障害者雇用で成功している企業がしていること5選

障害者雇用で成功している企業がしていること5選

2024年06月18日 | 企業の障害者雇用

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障害者雇用を成功させている企業は、単になんとなくやったからうまくいったのではなく、成功するためのポイントを押さえています。
障害者雇用に20年関わってきた専門家からみた成功している企業が実践している5つの取り組みのポイントを紹介します。

その1:企業の明確なビジョン・ミッションとトップダウンのサポート

障害者雇用で成功している企業は、障害者雇用に対する明確なビジョンとミッションを掲げています。このような取り組みは、企業全体の方向性を示し、従業員全員が共通の目標に向かって努力する基盤となります。
また、明確な方針ができたら、トップからの積極的な支援とメッセージは、障害者雇用の成功に不可欠です。経営層が率先して障害者雇用を推進する姿勢を示すことで、組織全体に強力なメッセージが伝わり、従業員の意識と行動が変わります。
例えば、CEOや取締役が社内外で障害者雇用の重要性について発言したり、具体的な支援策を公表したりすることが効果的です。また、トップマネジメントが直接障害者の雇用現場を視察し、現場の声を聞くことも大きなインパクトを与えます。

その2:計画的に障害者雇用を進め、明確な採用基準をもつ

障害者雇用は法定雇用率が定められていたり、障害者雇用納付金、雇用率が未達成の場合には、「障害者雇入れ計画書」の作成、企業名公表などがあるために、障害者雇用率のために採用をせざるを得ない状況になってしまうことがあります。このような状況で採用をすると、採用基準には達していないのに数合わせで雇用してしまい、結果的に早期離職につながってしまいます。
企業側では失敗したケースがあると、他の社員からの協力を得られにくくなりますし、雇用関係のトラブルに巻き込まれて疲弊したり、今後の助成金等への影響が起こることもあります。障害者雇用率を達成するためだけに採用を行うことは、企業にとっても、採用する障害者にとってもデメリットしかありませんので、避けてください。そのためにも計画的に進めることが大切です。
また、どのような障害者を採用するか、具体的な基準を設けておくようにします。明確な基準を設けることで、採用プロセスが透明化され、公平な評価が可能となります。また、企業が求めるスキルや適性に基づいて採用を行うことで、適材適所の人材配置が実現し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
近年は、精神障害者手帳をもった人の応募が増えています。精神障害は定着や対応が難しいと感じている人が多いですが、今はいろいろな精神障害の方がいます。これまでのキャリアやスキルを活かせる人材も多いので、障害の種別で判断するのではなく、業務を遂行する能力や適性で判断することが重要です。
障害の種類や程度に関わらず、求められる業務に対して適切なスキルや能力を持つ人材を採用することで、業務に貢献してもらうことができます。そのためには、スキルや適性に合った人材を見つけることが成功の鍵です。障害者の持つスキルや経験を正確に評価し、業務にマッチする人材を採用するためのプロセスを整える必要があります。そのためには、具体的な採用基準を設けましょう。

その3:社内研修の実施

障害者雇用は一部の部門や社員が取り組んでいたのでは、決してうまくいきません。社員の理解と協力が不可欠です。組織としての取り組みを明確化し、障害者雇用が企業の重要な方針であることを示すことが大切です。そのためには、社員にその必要性や意義を伝えたり、実際に障害者と接するときに困らないようにしておく必要があります。

定期的な社内研修の実施が効果的です。研修では次のようなポイントを伝えるとよいでしょう。
・障害者雇用の法的背景と多様性を取り入れることのメリット
・障害の種類や特徴、接し方
・障害に応じた合理的配慮の提供
・障害者と共に働くためのコミュニケーション方法
・職場環境の整備とサポート体制

研修を通じて、社員は障害者雇用の意義を理解し、実践するための知識を深めることができます。障害者の早期離職の理由としてよく挙げられる点は、「職場の理解がない」という点です。社員の多くは、障害者と一緒に接する機会がなかったり、どのように対応してよいのかがわからずにうまく対応できていないことが見られます。障害の内容や特徴、どのようなポイントを押さえておくとよいのかなどを知ると、日常業務において自然に配慮ができるようになります。

その4:採用前の企業実習の活用

障害者の採用プロセスにおいては、企業実習を活用することは非常に有効です。採用前に実習を通じて実際の職務を体験してもらうことで、候補者の適性を確認することができます。実習をした上で採用の判断を行うことができるので、「思っていたのと違った」ということを防ぐのにとても役立ちます。

