東京都は22日、都内の老人保健施設に勤める60代の男性職員が、新型コロナウイルスに感染したことを発表しました。日を追うごとにコロナウイルス感染者が増えています。
企業ではどのような対応をしていけばよいのでしょうか。
厚生労働省が、社会福祉施設等に送っている事務連絡などから、企業で新型コロナウイルス対策としてできることを見ていきたいと思います。
社会福祉施設等の新型コロナウイルスへの対策は
社会福祉施設等では、新型コロナウイルスへの対応について、当面の考え方として「社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応について(令和2年2月13日厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 ほか連名事務連絡)」に基づき対応するように連絡をしています。
これによると、次のような対応をするようにすすめられています。
新型コロナウイルスについては、日々状況が変化しているため、必要に応じて、最新の情報や追加的な留意事項を提供する場合がございます。
対応に当たっては、社会福祉施設等の職員が新型コロナウイルスについて正しい認識を持つとともに、感染対策マニュアル等を通して、基本的な感染症対策を含めた共通理解を深めるよう、引き続き努めていただくようお願いします。
また、翌日の14日も【社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応について(その2)】が出されており、厚生労働省のホームページで「新型コロナウイルスに関するQ&A」等を公表・更新していることの周知がされています。
参考資料
社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応について(その2)(厚生労働省)
そして、さらに2月23日には、2月22日に東京都から発表された施設の職員が新型コロナウイルスに感染する事例が発生したことを受けて、次のような連絡が出ています。
国立感染症研究所及び国立国際医療研究センター国際感染症センターにおいて「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」が作成されています。
本文書は、医療関係者及び保健所が参照することを想定し作成されたものですが、2月13日事務連絡とあわせて参考にしていただくようお願いいたします。出典:社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応の徹底について(厚生労働省)
社会福祉施設等における留意事項とは
留意事項としてあげられている点は4点です。簡単に要約しています。
(1) 新型コロナウイルスは、風邪やインフルエンザと同じように、 マスク着用を含む咳エチケットや手洗い、アルコール消毒等により、感染経路を断つことが重要となっている。
職員、子ども、障害者や高齢者を含め、面会者や委託業者等、職員等と接触する可能性があると考えられる者も含めて、「保育所における感染症対策ガイドライ ン(2018 年改訂版)」や「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」等を参照の上、対応を行なう。
(2) 概ね過去 14 日以内に湖北省又は浙江省から帰国した職員等は、保健福祉部局、保健所並びに医師又は嘱託医と連携のうえ、発熱(概 ね 37.5℃以上)や呼吸器症状があるかどうかを確認し、症状にあわせた対応を行なう。
該当する職員等がいる場合には、施設長は、すみやかに市区町村に対して、人数、症状、対応状況等を報告するとともに、発熱等の症状により感染が疑われる職員等がいる場合は、保健所に報告して指示を求める。
※地域については、今後の流行状況に合わせて変更の可能性がある。
(3) 新型コロナウイルスに関しては、現段階では不明な点も多く、 日々状況が変化している。最新かつ正確な情報を保健所等の関係機関と十分連携しながら収集する。
また、これらの情報を職員に提供するとともに、必要に応じ、子どもや保護者、障害者及び高齢者とその家族に対する情報提供や相談対応に努める。
(4) 職員等に対し、現在の新型コロナウイルスに関する適切な知見を基に、新型コロナウイルスを理由とした偏見が生じないようにするなど、職員等の人権に十分配慮する。
参考:社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応の徹底について(厚生労働省)
新型コロナウイルスについて知っておくべきこと
感染経路
主な感染症の感染経路には、飛沫感染、空気感染、接触感染、経口感染、血液媒介感染、蚊媒介感染があり、それぞれに応じた対策をとることが必要です。
飛沫感染
感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、病原体が含まれた小さな水滴(飛沫)が口から飛び、これを近くにいる人が吸い込むことで感染します。飛沫が飛び散る 範囲は1~2mです。
飛沫感染は、多くの場合、飛沫を浴びないようにすることで防ぐことができます。感染している者から2m以上離れることや感染者がマスクを着用などの咳エチケット を確実に実施することが保育所での呼吸器感染症の集団発生の予防に有効となります。
