「障害者は仕事ができない」と感じている方が多いようです。
あまり障害者の方と接していないときには、特に、TVなどで見る障害者の方を想像して、「本当に仕事ができるのか・・・」、「どこまで配慮したらよいのか・・・」と、迷ってしまうこともあるでしょう。
しかし、今の障害者雇用で働きたいと考えている障害者の方は、いろいろな方がいます。もし、組織の中で活躍してもらえていないと感じるのであれば、指示の方法やマネジメントについて考えることが必要かもしれません。
「障害者だから仕事ができない」の意味することとは?
「やっぱりこの仕事は、障害者の方には、難しいですよね?」と、意見を求められることがたまにあります。
確かに、今その業務を行っている社員の方と同じ方法でこなすことは難しいなと感じることはあります。しかし、手順を分解したり、その一部を行なうことで、その業務の中で活躍できる部分はあると感じることのほうが多いです。
できなくても、どうやったらできるのだろうと思って接していれば、マニュアルや指示の出し方などを工夫することによって、できることが増えたという事例はたくさんあります。もちろん、多くの場合、時間はそれなりにかかるので、教えるほうが根負けしないことも大切です。
ある企業では、障害者雇用の仕事としてよくあるメール配達の仕分けを行っていました。そこの企業は大きな会社で、海外の拠点もいくつかあり、英語で郵送物が送られてくることもよくありました。
はじめは英語の郵送物の仕分けは難しいかなと、仕分けできるものだけをしていたそうですが、そのうち担当者の方が、他の仕事ぶりを見て、「絶対にできる」と思い、アルファベットを教えることからはじめ、そのあと、英語の郵送物の仕分けもしっかりできるようになったそうです。
この会社では、知的障害の方を雇用していました。できないだろうと思って接していれば、できないのは当たり前かもしれません。私たちも自分では難しいと感じたり、周囲から無理だろうなと感じることには、そもそもチャレンジすることもなく、結局そのままできなくなっていることもあるでしょう。
しかし、できると期待され、それをできるための適切なサポートがあれば、働く彼らにもそれが伝わりますし、思いがけない能力を発揮することも多いように感じます。
本当にその指示の仕方で、伝わっていますか?
あなたはマネジメントする立場でしょうか。もしかしたら、ある簡単な業務の一部を他のスタッフに頼んでみたところ、クオリティがイマイチだったと感じることがあったかもしれません。
しかし、すぐに依頼相手の能力やスキルが低いと決めつけてしまうべきではありません。そんなときに考えてほしいのは、あなたの依頼の方法が本当に相手に伝わるものだったかということです。
どういう目的で使い、どのようなレベル感を求めているのかを伝えたり、ミスをしないようにするためにどんな確認をしてほしいかを確認したり、その仕事を遂行するためのイメージができているのかを自分の言葉で説明してもらうことをしていれば、アウトプットされたもののクオリティや精度は全く違ったものになっていたかもしれません。
このような話をすると、説明するのがめんどくさい、自分でやるほうが早いと感じることがあるかもしれません。一時的には確かにそういうこともありますが、長い目で見たときには、あなたの仕事をサポートしてくれる戦力になってくれる可能性も十分にあります。
障害理解も大事だが、もっと大事なことはマネジメント
障害特性や理解については、知識としてはあったほうがいいと思いますが、障害者雇用をする上で必須のものではないと思います。障害特性は、個別性が高いものですし、しかも職場の雰囲気や仕事内容が同じということはありません。
逆にそれまでの経験や学んだことゆえに、「◯◯障害はこの仕事はできない」と判断する人がいるようにさえ感じることもあります。
ただし、必須なのは、マネジメント力です。
マネジメントとは、組織の目標を設定し、その目標を達成するために組織の経営資源を効率的に活用したり、リスク管理などを実施することを意味します。
「マネジメント」の概念は、P.F.ドラッカーが生み出したと言われています。ドラッカーは著書の中で、マネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と定義しています。つまり、組織に成果を上げさせるための仕組みやツールがマネジメントとも言うことができるでしょう。
ドラッカーは、マネジメントに求められる役割についての考え方を示しています。その中には、次のことが含まれています。
・組織が果たすべきミッションを達成する
・組織で働く人たちを活かす
・社会に貢献する
障害者雇用に関わること、障害のある人のマネジメントにかかわることは、これらの3つのことに大いに貢献しているものだと思います。どのようにしたら、同じ組織に所属する人として活かすことができるのか、そう考えると、違った視点が見えてくることがあります。
動画の解説はこちらから
まとめ
障害者雇用をしている会社を見学させてもらうと、こんなこともできるのか!と驚かされてしまうことがあります。しかし、そのような会社も、はじめからうまくいっていたわけではありません。いろいろな苦労や改善を繰り返しおこない、そして、現在進行系で進化し続けているところがほとんどです。
「障害者だから仕事ができない」と感じたら、まずはマネジメントのあり方を振り返ってみるのは大切なことだと思います。また、仕事の内容や、それに対する指示の出し方とともに、コミュニケーションをとることも大切です。何に困っているのかがわからなければ、対応方法や、代替手段を出すこともできないからです。
相手のことを知ろうとする気持ちや、組織で活躍してほしいという思いが伝わると、今までと違ったコミュニケーションが生まれるかもしれません。
参考
障害者雇用で採用した社員が迷惑に感じたときにできる3つのこと
精神障害者と一緒に働くストレスを感じたら、考えてみてほしいこと
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