません。
IT・WEBスキル習得特化型の就労移行支援事業所はすでにいくつかありますので、それらの就労移行支援事業所とNeuro Dive(ニューロダイブ)の違いや、実際の就職に直接どれくらい結びつくのか引き続き情報収集していきたいと思います。
就労移行支援事業所
障がいのある方への就労移行支援【パーソルチャレンジ・ミラトレ】
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