【障害者雇用】精神障害者手帳3級と2級ではどのように違う?

【障害者雇用】精神障害者手帳3級と2級ではどのように違う?

2024年10月6日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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障害者雇用の場では、精神障害者手帳を持つ人が増えています。精神障害者保健福祉手帳の等級で示されている障害はどの程度なのかと気になるかもしれません。
精神障害者保健福祉手帳には1級から3級までの等級があり、それぞれ障害の重症度や日常生活での支障度に応じて区分されています。この手帳を取得することで、精神障害を持つ人々が社会で安心して生活し、自立を目指すために設けられた重要な制度となっています。
今回は、精神障害者保健福祉手帳の役割やメリット、そして3級と2級の違いについて詳しく解説します。

精神障害者保健福祉手帳とは?

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは、一定程度の精神障害の状態にあると認定された人に交付される手帳のことです。精神障害を持つ人が社会生活を送りやすくするために設けられた制度で、この手帳を取得することにより、精神障害者はさまざまな福祉サービスや支援を受けることができます。
つまり、手帳は精神障害者の生活の質を向上させ、社会的な自立を支援するための重要なツールとなっています。対象となる精神障害にはうつ病、統合失調症、双極性障害などが含まれます。
精神障害者手帳を取得すると税金の控除や公的料金の割引といったサービスが受けられ、場合によっては障害年金も受給できます。等級は1級から3級に区分され、障害が最も重い場合に該当するのが1級です。精神障害者手帳を申請できるのは、初めて精神障害の診断を受けてから6ヶ月以上が経過していることが条件で、精神保健指定医の診断書などが必要になります。

精神障害者手帳を取得することのメリット

具体的には、精神障害者手帳を取得することで、以下のような支援やサービスを受けることが可能になります。

・税制の優遇措置(所得税や住民税等の減免)
・公共交通機関の割引(バスや鉄道料金の減免)
・NHK受信料の割引
・医療費の助成(医療機関への通院費の負担軽減)
・公共料金の割引(電気やガス、水道料金の減免)
・市営住宅等の優先入居、使用承継制度の適用
・携帯電話料金の割引
・美術館、博物館等の施設の割引
・就労支援(就労移行支援や就労定着支援の提供)

精神障害者保健福祉手帳は、日常生活における経済的な負担を軽減し、社会参加を支援する役割を担っています。また、手帳を持つことで、職場や公共の場での合理的配慮を求めやすくなり、障害者の権利や生活の質を守るための手段としても機能します。

精神障害者保健福祉手帳には、障害の程度に応じて1級から3級までの等級が設定されています。分類としては、次のように分けられています。

1級:「精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」
2級:「精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」
3級:「精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」

等級は、精神障害の重症度や日常生活や社会生活における支障度に基づいて、医師による診断書や、生活の支障度に基づいて市区町村の審査を経て決定されます。等級が高くなるほど生活の困難さがあるため、受けられる支援の範囲や内容が充実しており、日常生活を支えるための手厚いサポートが提供される仕組みとなっています。

3級と2級の違いとは?

精神障害者保健福祉手帳の3級と2級は、障害の重症度や日常生活への支障に応じて区分されます。それぞれの等級は、精神障害の影響の度合いや必要なサポートの範囲を基に判定されます。

精神障害者保健福祉手帳3級

3級は、比較的軽度の障害を持つ人が対象です。日常生活や社会生活において支障があるものの、ある程度自立して活動できる状態です。3級に該当する人は、通常の生活の中でサポートが必要な場合もありますが、自分で行動をコントロールできる場面が多いです。具体的な症例としては、うつ病や不安障害などがあり、治療を続けながら通常の生活を送ることができるケースが含まれます。

例えば、軽度のうつ病、不安障害、軽度の双極性障害などで、基本的な日常生活は可能だが、時折通院が必要だったり、仕事や対人関係でストレスが生じる場合などに取得する人がいます。

精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準によると、3級の精神疾患(機能障害)の状態は、次のように示されています。

1.統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくはないが、思考障害、その他の妄想・幻覚等の異常体験があるもの

2.気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、その症状は著しくはないが、これを持続したり、ひんぱんに繰り返すもの

3.非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2に準ずるもの

4.てんかんによるものにあっては、発作又は知能障害その他の精神神経症状があるもの

5.中毒精神病によるものにあっては、認知症は著しくはないが、その他の精神神経症状があるもの

6.器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、いずれも軽度のもの

7.発達障害によるものにあっては、その主症状とその他の精神神経症状があるもの

8.その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1~7に準ずるもの

精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準によると、3級の能力障害(活動制限)の状態は、次のように示されています。

