障害者雇用が難しいと感じる企業の共通点とは? 成功に導く3つの視点

障害者雇用が難しいと感じる企業の共通点とは? 成功に導く3つの視点

2025年02月6日 | 企業の障害者雇用

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障害者雇用を積極的に進める企業が増えており、法定雇用率の達成を目指すだけでなく、障害者が持つ能力を活かし、企業の成長につなげようとする動きが広がっています。しかし、すべての企業の障害者雇用が成功しているわけではありません。障害者雇用がうまくいっている企業とそうでない企業には、一体どのような違いがあるのでしょうか?

障害者雇用を進める企業の中には、「障害者雇用が難しい」「障害者雇用がうまくいかない」「社内で任せられる業務が見つからない」と悩んでいるところも多くあります。

今回は、障害者雇用がうまくいかない主な理由を整理し、どのように進めていくとよいのかを解説します。障害者雇用を成功させるためのポイントを理解することができます。

障害者雇用がうまくいかない企業がしてしまっている5つの失敗

障害者雇用を進めている企業の中には、制度を整えたり、採用を積極的に行ったりしているにもかかわらず、なかなか定着せず、思うように成果が上がらないケースが少なくありません。その要因の多くは、企業側の考え方や取り組み方にあります。企業が陥りがちな5つの失敗について見ていきます。

障害者ができる仕事を探してしまう

多くの企業が「障害者にできる業務を探す」という視点で業務を切り出そうとします。結果的に「この仕事なら障害者でもできるだろう」と限定的な業務を割り当ててしまうケースが多くなっています。しかし、本来の採用とは「企業が必要とする業務に合う人材を採用する」ことです。障害者雇用になると、この視点が抜け落ちてしまうことが多く、適切な業務が見つからないと感じてしまっていることがあります。

また、「障害者」と一括りに考えてしまうことも問題です。障害の種類や特性はかなり異なるため、障害種別で仕事ができるのかを考えるのではなく、まず業務の内容を整理し、必要なスキルや適性を明確にすることが重要です。そして、その業務ができるのであれば、障害種別は関係ありません。

障害者の特性やスキルは多様であり、一律に「できる仕事」を決めつけるのではなく、組織の一人としてその強みを生かせる業務設計が必要です。例えば、発達障害のある人の中には、データ分析やプログラミングなどの専門的なスキルを持つ人もいます。そのため、単純作業に限定するのではなく、本人の得意分野を生かすことで、企業にとってもより大きな価値を生むことができます。

「配慮」を過剰に考えすぎている

障害者雇用において「合理的配慮」は重要ですが、企業が過度に配慮を意識しすぎることで、障害者を特別扱いし、結果的に職場での活躍機会を奪ってしまうことがあります。例えば、「障害者だから負担をかけないように」と仕事の内容を簡単にしすぎたり、責任のある業務を任せなかったりすると、本人の成長やキャリア形成を妨げることになります。

合理的配慮で必要なのは、「業務を遂行することを補う配慮」で、「配慮をするために雇用しているわけではない」ということです。配慮が強調されすぎているために「雇用」であることを忘れないようにする必要があります。

また、障害者雇用では「合理的配慮」が求められますが、それは「過重な負担にならない範囲で事業主が行うもの」とされています。過剰な配慮を意識しすぎると、企業の負担が大きくなり、障害者雇用を難しく感じてしまうことになるでしょう。

合理的配慮の内容を理解し、採用前にどのような配慮が必要なのかを確認しておくことが大切です。また、実習やトライアル雇用を活用し、企業と障害者の双方が納得できる形で雇用を進めましょう。

障害者を組織の人材の一部と考えていない

ダイバーシティに取り組んでいる企業が増えています。特に、外国人、女性などの活用に注目が集まっていますが、なぜか、障害者を「人材の一部」として捉えていない企業をよく見かけます。「障害者」もこの人材として考えていくことが人材戦略の中では大切です。

人々の価値観が変化し、多様なニーズに対応する商品やサービスが求められている中で、同じ価値観や考え方の中からイノベーションは起こりにくくなっています。しかし、多様性の中から新たな発想やニーズなどが生まれる可能性があります。

