障害者雇用で起こりやすい職場トラブルとは? 企業が備えるべき対策

障害者雇用で起こりやすい職場トラブルとは? 企業が備えるべき対策

2025年02月3日 | 企業の障害者雇用

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法定雇用率の引き上げや、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進の流れを受け、多くの企業が障害者雇用に取り組んでいます。しかしながら、実際の職場では障害者雇用に関するトラブルが発生するケースも少なくありません。

「採用したものの、求めている業務ができない」
「指示した内容と全く違うアウトプットを出してくる」
「同僚や上司とのコミュニケーションが難しい」
といった悩みを抱える企業も多いのが現状です。

こうしたトラブルは、障害者本人の能力不足が原因とは限りません。企業側の職場環境の整備不足や適切なマネジメントができていないことが要因となることもあります。

今回は障害者雇用で起こりやすい職場トラブルの種類と、企業ができる予防策について解説していきます。

企業の障害者雇用でよくあるトラブル

障害者雇用を進める中で、企業が直面しやすいトラブルにはコミュニケーションの行き違い、業務遂行の難しさ、人間関係のトラブル、体調不良やメンタルヘルス問題などがあります。

これらのトラブルは、企業側が適切な環境整備や対応を行うことで未然に防ぐことができることがあります。それぞれのトラブルの具体例と、企業が取るべき対策について見ていきます。

コミュニケーションの行き違い

障害者雇用では指示の伝達や情報共有の仕方に問題があると、業務の進行に支障が出ることがあります。特に、口頭指示が苦手な障害者も多く、指示の出し方を工夫することが重要です。

一般的に私たちは情報を入手するときに視覚的に目で読むこと、聴覚的に耳で聞くことで取り入れています。あまりどちらかを意識することは少ないのではないでしょうか。しかし、障害のある人の中には、この情報の入手の方法のどちらかが極端に苦手という人がいます。

例えば、説明したときには「わかりました」と返事するのに、後から確認すると、指示したことをほとんど覚えていなかったり、やらないようにと注意したことをその通りに行ってしまっているなどです。このような場合、耳から入った情報が記憶に残りにくい可能性があります。口頭の指示だけでなく、メモやメールなどで確認できるようにしておくとよいかもしれません。

逆にLDなどの文字を読むのが苦手な場合には、マニュアルなどを自分で読んで理解するのが難しいこともあります。口頭で解説したり、直感的にわかりやすい視覚的に整理されたフローチャート・チェックリストを活用することができるかもしれません。
また、業務の認識のずれを防ぐためにフィードバックの機会を定期的に設けるようにします。特にはじめての業務などは、初期段階でチェックすることにより、求めている業務と違った方向に進むことを防ぐことができます。

業務遂行が難しい

障害者が業務を遂行する際に、「何を」「どのように」「いつまでに」やるべきかが明確でないと、納期遅れや業務ミスにつながることがあります。また、業務中に困ったことがあっても、相談できないまま問題が放置されてしまい、仕事が遅れてしまうことがあります。

このような場合には、タスクの優先順位を明確にし、業務の可視化を徹底します。タスク管理ツールを活用したり、ホワイトボードなどに業務の進捗状況や締切がすぐにわかるようにしておくなどです。

ルーチンワークでミスが多発するような場合には、手順が複雑な場合があります。「1日のスケジュール」や「業務フロー」を明文化し、業務管理ツールで現在の状況がどこなのかがわかるようにします。業務進捗を報告する仕組みがないのであれば、定期的な進捗確認の場を設け、課題を早期発見できる体制を整えます。

職場内の人間関係のトラブル

障害者雇用では、本人と同僚・上司との関係がうまくいかず、職場の雰囲気を悪化させてしまうことがあります。例えば、ASD(自閉スペクトラム症)の社員が、自分の感じたことをそのまま口にしてしまい、職場の雰囲気や人間関係を悪くしてしまうなどです。

このような場合には、周囲の社員が障害の特性を理解していないと、周囲の人は距離をおいたり、障害者当事者が孤立してしまうことがあります。そのため特に一緒に働く人には、どのような特性があるのかを知ってもらい、問題のある言動があったときの対応方法を確認しておくことが必要です。

自分の周りの状況や他の人の行動を見ながら気づいたり、学習することは苦手な人も多いですが、理由を説明して教えると理解することがほとんどです。具体的にどのような言動が問題だったのか、そして望ましい言動を教えていくとよいでしょう。

トラブルを未然に防ぐために企業ができること

障害者雇用を円滑に進めるためには、トラブルが発生してから対応するのではなく、事前に適切な準備と環境整備を行うことで、トラブルを回避しやすくなり、問題が起こっても早めに解決することができます。企業が取り組む3つの点について解説します。

