障害者雇用のカウント方法で、どうして端数がでてくるのか・・・という質問をいただきました。
ここでは、障害者雇用のカウント方法、障害者雇用率の計算方法について、わかりやすく説明していきます。
障害者雇用で、人のカウントに0.5がでてくるのはなぜ?
こんな質問をいただきました。
障害者雇用の資料の中で、「45.5人以上の従業員が勤める民間企業」の45.5人以上というのはどういう意味なのでしょうか。
人をカウントするのに、0.5という数字がでてくることに違和感を感じます。
この45.5人に1人の割合で障害者雇用をすることは、障害者雇用率の計算に基づいています。
雇用率2%だと、従業員50人に対して、1人の障害者を雇用することが求められ、現在は、雇用率2.3%なので、従業員43.5人(少数第2を繰り上げて)に対して、障害者1人という計算になります。
また、障害者雇用の統計資料等を見ると、こちらでも0.5という数字が出てきますが、これは、障害者雇用をしている人数のカウントが、障害の程度や労働時間によって異なるからです。
障害者雇用のカウント方法について、見ていきましょう。
障害者雇用のカウント方法
障害者雇用のカウントは、基本的には、1人1カウントとなります。ただし、週の労働時間が30時間以上である必要があります。そして、重度身体障害者、重度知的障害者の場合は、1人を2人分(1人の雇用に対して、2人雇用しているとみなす)としてカウントします。これは、ダブルカウントと言われています。
短時間労働の週20時間以上30時間未満の場合には、労働者1人に対して0.5カウントとなります。そして、短時間重度身体障害者、短時間重度知的障害者は1人としてカウントします。
ただし、現在は、精神障害者の短時間雇用の0.5カウントを1カウントにする特例措置が設けられています。これは、平成 30 年4月より精神障害者の雇用が義務化され、法定雇用率が2.2%に引き上げられました。しかし、一般的に精神障害者は身体障害者や知的障害者に比べ職場定着率が低い傾向が見られており、このような現状を踏まえてのものです。
対象者は、精神障害者である短時間労働者で、新規雇入れから 3 年以内、または、精神障害者保健福祉手帳取得から 3 年以内となっており、令和5年3月31 日までに雇入れられる場合、精神障害者1人に対して1カウントされることになります。
これをまとめたものが、以下の表です。
出典:厚生労働省
障害者雇用において、障害者を雇用しているとカウントできるのは、週に20時間以上の労働することが必要となります。
20時間未満の障害者を雇用した場合には、障害者を雇用しているというカウントにはなりませんが、特例給付金が支給されることになりました。これは、2020年度からスタートされた新しい制度で、改正障害者雇用促進法(2020年4月)の1つの変更点となっています。
障害者雇用率を計算する
障害者雇用の法定雇用率を満たしているかどうかは、社員数や障害者の雇用数から算定する必要があります。
法定雇用率に対する自社の雇用率の計算式は次の通りです。
障害者雇用率=(障害者である常時雇用労働者の数+障害者である短時間労働者の数×0.5)÷(常時雇用労働者の数+短時間労働者の数×0.5)
常用雇用労働者とは
常用雇用労働者は、正社員など雇用契約期間の定めがなく雇用されている労働者と、1年以上引き続き雇用されると見込まれる契約社員やパート、アルバイトなどが含まれます。
雇用契約期間の定めがあり雇用されている(有期契約)労働者でも、雇用契約期間を更新して、1年以上引き続き雇用されると見込まれる労働者も含まれることに注意してください。
また、常用雇用労働者は、1週間の所定労働時間が30時間以上となります。
短時間労働者とは
短時間労働者は、1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満の労働者です。0.5人でカウントします。
障害者としてカウントするために必要なこと
障害者雇用では、障害者手帳をもつ障害者を雇用することで、障害者を雇用しているとカウントされます。
障害者手帳とは、障害のある人に交付される手帳のことで、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。交付される手帳には、生活における支障の程度や症状などに応じた「障害等級」と呼ばれる区分があります。
近年、精神障害者が増えていますが、障害者雇用の精神障害としてカウントするには、精神障害者手帳を所持していることが必要です。精神障害者手帳を所持することによって、一定程度の精神障害がある状態にあることを認定するものとなるからです。
たとえ精神的なことが原因で休職していたとしても、精神障害者手帳をもっていないのであれば、障害者雇用としてカウントすることはできません。
また、すでに働いている社員の中にも障害があるのではないかと思う社員がいる場合があるかもしれませんが、特定の社員に対して、周囲のもつイメージや意見をもとに、障害の有無についての確認を行うことは適切ではありません。
職場における障害者であることの把握・確認については、厚生労働省から「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が示されているので、これにそったかたちで周知をすることが求められています。
動画の解説はこちらから
まとめ
障害者雇用のカウント方法、障害者雇用率の計算方法について、説明してきました。
障害者雇用のカウントは、週30時間以上の勤務で1カウント、週20時間以上の勤務で0.5カウントとして雇用率にカウントされます。重度の場合には、1人雇用しても2人分としてカウントされます。
障害者雇用としてカウントされるためには、障害者手帳を取得していることが必要です。メンタルなどで休職したことがあり病名がでていても、障害者手帳を取得していなければ、カウントはできません。
もし、職場に障害者がいるのではないかと感じるのであれば、個人的に声をかけるのではなく、全体に周知することが必要です。職場における障害者であることの把握・確認については、厚生労働省から「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が示されていますので、こちらをさんこうにしてください。
障害者雇用率は、2021年3月に0.1%引き上げられました。今後も障害者雇用率は引き上げられる見込みがあり、地域によっては、障害者雇用の採用市場がさらに激化する可能性があります。障害者雇用が未達成の企業は、早めに対応することが大切です。また、最近は、障害者雇用のリモートワークをする企業も増えています。障害者雇用のかたちも多様化していますので、仕事内容や雇用形態も含めて、いろいろな角度から検討していくことができるかもしれません。
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参考
【特例措置】短時間労働の精神障害者雇用で0.5ポイントが1ポイントへ
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