例えば、ユニクロでは「1店舗1名以上」の障害者雇用を目指し、実際に多くの店舗で障害者を雇用しています。この取り組みは、単に法定雇用率を満たすためのものではなく、企業全体の業務効率や顧客サービスの向上を図る戦略的な施策として位置づけています。

それには、次のような職場の変化が見られたからです。

沖縄のユニクロ店舗で障がい者のスタッフを雇うことになったら、これが非常にうまくいったんですね。従業員が障がいのあるスタッフを自主的にサポートするようになって、店舗全体のコミュニケーションにも波及するようになり、効率も上がっていった。

出典:柳井正氏に聞く[前篇] ~「考える人」2010年夏号~(UNIQLO 2010年07月15日)

この事例は、障害者を雇用することで、他の従業員がその人に協力したり、気遣うことでチームワークが向上し、業務効率が改善されたことが報告されています。障害者雇用は、障害者を雇用することだけでなく、組織文化やチームワーク、マネジメントなどに影響を与えるものとなっています。

障害者雇用に応募する層の変化に気づいていない

これまでの障害者雇用のイメージは、「簡単な業務をこなすサポート職」が主流でした。しかし、近年では、ITスキルを持つ人や専門職として働ける人など、スキルが高かったり、業務経験のある障害者も増えています。そのため、「障害者雇用=単純作業」という固定観念を持っている企業は、優秀な人材を活用できません。

企業は、障害者雇用の対象となる人材の多様性を理解し、より高度なスキルを持つ人材の採用や育成に取り組むべきです。例えば、プログラミングやデザイン、マーケティングなどの分野で活躍できる障害者も多く、こうした職種で人材を適切に配置することは、企業の競争力向上にもつながります。

時代や組織に合った障害者雇用ができていない

社会やビジネス環境は急速に変化していますが、障害者雇用のあり方もそれに合わせて変えていく必要があります。従来の「オフィス勤務・定時勤務・対面業務」にこだわっている企業は、障害者雇用の可能性を狭めてしまうことになります。

近年では、在宅勤務やテレワークの普及により、身体的な負担を減らしながら柔軟に働ける環境が整ってきました。特に、IT系やクリエイティブ業務など、リモートでも十分に遂行できる仕事は増えています。こうした変化に対応し、デジタル技術を活用した新しい雇用の形を模索することが、これからの障害者雇用の成功に不可欠です。

企業が障害者雇用にうまくいかない要因は、「障害者の能力の問題」だけではありません。企業側の考え方やアプローチの仕方に課題があることも多いのです。障害者雇用を成功させるために企業が取り組むべき3つのポイントについて解説します。

障害者雇用を成功させるために必要なこと

障害者雇用を成功させるためには、単に法定雇用率を達成するための採用を行うのではなく、企業の成長につながる戦略的な雇用を考えることが重要です。そのためには、「企業に必要な業務に適した人材の採用」「組織全体で進める仕組みづくり」「時代の変化に柔軟な対応」という3つの視点を持つことが不可欠です。

企業に必要な業務に適した人材の採用

多くの企業が障害者雇用に取り組む際、「障害者ができる仕事を探す」という視点で業務を切り出し、その業務に合う人材を採用しようとします。しかし、この考え方では、企業の成長につながる障害者雇用は実現しにくくなります。本来、企業の採用は「必要な業務に適した人材を採用する」という視点で行うべきです。
例えば、データ入力が必要であれば、細かい作業が得意な人を、マーケティング業務が必要であれば、分析力や文章作成が得意な人を採用するなど、企業の業務ニーズに合った人材を見極めることが重要です。

そのために、次の点を意識すると、より組織に求められる障害者雇用を行うことが可能になります。
・企業の業務を整理し、必要なスキルを明確にする
・障害の有無にかかわらず、適性を重視した採用を行う
・採用後にも引き続きスキルアップできる仕組みを整える
「この仕事ならできるだろう」という視点で業務を考えるのではなく、「企業にとって必要な業務とその業務ができる人材を見極める」という視点を持つことで、企業にとっても本人にとってもより活躍の場が広がる採用、雇用になります。

組織全体で進める仕組みづくり

障害者雇用を単に「障害者を雇用する」ことだけで捉えるのではなく、組織全体が働きやすいようにするためにはどうしたらよいのかを考えていくことも大切です。組織全体の課題として捉え、インクルージョン(包括的な職場環境)の仕組みを作ることは成功の鍵となります。