1.調和のとれた適切な食事摂取は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする。

2.洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする。

3.金銭管理や計画的で適切な買物はおおむねできるがなお援助を必要とする。

4.規則的な通院・服薬はおおむねできるがなお援助を必要とする。

5.家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりはなお十分とはいえず不安定である。

6.身辺の安全保持や危機的状況での対応はおおむね適切であるが、なお援助を必要とする。

7.社会的手続や一般の公共施設の利用はおおむねできるが、なお援助を必要とする。

8.社会情勢や趣味・娯楽に関心はあり、文化的社会的活動にも参加するが、なお十分とはいえず援助を必要とする。

(上記1~8のうちいくつかに該当するもの)

参考:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(厚生労働省)

精神障害者保健福祉手帳の2級

2級は、中等度の障害を持つ人が対象です。日常生活や社会生活において、より多くの支援や介助が必要な場合が多く、仕事や社会活動に対して大きな支障が出る状態です。2級に該当する人は、長期間の治療や定期的なサポートが不可欠であり、自立が難しい場面も多く見られます。統合失調症や双極性障害の中等度の症例などがこの範囲に含まれます。

例えば、中等度の統合失調症、双極性障害の症状が激しい場合、うつ病の重度な症例で、日常的な生活の維持が難しく、定期的な介助が必要な人が取得しています。

精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準によると、2級の精神疾患(機能障害)の状態は、次のように示されています。

1.統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他の妄想幻覚等の異常体験があるもの

2.気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、かつ、これらが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするもの

3.非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2に準ずるもの

4.てんかんによるものにあっては、ひんぱんに繰り返す発作又は知能障害その他の精神神経症状があるもの

5.中毒精神病によるものにあっては、認知症その他の精神神経症状があるもの

6.器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうちひとつ以上が中等度のもの

7.発達障害によるものにあっては、その主症状が高度であり、その他の精神神経症状があるもの

8.その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1~7に準ずるもの

精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準によると、2級の能力障害(活動制限)の状態は、次のように示されています。

1.調和のとれた適切な食事摂取は援助なしにはできない。

2.洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持は援助なしにはできない。

3.金銭管理や計画的で適切な買物は援助なしにはできない。

4.通院・服薬を必要とし、規則的に行うことは援助なしにはできない。

5.家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりは援助なしにはできない。

6.身辺の安全保持や危機的状況での適切な対応は援助なしにはできない。

7.社会的手続や一般の公共施設の利用は援助なしにはできない。

8.社会情勢や趣味・娯楽に関心が薄く、文化的社会的活動への参加は援助なしにはできない。

(上記1~8のうちいくつかに該当するもの)

参考:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(厚生労働省)

障害者雇用における3級と2級の違い

障害者雇用では、精神障害手帳を持っている人が増えています。そのほとんどが精神障害者保健福祉手帳の3級か2級です。手帳の等級としては、3級、2級と分かれていますが、仕事に関して言うと、3級だから仕事ができる、2級だから仕事が難しいというわけではありません。

障害等級を気にするよりも、仕事内容や職場の環境が合っているのか、適性があるかなどのほうが、職場定着には大事になります。また、障害の種類や障害者手帳の等級が同じであっても、どのような合理的配慮を求めるのかは、個々の障害者の障害の状態や考え方、職場の状況に応じて異なるものです。障害や求める配慮には、多様性があり、個別性が高いものと考えていくことが必要です。

仕事の適性や職場に合っているのかを確認するには、採用前に企業実習を行うのが効果的です。雇用する前に実習を行なうメリットは、短い時間の採用面接だけではわからないことが、企業側も実習生も見えてくることです。面接や書類だけではわからない部分がたくさんあります。それがある程度の実習期間で接することにより、実習生本人の能力やそれが業務にマッチングしているか、社風にあっているか、他の社員とのかかわりなどを見ることができます。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳を取得することで、精神障害者は多くの支援を受けることができ、生活の質を向上させるための大きな助けとなります。今回は、障害者雇用の職場でよく見られる3級と2級の手帳について見てきました。
精神障害者保健福祉手帳は支援内容や受けられるサービスに差があるため、障害の程度や必要なサポートを正しく理解することが重要です。また、手帳の等級だけでなく、職場や生活の環境に合った合理的な配慮を求めることが、精神障害者が社会で活躍し、長期的な安定を得るためのカギとなります。
障害者雇用の状況を見ていると、3級と2級の差を気にするよりも、仕事内容や職場の環境が合っているのか、適性があるかなどのほうが、職場定着には大事になります。また、障害の種類や障害者手帳の等級が同じであっても、どのような合理的配慮を求めるのかは、個々の障害者の障害の状態や考え方、職場の状況に応じて異なります。等級だけで判断しないことが大切です。

動画で解説

参考

精神障害者保健福祉手帳の取得方法や判断基準とは?

精神障害者を雇用するときに知っておきたい主治医の意見書の取扱い方法

精神障害者と一緒に働くストレスを感じたら、考えてみてほしいこと

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