障害のある学生が、大学、短大、高専などで学んでいる場合、就職活動を一般枠にするか、それとも障害者枠にするかを迷うことがあるかもしれません。中には、一般枠で働いてみて、難しかったら、その時に障害者枠で転職しようと考えている人もいます。
しかし、障害者雇用に大卒で就職するなら、新卒でチャレンジすることをおすすめします。なぜ、新卒で障害者枠で働くほうがよいかについて、大学に在籍する障害者の人数や、社会的な背景などから、その理由をお伝えしていきます。
障害者雇用に大卒で就職するなら、新卒でチャレンジしたほうがいい
大学に在籍している学生で就職活動を考えるときに、一般枠で働くか、それとも障害者枠で働くかを迷うことは多いと思います。もしかしたら、一度、一般枠で働いてみて、難しかったら、障害者枠で働こうと考えている人もいるかもしれません。
もちろんそういう選択肢もありますが、もしどちらかで迷っているのであれば、障害者枠に新卒でチャレンジすることをおすすめします。その理由について、大学に在籍する障害者の人数や、雇用の現状等からお伝えしていきます。
大学に在籍する障害者はどれくらいいるのか
まず、大学に在籍する障害者がどれくらいいるのかを見ていきたいと思います。
大学、短期大学及び高等専門学校の障害学生数は37,647人で、前年度(33,812人)より3,835人の増えています。
学校種別で見ると、
「大学」に在籍している障害学生は33,683人で、前年度(30,190人)より3,493人の増
「短期大学」は、1,845人で前年度(1,920人)より75人の減
「高等専門学校」は2,119人で前年度(1,702人)より417人の増
となっています。
ただ、これは通学だけでなく通信も含まれています。
課程別で見ると、在籍者が多い順に
「大学の学部(通学)」の29,668人、前年度(26,334人)より3,334人 の増
「高等専門学校の本科(通学)」の2,035人で、前年度(1,648人)より387人の増
「大学の学部 (通信)」の1,992人で、前年度(2,067人)より75人の減
「大学院(通学)」の1,979人で、前年度(1,735人) より244人の増
「短期大学の学科(通学)」の1,803人で、前年度(1,889人)より86人の減
となっています。
出典:令和元年度(2019年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査(独立行政法人日本学生支援機構)
全学生(3,214,814人)に占める障害学生の在籍率は1.17%です。
障害別に見ていきましょう。
大学にいる障害別学生の割合
障害種別で見る障害学生数は、多い順に
「病弱・虚弱」の12,374人で、前年度(11,151人)より1,223人の増
「精神障害」の9,709人で、前年度(8,770人)より939人の増
「発達障害」の7,065人で、前年度(6,047人)より1,018人の増
となっています。
出典:令和元年度(2019年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査(独立行政法人日本学生支援機構)
大学卒の障害者雇用を企業はどのように考えているか
企業の障害者雇用は進んでいますが、これには、障害者雇用率という、企業が一定の障害者を雇用しなければならないという法律があるためです。ただ、障害者が働くことに対する理解や、社員への浸透などは、企業によってかなり違います。多くの場合の本音としては、配慮がなるべく少ない障害者に入社してほしいというところは、正直いうとあります。
それでも、一般的に障害のある生徒が大学などの高等教育機関に進学する割合は、一般の学生の進学率と比べるとかなり低く、先ほど見てきたように、全学生(3,214,814人)に占める障害学生の在籍率は1.17%です。
そのような環境の中で学生生活を過ごしてこきたのであれば、自律性やコミュニケーション能力にそれほど課題がなく、ある程度の配慮があれば、十分働けるのではないかと、人事担当者は考えるでしょう。
また、内定から入社まで期間があるので、インターンシップなどを通して、どのような仕事が向いているのか、障害への配慮や配属場所の検討を十分にできることもあり、企業としても検討しやすい条件が整っています。
障害者枠の新卒で就職活動を進めると、大企業や有名企業へエントリーして、就職できる可能性はかなり高くなります。積極的に障害者枠で働ける障害者枠の合同面接会などに参加しているので、人事担当者と話す機会も多くなりますし、一般の就職活動よりも接触頻度や覚えてもらえることが増えます。また、全体数が少ないので、一般枠より障害者枠の倍率が低いことも多くなります。