そのためには、人事部や特定の現場の部門だけが頑張っていても実現しません。経営層やマネジメント層の理解とマネジメントが必要です。

経営層の理解とコミットメント

・障害者雇用を単なる法令遵守ではなく、企業の成長戦略の一環として位置づける
・企業文化としてダイバーシティ&インクルージョンを推進する

マネージャーや同僚への教育・研修

・チームやメンバーに対するマネジメントを実践する
・障害者とともに働くうえでの基本的な理解を深める
・必要な配慮やコミュニケーション方法を学ぶ機会を提供する

業務の進め方の柔軟な見直し

・チームで業務を分担し、障害の有無にかかわらず適材適所で活躍できる環境を整える
・一定の業務だけを障害者に任せるのではなく、成長機会を提供する
・組織全体で仕組みを整えることで、職場での役割を明確にし、持続的に活躍できる環境が生まれる。

時代の変化に柔軟な対応

障害者雇用のあり方は、時代とともに変化しています。特に近年では、テクノロジーの進化や働き方の多様化により、従来の枠組みにとらわれない雇用の形ができるようになっています。柔軟な対応ができない企業は、せっかくの人材を活かしきれないリスクがあります。

以下のような対応が、今後の障害者雇用の成功につながります。

・リモートワーク・在宅勤務の活用
移動が困難な障害者や首都圏以外に住んでいる障害者でも、ITを活用することで仕事ができる可能性が広がります。これは企業にとっても、多様な人材を採用する選択肢が広がることにつながります。

・新しい職種の開拓
これまでの「補助業務」だけでなく、IT・デザイン・マーケティング・カスタマーサポートなど、障害者が活躍できる職種を増やすことができます。

・AI・RPAなどのテクノロジーの活用
障害者雇用の可能性を広げるためには、時代の変化に柔軟に対応し、特にAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのテクノロジーを活用することができます。これらの技術を活用することで、従来は障害の特性上、難しいとされていた業務でも可能になり、新たな職域を開拓することにも繋がります。

まとめ

障害者雇用がうまくいかない理由とその解決策について解説しました。多くの企業が「障害者ができる仕事を探す」「過度な配慮を意識しすぎる」「障害者だけを特別視した施策を行う」といった間違った障害者雇用を進めています。これらのアプローチでは企業にとっても障害者にとってもよい結果を生みません。

障害者雇用を成功させるためには、以下の3つの視点が重要です。
1. 企業に必要な業務とそれに適性のある人材の採用
障害者雇用を進める際には、「障害者向けの業務」を考えるのではなく、「企業に必要な業務に適した人材を採用する」という視点が不可欠です。IT・マーケティング・クリエイティブ業務など、従来の事務補助や軽作業以外にも適した業務は多く存在します。企業の業務を整理し、必要なスキルを明確にすることで、障害者の強みを活かせる雇用が可能になります。
2. 組織全体で進める仕組みづくり
障害者雇用は人事部門だけの取り組みではありません。経営層の理解とコミットメントを得ながら、組織全体で推進することが重要です。そのためには、マネージャーや同僚への教育・研修を行い、心理的安全性を高める職場づくりを進めることが必要です。また、障害者だけでなく、すべての社員が働きやすい環境を整えることを考えることにより、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
3. 時代の変化に合わせた雇用を考える
テクノロジーの進化により、これまで難しかった業務でもAIやRPAを活用することで遂行可能になり、障害者が担える職種の幅が広がります。AIによる文章作成支援、RPAによるデータ入力の自動化、視覚・聴覚障害者向けの情報補助ツールなど、新しい技術を取り入れることで、より多くの障害者が適材適所で能力を発揮できるようになります。

障害者雇用は、「企業の成長につながる雇用」にすることができます。組織に必要な業務と適性が何かを明確にし、組織全体で受け入れる仕組みを作り、時代の変化に適応することで、企業にとっても障害者にとっても価値のある雇用を実現することができます。

動画で解説

参考

【2025年最新】障害者雇用のカウント方法~障害者手帳を正しく理解する~

【中小企業の障害者雇用】社員が働きやすい会社を目指したら、障害者にも働きやすい職場ができていた

なぜ、障害者採用がうまく進まない?定着までスムーズにするポイント

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