【障害者雇用】特別支援学校ではどのようなことを学んでいる?

【障害者雇用】特別支援学校ではどのようなことを学んでいる?

2021年12月28日 | 採用活動

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障害者雇用で採用を考えるときに、採用候補の1つとして考えておくとよいのが、特別支援学校からの採用です。特別支援学校の生徒というと、「障害が重そうで、就職できる人はいないのでは・・・」とイメージされる方もいますが、最近の特別支援学校では、就労に向けた職場実習や就労をイメージした学習がかなり行われています。

もちろん特別支援学校に通うすべての学生が就職できるわけではありませんが、企業で採用を考えている職種と障害がマッチングする場合には、かなり有効的な採用ルートになります。

ここでは、特別支援学校からの就職率の割合や、どのようなことを学んでいるのか、また職場実習などについて見ていきます。

特別支援学校からの就職率は、全体で3割程度

特別支援学校からの就職率は、どれくらいあるのかについて見ていきましょう。

厚生労働省から出されている「就労施策支援の対象となる障害者数と進路先」を見ると、2.2万人の卒業生に対して就職している学生は7204人です。約32%の学生が就職していることがわかります。

また、障害福祉サービスと呼ばれる「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」などの就労系障害福祉サービスに進んだ学生は13,269人と、その割合は約59%になります。(就労移行支援は、就労を目指す障害者が就労準備を行うために最大2年間通える就労訓練機関で、ここから企業就労につなげるケースも多くなります。)

そして、大学や専修学校等への進学は、712人と約3%となっています。

出典:就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ(厚生労働省)

特別支援学校高等部の卒業後の状況を見ても、進学は2%、就職は31%、福祉施設等は61%と、厚生労働省から出された数字とほぼ同じ物となっています。

出典:特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況(平成30年3月卒業者)学校基本統計(文部科学省)

一言で特別支援学校と言っても、いろいろな障害種別の学校があります。ここまで見てきた数字は、特別支援学校全体の数字です。障害者の採用を考えている場合には、就職に力を入れている学校、就職率の高い学校を選んで、採用活動をしていくとよいでしょう。。

また、障害種別によって学んでいる内容は異なります。一般的な障害者雇用の場合に活用されることが多いのは、知的障害の特別支援学校です。どのようなことを就職に向けて学んでいるのかを、次に見ていきます。

特別支援学校で就労に向けて学んでいる内容とは?

特別支援学校の高等部では、一般的な普通教科の他に、職業に関する専門的な学習や実習を行います。高等学校卒業時に就労を目指す生徒も多く、学校によってコース等は異なりますが、流通・サービスや福祉などの実践的な学びから、就労に必要な知識や技能を身に着けます。また、学部の専門家講師から学べる学校もあります。

次のような実践的な学びのコースや場を設けています。

ビルクリーニングコース

清掃の掃く、拭く、磨くなどの清掃の基本や、日常清掃、ポリッシャーなどの専門の機械による定期清掃ができるように学びます。

ロジスティックコース

包装、流通加工を中心に、商品の入出荷、及びメール、仕分け業の基本などを行います。

事務・情報処理コース

事務やパソコンの基本を学びます。書類作成、印刷機や事務用品の基本的な使い方を身に着けます。また、パソコンの基本的な使い方やソフトの活用方法を学びます。

食品・喫茶・パン作りなど

厨房における食器洗浄、食材の下処理や調理、カフェでのドリンク作り、接客などの基本を学習します。校内に外部向けのカフェやレストラン、パン屋等を併設しているところでは、開店準備から営業までの店舗運営について学んだり、実際に外部のお客さんの接客を行うこともあります。

福祉・介護

介護業務の基本的な知識と技能を学びます。関連する間接業務や接遇マナー、近隣のデイサービスや介護施設等で実習を行います。

農業・園芸

農業や園芸の基本的な知識や、野菜や花の栽培、収穫等に関する知識と技術の習得を目指します。屋外での作業とともに、種まきや苗の植え替え、ドライフラワーアレンジメントなどの屋内でできる作業も行っています。

高等部卒業の就職先は?

就職に関しては、地域や学校にもよりますが、学んだことを活かせる就職を目指す学生が増えています。

清掃関連では、ビルメンテナンス会社に就職したり、清掃、ゴミ回収などの業務に携わる卒業生もいます。また、ロジスティックス関係では、流通業や店舗などに就職して、箱詰めや梱包、荷物の仕分け、商品の品出しなどに関わることもあります。

事務関係では、パソコンを使ってデータ入力や、郵便物の集配、仕分け、資料作成や発送業務に携わることが多くあります。食品関係では、レストランやカフェなどの調理補助や食器洗浄、配膳や接客などを行っています。

近年、福祉や医療関連の就職先も増えており、介護施設や病院などの介護補助やリネン交換、ベットメイキングなどの仕事をする卒業生も多くいます。

特別支援学校からの職場実習や採用するためには

多くの特別支援学校では、職場実習は春、秋に行われています。就職を目的とする実習以外にも、高等部1年生や2年生から現場実習に出て、企業で働くことを経験することも増えています。

採用を前提とした職場実習を行いたいときには、早めに進路担当の教員と連絡をとることをおすすめします。地域や学校にもよりますが、多くの場合、高等部2年生から実習が行われていることが多く、高等部3年では、実習した企業にそのまま就職することも多いからです。そのため少なくとも採用の1年前、できれば2年位前からコンタクトを取っておくと良いでしょう。

就労移行支援事業所等から採用をする場合には、企業のタイミングに合わせて採用することができますが、特別支援学校からの採用の場合には卒業時期が3月ですので、採用できる時期は4月となります。

動画の解説はこちらから

まとめ

障害者雇用で採用候補の1つとして考えておくとよい特別支援学校からの採用について考えてきました。特別支援学校ではどのようなことを学んでいるのか、また職場実習などがあることから採用を考えてもいいなと感じた企業の担当者もいるかもしれません。

特別支援学校からの就職率は、全体で見ると3割とそれほど高いわけではありません。しかし、近年の特別支援学校では職業訓練も充実してきています。もちろん高校新卒の採用にあたりますので、即戦力となることは難しいかもしれませんが、職種と障害がマッチングする場合にはかなり有効的な採用ルートになると言えるでしょう。

参考

採用ミスマッチを減らす障がい者の「職場実習」、導入手順と注意点とは?

障害者雇用の採用において、現場実習を行うメリットとは?

特別支援学校が取り組む就労にむけたキャリア教育とは

特別支援学校と特別支援学級の違いとは?特別支援教育を解説します

障害者採用に活用できる就労移行支援事業所とは?

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