障害者雇用担当者が知っておきたい統合失調症の副作用の影響

障害者雇用担当者が知っておきたい統合失調症の副作用の影響

2018年01月8日 | 障害別の特性・配慮

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統合失調症の治療は、薬・リハビリテーション・心理的ケアの3つを組み合わせながら進めていくもので、この3つの中でも基本は薬物療法です。薬物療法では、精神症状を改善し、再発を防ぐためのものになります。

統合失調症の採用を考えたり、雇用をしている場合、服薬管理がきちんとできているか、副作用がどのようなものかを知っておくと、雇用管理や配慮が行いやすくなるかもしれません。

ここでは、統合失調症の服薬について、また服薬の影響としてでる副作用について見ていきます。

統合失調症の治療の基本は薬物療法

統合失調症は、薬物療法なしでは、病気は良くならないと言われています。薬物療法の中心は、抗精神病薬になり、その他の症状に対しては補助治療薬が使われます。

抗精神病薬は統合失調症の治療には欠かせないもので、他の治療いくらやっても、薬を飲まなかったら全く治療していないのに等しいと言われるほど、重要なものになります。抗精神病薬には多くの種類がありますが、定形抗精神病薬と非定型抗精神病薬の2つに大きく分けられます。

ほとんどの抗精神病薬は、いくつかの作用を合わせ持ちますが、定形タイプは、主に妄想、幻覚、興奮などの陽性症状に効果を発揮します。一方、非定型タイプは、1990年代以降に登場した新しいタイプの抗精神病薬で、陽性症状だけでなく陰性症状への効果もある程度期待できるとされています。震え(パーキンソン症状)などの副作用が少なく、補助治療薬を減らすことができます。

副作用は自己判断で対処せず、医師と相談する

抗精神病薬にかぎらず、どんな薬でも副作用があります。しかし、それを理由に、自己判断でやめたり、調整すると、治療の効果は望めません。マイナス面の副作用を気にするあまり、プラス面の効果に目を向けなくなるのは問題です。抗精神病薬の有効性は医学的に十分証明されていますし、安全性も確認されています。

医師は患者に現れる反応(効果や副作用)を見て、処方している薬がその人に合っているかどうかを判断します。もし、副作用等が出て薬が合っていないとわかれば、種類を変えたり、量を調整したり、副作用抑える薬を使ったりして、病気が良い方向へ向かうように対処法を考えていきます。治療法を決めるプロセスには、効果だけでなく副作用の情報も重要となります。

多くの副作用は、飲み始めの時期がいちばん強く、時間が経つにつれ、徐々に薄れていきます。反対に効果が現れるまでには、時間がかかります。その前に、副作用を恐れて薬をやめてしまうと意味がありません。

抗精神病薬は、気長に飲み続けていく必要があるものです。当事者本人の判断や考えで、薬をやめたり、種類や量を変えたりすることは危険で、必ず医師に相談するようにする必要があります。

抗精神病薬の主な副作用

抗精神病薬の副作用として、以下のような副作用が見られます。雇用後に服薬している薬が変わることがありますが、薬が変化するときには、体への影響や副作用も出やすくなります。統合失調症の社員の調子に変化が見られるときの多くは、服薬している可能性があります。事前に知っておくと、社内での対応や配慮が行いやすくなります。どのような副作用があるのかを事前に知っておくとよいでしょう。

自律神経への影響

・口の渇き、よだれ
・立ちくらみ

抗精神病薬は、自律神経にも作用し、自律神経が調整しているさまざまな臓器に影響が及びます。薬に慣れていくと消えていくものが多く、治療薬を使ったり、生活習慣を工夫することで対処できます。

体の動きへの影響

・手が震える、無表情になる(パーキンソン症状)
・じっとしていられなくなる(アカシジア)
・手足が突っ張ったり、ねじれる(急性ジストニア)

薬に対して不安を持つことが多い副作用ですが、抗パーキンソン薬などで改善できます。このような症状が出るときには、医療機関や医師と連絡を取り、対処するように本人に促すことができます。

過剰な鎮静作用

・眠気
・だるさ

幻覚や妄想を和らげる抗精神病薬には、鎮静作用があります。眠気やだるさは、薬が効いているあらわれでもあり、急性期にはよく眠ることが回復につながります。職場での影響が大きいときなどは、医師に相談するとよいでしょう。

注意が必要な副作用

・体重増加
・口をモグモグさせる
・舌や唇が震える(遅発性ジスキネジア)
・突然の高熱、筋肉の硬直、意識障害(悪性症候群)

体重が増えて血糖値が高くなると、糖尿病の心配がでてきます。オランザピンなど体重増加の傾向がある薬を使っている場合は、血糖値を定期的にチェックすることも大切です。遅発性ジスキネジアは改善しづらく、治療法が見つかっていません。医師と相談し、薬を変えるなどの対処をします。

悪性症候群はめったに起こらないと言われていますが、起こった場合は緊急に対処しないと、命に関わることがあります。直ちに主治医に連絡し、指示に従って治療を受ける必要があります。

このような副作用は、すべての統合失調症の患者に出るわけではありません。副作用のあらわれ方は、人によってさまざまですし、薬の種類によっても違います。薬が必要なときにはしっかり服用し、症状が安定したら医師と相談しながら減量しながら飲み続けることによって、副作用の予防へとつながります。職場で一緒に働いていて症状が気になるときには、医療機関に行くことをすすめるとよいでしょう。

動画の解説はこちらから

まとめ

統合失調症の服薬について、また服薬の影響としてでる副作用について見てきました。統合失調症の治療は、薬・リハビリテーション・心理的ケアの3つを組み合わせながら進めていくもので、この3つの中でも基本は薬物療法です。統合失調症の治療における服薬は、精神症状を改善し、再発を防ぐものとして、重要なポイントになります。

そのため症状が安定しているように見えたとしても、医師の指示にそった服薬をきちんとしているかどうかが、安定的な就労ができるかどうかの見極めの1つのポイントとなります。平成30年4月から精神障害の雇用が義務化となり、精神障害者の短時間労働雇用率のカウントに特例措置も設けられます。

統合失調症の社員の採用を考えている場合には、服薬管理がきちんとできているかを確認するようにしましょう。自分で判断して服薬をやめたりするとその影響も大きいので、病状に対する認識や医療機関との連携情報についても聞いておくと役に立ちます。雇用をしている場合には、薬が変わることで、体調に変化が見られることがあります。副作用がどのようなものかを知っておくと、適切な雇用管理や配慮を行うのに役立つでしょう。

参考

【統合失調症】症状や発症から回復までの経緯、働くことの大切さ

【統合失調症】職場や人事担当者が知っておきたい症状と経過

統合失調症の障害者と一緒に働くときに知っておきたいポイントとは?

平成30年4月からの障害者法定雇用率の引き上げ

平成30年4月から精神障害者の短時間労働雇用率のカウントに特例措置

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