障害者雇用における精神障害とされる主な症状とは?

精神障害

障害者雇用促進法上の精神障害者とは?

障害者雇用促進法は、精神障害について「障害者のうち、精神障害がある者であって厚生労働省令で定めるものいう(障害者雇用促進法2条6号)」という定義を行っています。そして、この規定を受けた厚生労働省令(障害者雇用促進法施行規則)で、次のように対象者を示しています。

(1)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
(2) 統合失調症、そううつ病、または、てんかんに罹患している者のうち、症状が安定し、就労が可能な状態にある者

この定義に当てはまる人が、障害者雇用促進法の精神障害者となります。障害者雇用促進法では、精神障害には発達障害が含まれることを明示していますが、発達障害については、別の項目で説明しています。

障害者雇用促進法においては、「その他の心身の障害」にある人も適用対象としていることから、上記で示した(1)、(2)の定義に当てはまらない精神障害者も、法の適用対象となることがあります。

基本的に、障害者雇用における精神障害者とは、精神保健福祉手帳の交付を受けており、統合失調症、そううつ病、てんかん等の症状がある人のことを示しています。

診断

精神保健福祉手帳とは?

精神保健福祉帳の交付は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、精神保健福祉法)に基づいて行われます。精神保健福祉法では、精神障害者はこの法律により、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有するものをいう(精神保健福祉法5条)」と定義されています。

知的障害については、知的障害者福祉法に基づいた福祉の措置が講じられることから、基本的に適用は知的障害手帳になりますが、周囲との意思疎通や感情表現等の障害がみられることがあり、中には、突発的な衝動行動等のために精神医療を受けることが必要な場合もあるため精神保健福祉法の対象として規定されています。

上記の定義に当てはまる精神障害者は、精神障害者保健福祉手帳の交付申請を行なうことによって、手帳の交付を受けることができます。

精神保健福祉手帳は、一度取得したら継続的にもっているものではなく、手帳認定は2年ごとに行われます。つまり、手帳の有効期限は2年間ですので、有効期限の延長を希望する場合には更新手続きが必要になります。

ですから、精神保健福祉手帳をもつ障害者を雇用した場合には、採用時にはもちろん手帳の確認を行なうと思いますが、その後の更新時にも手帳を保持しているかの確認を行なうことをおすすめします。更新をし忘れている精神障害の方もたまにいますので、ロクイチ調査のときに手帳がなくて、カウントにいれることができなかったということがないようにしてください。

仮に、手帳の更新の際に、精神障害の状態が認められなければ、精神障害者保健福祉手帳の更新はされないことになります。

病院

精神保健福祉手帳をもつ主な精神障害

統合失調症

統合失調症は、精神疾患の1つで、10代後半から30代に発症することが多い疾患です。思春期から青年期にかけて発病しやすく、高校生や大学生、就職して間もなく発症するケースが多く見られます。

特徴的な症状として、幻覚、幻聴等や被害妄想があります。また、現実と思考との混乱、支離滅裂な思考などがみられたり、無表情・無感情で自分の殻に閉じこもる状況も見られます。

具体的な症状は、主に以下のものになります。
①幻聴や幻覚
②被害妄想
③現実と思考との混乱、支離滅裂な思考
④無表情・無感情で自分の殻に閉じこもる。

陽性症状(幻聴・幻覚、被害妄想)と陰性症状(感情鈍麻)の症状があり、就労できる状態になるのは、陰性症状になってからと言われています。個人差があるので一概にはいえないものの、多くの統合失調症を発症して陽性症状の場合は、病院に通ったり、入院することが多く、症状が安定して陰性症状になってから就労移行支援事業所等に通って就労の準備をすることが多いようです。

症状は個人差があるものの、薬等の治療により、陽性症状が改善しても病前と同じ状態になることは難しいといわれています。

就労の場面で気をつけたい点は、コミュニケーション能力が低下しているので、被害的に受け止めたり、相手の感情に気づかないなどの状況が見られます。このようなことが原因で、対人関係作りに支障がでることがありますので、周囲の理解が必要になってきます。

また、気持ちをコントロールする能力が低下したり、いつも緊張感を持ち続けてしまい疲れやすい、ストレスに弱いという点もありますので、職場や仕事内容に慣れるまでには、ある程度時間的にも業務的にも余裕をもたせて行なったほうがよいでしょう。