面接では、障害当事者側もイメージや意欲を中心に話しますが、実習することにより、言葉だけでなく、実務面でも職場環境に適応できるかどうかを確認することができます。また、実際の業務を遂行する中で、どのような配慮やサポートが必要かを見極めることができ、職場で適応できそうかどうか、対応できるのかを事前に判断することができます。

まだ準備できていなくても必要なことが見つかれば、採用前に事前に対応することができますし、面接で受け答えはよくても実際には難しいとわかる場合もあります。採用前に実習を行うことで、候補者と企業の双方が適合性を確認することができ、ミスマッチによる早期離職のリスクを大幅に減少させることができます。企業実習は、候補者にとっても企業にとっても適合性を確認する機会となります。

採用前の準備は大変に感じるかもしれませんが、雇用すれば同じことが生じます。企業実習ではその準備ができ、対応を事前にできますし、候補者の適性や業務スキルとともに、組織の雰囲気や職場環境にフィットするかを見極めることができます。この双方向の確認プロセスを経ることで、採用後のトラブルを未然に防ぎ、長期的な雇用関係を築く基盤が整います。

その5:障害者雇用に関する支援機関の活用

障害者雇用ではサポートする機関がたくさんあります。これらの外部支援機関のサポートを活用することで、障害者雇用をより効果的に推進することができます。外部の支援機関と連携することには多くのメリットがあります。まず、障害者雇用に関する専門知識やノウハウを持つ機関からのアドバイスを受けることで、企業はより適切な対応が可能となります。

また、支援機関の多くは、働きたい障害者との接点が多く、求職者とのマッチングを支援しているため、企業が求めるスキルや適性を持つ候補者を見つけやすくなります。他の企業の雇用事例などの情報を持っていることも多いです。

ただし、外部の支援機関を活用する際には注意点も必要です。国からの資金が入る就労系障害福祉サービスは、障害者雇用の経験や知識が少ないスタッフが在籍していることが多く、企業のニーズを把握できていない場合も少なくありません。支援機関の実績や評判を確認し、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。他の企業の事例や成功例を参考にし、実績のある機関と連携することを推奨します。

また、当事者に寄り添うことは大事ですが、福祉系出身の方の中には、障害当事者だけを見た合理的配慮を求めてくることがあります。企業では組織への影響や費用対効果などを考えながら対応の可否を検討しますが、当事者の視点からのみ要望してくることがあり、企業の感覚や求めることを把握できていないこともあります。そのようなときには、企業のニーズや期待を明確に伝えることが重要です。

障害者雇用の支援機関として活用できる機関は、次のようなものがあります。
・ハローワーク
全国各地にあり、障害者向けの就職支援サービスを提供。
・地域障害者職業センター
職業相談、職業準備支援、職場開拓などをサポート、配置型ジョブコーチが在籍。
・障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
就業だけでなく、日常・社会生活支援も提供する総合的な支援機関。
・就労移行支援事業所
一般就労に移行するための訓練や支援を提供する機関。職業訓練や職場体験、就職活動のサポートを行う。
・就労定着支援事業所
就職後の職場定着をサポートを提供。就労後のフォローアップや職場環境の調整などを行う。

動画で解説

まとめ

障害者雇用で成功している企業がしている5つのポイントについて解説してきました。5つのポイントは、次のとおりです。

1.明確なビジョン、ミッションとトップダウンのサポート
障害者雇用に対する明確なビジョンとミッションを掲げ、トップや役員が積極的に支援することで、全社員が共通の目標に向かって努力する基盤を作ります。

2.計画的な障害者雇用と明確な採用基準の設定
計画的に障害者雇用を進め、具体的な採用基準を設けることで、適材適所の人材配置が実現し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

3.社内研修の実施
定期的な社内研修を通じて、全社員が障害者雇用の意義を理解し、実践するための知識を深めることで、職場全体の理解と協力を促進します。

4.採用前の企業実習の活用
採用前に企業実習を行うことで、候補者の適性を確認し、ミスマッチによる早期離職のリスクを減少させます。

5.障害者雇用に関する支援機関の活用
外部支援機関のサポートを活用することで、障害者雇用をより効果的に進め、専門知識やノウハウを取り入れることができます。

これらの取り組みを実践することで、あなたの企業の障害者雇用も成功に一歩近づくことができます。ぜひ、具体的なプランを作成し、実行してください。

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