(1) 事前の準備と環境調整
まず、求める業務への適性があるか、職場の雰囲気に馴染めるのかを確認することが大切です。採用してから適性を見極めるという方法は、新卒の総合職以外ではおすすめしません。業務を遂行できるスキルや能力があるのか、またそれに対するスピードやクオリティがあるのかを確認します。

これを採用前に把握するためには、実習(インターンシップ)を行うことが有効的な方法です。業務をどの程度クリアしていれば採用と判断するのかは、事前に基準を設けておくとよいでしょう。業務の流れやポイントなどは、マニュアルやチェックリストなどを活用し、一人で業務ができるような仕組みづくりをしておくことも必要です。

実習(インターンシップ)は、実際に雇用するときと同じシチュエーションで行うことが大事です。ただ体験として行うのではなく、仕事内容、勤務時間、一緒に仕事をする同僚、職場環境なども同じにしておくことで、実際の職場のイメージにぐっとリアリティ感が増します。企業では適性や働く準備が整っているのかを見極めやすくなりますし、当事者もその職場で長期的に働けそうかなどを判断しやすくなります。

(2) 適切なマネジメントの実践
障害者が職場で安定して働くためには、業務の進め方を標準化し、本人が自立して業務を遂行できる体制を作ることが大切です。管理職やチームリーダーが適切なフィードバックを行い、業務の進捗を適切に管理することで、トラブルを防ぐことができます。

・業務の進め方を標準化し、障害者本人が自立して業務できる体制を作る
業務マニュアルの作成やフローチャートを活用し、業務の手順を分かりやすく整理したり、作業の進捗を見える化し、一人で進められる仕組みを作ることができます。

・ 管理職やチームリーダーが、適切なフィードバックを行う習慣をつける
定期的なフィードバックを通じて、仕事の進め方や課題を確認し、必要に応じて業務調整を行ったり、1on1ミーティングなどを活用し、業務に関する相談の機会を設けます。

・チェックリストやタスク管理ツールを導入し、業務の見える化を図る
ToDoリストやタスク管理ツールを活用し、業務の進捗が一目で分かるようにします。進捗確認の仕組みを整え、トラブルが発生する前に対策を打てるようにしていきます。

(3) 柔軟な対応とサポート体制の強化
障害者の雇用を継続し、安定して働き続けられる環境を提供するためには、企業が柔軟に対応できる仕組みを整えておくことが重要です。体調不良やメンタルヘルスの問題が発生した際に、スムーズに対応できるように事前準備をしておくことで、大きなトラブルを回避できます。

・体調不良時の対応フローを事前に策定し、トラブル発生時に適切な対応ができるようにする
体調不良やメンタルヘルスの問題が発生した際に、どのように対応すべきかを社内で情報共有し、管理職や同僚が適切に対処できるようにします。産業医や社内相談窓口と連携し、早期対応ができる体制を構築しておくとよいでしょう。

・必要に応じて、在宅勤務や時短勤務など柔軟な働き方を提供
通勤が負担となる場合や、体調に波がある場合には、在宅勤務や時短勤務を活用し、柔軟に対応することができます。業務のオンライン化を進め、リモート環境でも業務が遂行できる体制を整えておくとよいでしょう。

・産業医やジョブコーチと連携し、職場定着を支援
産業医と連携を取ることも大切です。特に精神障害の場合には、現場だけで判断せずに医師の診断やアドバイスを参考にするとよいでしょう。必要な場合にはジョブコーチを活用し、職場環境の調整や業務遂行に関するアドバイスを受けられる体制を整えます。ジョブコーチは、障害者職業センターに依頼することができます。障害者本人が働きやすい環境を作ることは、長期的な雇用の安定につながります。

まとめ

障害者雇用において職場で発生しやすいトラブルには、コミュニケーションの行き違い、業務遂行の難しさ、人間関係の問題、体調不良やメンタルヘルスの課題などがあります。これらのトラブルは、障害者本人の能力不足ではなく、企業側の環境整備やマネジメントの工夫によって防げる場合が多いです。
トラブルを未然に防ぐためには、採用前の適性確認や業務マニュアルの整備、タスク管理の可視化、定期的なフィードバックの実施が重要です。また、障害の特性を周囲に理解してもらうことで、職場内の人間関係の摩擦を減らすことができます。さらに、体調不良時の対応フローを整えたり、在宅勤務や時短勤務といった柔軟な働き方を取り入れることで、長期的に安定した雇用環境を実現できます。
障害者雇用は、適切な準備とサポート体制の構築によって、企業にとっても障害者本人にとってもプラスになる仕組みを作ることが可能です。障害者雇用を機会として、どのようにすると社内の働きやすい環境を整えることができるのかを考えるきっかけとすることもできます。

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