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てんかん

てんかんは、反復する発作がある慢性的な大脳疾患で、原因不明の突発性てんかんと脳の障害や傷が原因の症候性てんかんがあります。

てんかんの大半は、小児期に年齢依存的に発病し、発作を持ったまま青年成人期を迎えるとされていますが、大人になってから発症するケースもあります。

てんかん発作は、一時的なものですが反復することもあります。発作は突然起き、患者自身は発作中の状況がわからないことが多いと言われています。また、姿勢が保てなくなったり、意識がなくなることがあるので、身体的外傷の危険が伴うことがあるので、発作があるときは静かなところで横にしたりするなど、安静にすることが大切です。

基本的に薬物治療を行なっていますので、薬の飲み忘れをしないように本人が管理できるとともに、発作が起きたときにどのように対処してほしいのかを事前に確認しておくことが大切です。

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薬

うつ病

うつ病は気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害です。感情面に注目されることが多くありますが、感情面のみでなく、身体症状も現れるのが特徴です。

一日中、気分の落ち込みがありますが、とくに朝方にひどく、夕方にかけて軽くなっていく傾向があるようです。また、睡眠障害は、ほとんどの患者が訴える症状で、まったく眠れない、寝付いてもすぐに目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)などのタイプがあります。その中でも特に、早朝覚醒が多くみられるようです。

また、食欲が低下し、味気なく感じ、体重が減少することがあります。しかし、一方で、睡眠欲と食欲が異常に高まり、過眠や過食になる人もいるようです。

その他の症状としては、性欲減退、疲労・倦怠、頭重・頭痛、めまい、便秘・下痢などが見られることがあります。

精神的症状は、決断力が鈍り、仕事に対する意欲や趣味に対する興味もわかなくなります。気持ちが落ち着かなくなり、イライラして、不安や焦りが強いことも見られます。動作が緩慢になり、ひどくなると、意識があるのに身動きできなくなる(昏迷)こともあります。

また、罪悪感は特徴的な症状で、自分のことを責める気持ち(自責感)が強くなり、ひどい場合には、死ぬことを考えるようになり、自殺するおそれがあります。

そううつ病(双極性障害)

そう状態とうつ状態が繰り返され、極端な気分の変化が現れることから、「双極性障害」という病名が使われるようになりました。

そう状態では、気分が高揚して非常に活動的になるので、気分が爽快で、自信に満ちあふれたり、超能力があるなどと誇大妄想を抱くようになることがあります。仕事などでもバリバリこなしていたりするので、周囲からは精神状態が厳しいことに気づかれないことが多くあります(本人も自覚がないことが多いようです)。

一方で、自尊心が高まり、無遠慮で傲慢な態度をとったり、ささいなことに激怒したりして、対人関係での問題も起こしやすい状況が見られます。睡眠欲が減少してあまり眠らなくなり、一つのことに集中できず、注意や関心が次々と変わる状況も見られます。治療法としては、抗精神病薬と気分安定薬を併用することになります。

精神作用物質による急性中毒またはその依存症

精神作用物質による急性中毒またはその依存症は、精神作用物質の摂取によって引き起こされる精神および行動の障害を指します。精神作用物質には、アルコール等の嗜好品、麻薬、覚せい剤、コカイン、向精神薬等の医療医薬品が含まれます。

直接、精神作用物質のよる影響だけでなく、例えばアルコールに関すると、大量摂取によって脳機能が破壊され、記憶が低下したり、睡眠障害、うつ病、依存症、認知症等に罹患する可能性があります。

また、アルコール依存症になると、離脱症状として不眠、高血圧、頭痛、発汗、吐気、手指のふるえなどの他、重症になると幻視、幻聴、記憶障害などが見られることもあります。

まとめ

障害者雇用促進法における精神障害について見てきました。基本的に障害者雇用における精神障害者とは、精神保健福祉手帳の交付を受けており、統合失調症、そううつ病、てんかん等の症状がある人のことを示しています。

また、精神保健福祉手帳は、一度取得したら継続的にもっているものではなく、手帳認定は2年ごとに更新することが必要になってきます。

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