一方で、一旦卒業してしまうと、一般の就職・転職活動でも同じですが、ある程度の経験や職歴が必要になることがありますし、障害者枠で言えば、雇用待遇が新卒で提示されるものよりも低いものが多くなります。
新卒の場合、待遇の差はないことが多い
新卒の障害者枠での採用では、一般枠と給料や待遇などが、あまり変わりません。また、仕事内容や評価制度も一般枠採用の学生と同じになります。仕事のやりがいとしては、十分にあるといえるでしょう。
多くの障害者の方から受ける相談は、障害者枠で働いたところ、「仕事や業務が少なく勤務時間が余ってしまう」「定型的な業務しか担当させてもらえず、キャリアアップが難しい」という声をよく聞きます。今の障害者枠での働き方は、まだフレキシブルに対応できる企業が少ないのが現状です。「仕事がないとき、何をすればよいのか・・・」と考えることは、多くの人にとってストレスになるばかりでなく、自分の存在意義を考えさせるものになってしまうこともあるようです。
また、新卒で就職できるのは1回限りです。企業でも、合理的配慮はしてもらえますし、今は、必要なことは自分から発信することが大事な時代です。もし、迷っているのであれば、一度、合同面接会などに行って、企業の人事担当者から話を聞いてみるのもいいかもしれません。
就職活動で活用したいもの
新卒枠で働くためには、障害枠の合同面接会に参加することとともに、人材紹介会社を使うこともできます。
人材紹介会社は、人材コンサルタントが面談などを通して、条件に合った会社をいくつか紹介してくれるサービスです。また、履歴書の書き方や面接のアドバイスや、企業の面接設定をサポートしてもらうことができます。専門家のアドバイスを受けながら効率よく就活をすすめられることができますし、登録者だけが応募することができる求人を持っていることもあります。
これらは、すべて無料でおこなわれます。なぜ、無料で人材紹介を受けられるのかというと、人材紹介会社は、企業に人材紹介を行った成功報酬として、就職が決まった人の年収の30%前後の金額を採用企業から得るというビジネスモデルをとっているからです。ですから、人材紹介会社をしっかり活用して、就職活動をサポートしてもらうのもいいと思います。
ただ、覚えておいてほしいのは、人材紹介会社は、ビジネスとして行っているということです。会社としては成約件数を伸ばして売上を拡大したいと思っていますし、個々の人材コンサルタントには成約目標もあります。就職・転職希望者は、いくつかの人材紹介会社に登録していることも少なくありませんので、競合他社に奪われたくないという気持ちもあります。
転職についての有益な情報や、現在の動向などについても教えてくれるものの、それらの情報を鵜呑みにするのではなく、自分でも情報を調べて、本当に自分にも当てはまるのか、情報を取捨選択することが必要です。
また、人材紹介会社によって、得意な業界や、取引のある企業などは違いますので、1つの人材紹介会社ではなく、複数の人材紹介会社を登録して、比較するのもいいでしょう。
障害者枠で働く人に人気がある人材紹介会社はこちらです。
・障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
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まとめ
障害者雇用に大卒で就職するなら、新卒でチャレンジしたほうがいい理由について、大学に在籍する障害者の人数や、社会的な背景などから、お伝えしてきました。
障害者雇用が多くの企業で受け入れられるとはいえ、企業の本音としては、配慮がなるべく少ない障害者に入社してほしいと思っています。そのため一般の大学などで学んできた学生は、ある程度の配慮があれば、十分働けるのではないかと、人事担当者は考え、採用したいと考えることが多くなります。
一般的な障害者雇用で働くときには、一般の求人よりも待遇がさがることがほとんどです。しかし、新卒枠で就職すると、他の一般学生と同じ待遇やキャリアを築きやすくなる可能性が高くなります。新卒の障害者枠で働くための就職活動には、障害枠の合同面接会に参加したり、人材紹介会社を使うとよいでしょう。
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