接触感染
感染源に直接触れることで伝播がおこる感染(握手、だっこ、キス等)と、汚染された物を介して伝播がおこる間接接触による感染(ドアノブ、手すり、遊具等)があります。
通常、接触感染は、体の表面に病原体が付着しただけでは感染は成立しませんが、病原体が体内に侵入することで感染が成立します。病原体の付着した手で口、鼻又は眼をさわること、病原体の付着した遊具等を舐めること等によって病原体が体内に侵入します。また、傷のある皮膚から病原体が侵入する場合もあります。
予防策
咳エチケット
飛沫感染による感染症が流行することを最小限に食い止めるために、日常的に咳 エチケットを実施しましょう。素手のほか、ハンカチ、ティッシュ等で咳やくしゃみを受け止めた場合にも、すぐに手を洗いましょう。
1. マスクを着用する(口や鼻を覆う)
咳やくしゃみを人に向けて発しないようにし、咳が出る時は、できるだけマスクをする。
2. とっさの時は、袖で口や鼻を覆う。
3. マスクやティッシュ、ハンカチが使えない時は、長袖や上着の内側で口や鼻を覆う。
正しい手洗いを行なう
以下の手順で、30 秒以上、石けんを用いて流水で行います。
1. 液体石けんを泡立て、手のひらをよくこすります。
2. 手の甲を伸ばすようにこすります。
3. 指先とつめの間を念入りにこすります。
4. 両指を組み、指の間を洗います。
5. 親指を反対の手でにぎり、ねじり洗いをします。
6. 手首を洗い、よくすすぎ、その後よく乾燥させます。
参考として、保育所における感染症対策ガイドラインが掲載されています。
写真もはいっており、とてもわかりやすいものとなっているので、知的障害の社員がいる場合でも活用できそうです。
参考:社会福祉施設等における新型コロナウイルスへの対応の徹底について(厚生労働省)
企業での新型コロナウイルスの対応について
2月24日新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開催されており、これまでに判明してきた事実として、感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染と接触感染が主体であることが示されました。
基本的には、空気感染は起きていないと考えられますが、至近距離において相対することた、咳やくしゃみなどがなくても、感染する可能性は否定できないようです。無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例があるなど、感染力と重症度は必ずしも相関していないということで、まずは社員全員が予防策をしっかりとることが求められるでしょう。
また、この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかに大きく関わりますので、一人ひとりが自分のできることを行っていく必要があります。
風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をしないで、自宅で療養しすることがすすめられていますが、以下のような場合には、各都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談してください。
・風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センターの詳細はコチラから
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各都道府県帰国者・接触者相談センター
教育機関、企業なども、感染の急速な拡大を防ぐことが求められています。できる限り、集会や行事の開催方法の変更、移動方法の分散、リモートワーク、オンライン会議などで工夫を講じるようにすすめられています。
参考:新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解(厚生労働省)
「新型コロナウイルス感染症 ~市民向け感染予防ハンドブック」(東北医科薬科大学)でも、感染予防についてわかりやすく書かれています。こちらも参考にしてください。
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「新型コロナウイルス感染症 ~市民向け感染予防ハンドブック」(東北医科薬科大学)
まとめ
企業における新型コロナウイルスの対応としてどのようなことができるのかについて、厚生労働省が、社会福祉施設等に送っている事務連絡などから見てきました。
まだ、これといった対応策が見つからない状況ですが、この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかに大きく関わるようですので、まずは正しい情報を入手すること、予防策をしっかり行なうことが大切です。
また、多くの人々との間で交わされるような環境に行くことをできる限り避けることや、もし感染したと思われる場合でも、すぐに医療機関を受診するのではなく、状況をよく判断して行動することも必要です。医療従事者や患者に感染を拡大させたり、医療機関に過重な負担をかけないように注意することも必要です。
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