障害者雇用の中で増えてきている精神・発達障害。しかし障害者雇用を進めている企業の中でも、まだ手探り状態で進めているところも少なくありません。そんな中で、精神・発達障害の方がITに関する業務を1人1プロジェクトで担い、しかもフルリモート・フルフレックスで取り組んでいるのが日揮の特例子会社である日揮パラレルテクノロジーズ株式会社さんです。
今回は、日揮パラレルテクノロジーズの代表取締役社長である阿渡 健太(あわたり けんた)様から、業務や精神・発達障害の方が活躍している仕事のスタイル、採用方法などについて、これまでの取り組みをお話いただきました。
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日揮パラレルテクノロジーズ株式会社(JPT、特例子会社)の概要
事業内容
・日揮グループ内のIT業務支援
設立:2021年1月
社員:42名(うち39名が身体、精神・発達障害、9割を精神・発達が占める)
ホームページ
公式note
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Q:日揮パラレルテクノロジーズ(以下JPT)さんの会社の事業内容について、お聞かせください。
A:事業内容は、国内の日揮グループ向けにIT、DX化の支援をしています。特例子会社の設立は2021年1月で、現在の社員数は42名、そのうち39名が障害者、3名が健常者です。障害別でいうと精神発達の方が9割 ほどを占めています。
Q:特例子会社はどのような経緯で立ち上げられたのでしょうか。
A:日揮グループは2019年10月に分社化して、それまで1つの日揮株式会社という企業が3つに分かれ、障害者の社員はその3社に所属することになりました。ただ、障害者雇用が足りていないところがあり、ハローワークの行政指導の対象になりそうな状況になってしまったんです。その企業は海外での仕事になるため、なかなか人材が見つかりませんでした。そのため他の2社に偏ってしまうという状況にあり、会社としての課題がありました。
当時、私ともう一人の担当がいて、これをどうやって解決したらよいのかと、いろんな方法を考えたんです。各社でどうやって雇用しようかと話し合っているうちに、特例子会社制度を活用するのがいいのではないかという話になりました。そこで、特例子会社を作るのはいいけれど、どんなことを事業にすればよいのか、軽作業などの業務などではありきたりだし、誰でもできそうだから、あんまり面白くないなと思っていたんです。
私自身も日揮で障害者雇用されていましたが、障害者雇用率達成するために雇用されて、とりあえず人事部に入って仕事というような感じだったので、障害当事者たちからすると夢や希望、やりがいがないなと感じたことがありました。そういう経験から、同じように感じてほしくないと思ったし、障害者自身がもっと活躍できる面白いことをやりたいと考えたんです。
そんな中で情報収集していると、就労移行でITに特化しているという事業所を見学に行く機会がありました。そこは、発達障害、精神障害の方が多かったんですが、ITの業務をしていて、非常にスキルが高いということを目にして、これならいけるんじゃないかと思ったんです。
また、もともと日揮の中ではIT人材が足りないという課題もありました。分社化の前から、ITやDX化を進めていかなければという意識は社内でもありました。しかし、日揮はプラントを作る会社なので、技術は強くてプラントエンジニアはたくさんいるんですが、ITが強いというわけではありませんでした。企業としてのITグランドプランを作成していたものの、ITエンジニアがいなくて、実際に手を動かす人がいなかったんです。また、ITに強い人材はなかなか採用できない。
それで、2つの課題となっていたIT人材が足りないこと、障害者雇用が足りないこと、この2つの課題を一気に解決 できるんじゃないかと考えて、特例子会社を設立して、「IT✕障害者雇用」というコンセプトで進めることにしたんです。でも、設立してうまくいかなかったら困るので、まずはインターンを受け入れてみようということになりました。特例設立前にITに強い就労移行支援事業所からインターンシップ生をオンラインで受け入れたところ、そのアウトプットが非常に良く、顧客からも高評価で、非常に助かったと喜んでいただけたんです。
Q:特例子会社を設立する前は、どのような障害者雇用をされていたんですか。
A:当然、障害者雇用には取り組んでいました。でも、雇用率が達成できていなくて、障害者雇用納付金を納めている時もありました。また、現場を見ると、配属先の部門でマネジメント側がどのような業務を任せてよいのかわからずに、雇用はしたもののなかなか活躍の場が見いだせないということもありました。これは、お互いにとってよくないなという課題がありました。
例えば、受け入れる部門の準備ができていない、障害理解が足りないとか、どのような仕事を与えたらよいのかわからない、どのように付き合えばいいかわからないなどですね。業務的には、人事や総務などのバックオフィス系をサポートする業務が多かったです。私自身も最初は人事の給与のチームに配属されて、そこから人事畑をずっと歩んできました。
Q:人事畑からITやDXの業務という発想がすごいですね。キャリアとしてのご経験はなくても取り組むというのは、なかなかのチャレンジですよね。
A:そうですね。組織としてチャレンジする文化というのは、日揮の中には間違いなくあると思います。若手が声をあげれば、上司も聞いてくれるところはあるので、そこは非常に風通しのいい社風だと思います。特例子会社を一緒に作ったもう一人もキャリア的にITやDXに関わってきたわけではありませんでしたから。
特例子会社での業務を考えていく中で、いろんなところに見学に行ったんです。野菜を作ってるところ、クリーニング、名刺やデザインを手掛けているところなど、いろんな特例子会社を見る中で、「なるほど、こういう仕事があるんだ。」といろいろなイメージが膨らみました。カフェもいいねとか、社内でマッサージをやってみようとか、2人で喧々諤々話し合ったんです。その中で、先ほど話したITの就労移行支援事業所を見て、これなら行けそうだと一番ピンときたんです。
Q:実際に障害者の業務としては、どのような分野のことをされているんですか。
A:業務分野としては、3つの領域をやっています。AI系とWeb系、そしてUnityという3Dの仮想空間に分かれています。Unityは最近始めたのでこれからです。今はAIとWeb系の2つが大きな柱となっています。インターンの時には、AI系とWeb系の2つの課題を用意していて、どちらかを選択してもらい、入社したらその分野に配属という形になっています。
この業務をする上でJPTの特徴的な要素がいくつかあります。まず、在宅勤務で、社員は基本的に全国に散らばっていて、自宅で仕事をするという形になっています。
そして1人1プロジェクトで仕事をしています。一般的な会社では、1つのプロジェクトをチームで遂行していきますが、私たちは1人で1つのプロジェクトを行っています。
IT系の仕事で、例えば何かWEBアプリを作って欲しいと依頼がくると、1人の社員が顧客と一緒に伴走しながら要件定義をして、自分でプログラミングコードを書き、テストして、納品する、1人で完結するというスタイルを取っています。こういうスタイルになった経緯は、特例の立ち上げ前にインターンを実施した際に、人間関係の摩擦により体調が崩れるなどのデメリットがネックになるとわかったからです。
また、1人1プロジェクトを成立させるために、業務は「重要だけど、緊急ではない」ものとしています。日揮では海外でプラントを建設する事業がメインで日々納期に追われているんです。そのような中でIT化、DX化をするように言われても、なかなか手がつけられないという状況でした。その「重要だけど、緊急ではない」業務を私たちがお手伝いするというボジションを取っています。仕事は基本的に納期がありません。だから自分のペースで業務を進められる体制が取れるようになっています。
そして、仕事はフルリモート・フルフレックスなので、自宅で、自分の好きな時間帯(深夜22:00-朝5:00は原則禁止)に働くことができます。朝型の人、夜型の人それぞれなので、自分の働きやすい時間帯で働いてくださいとしています。短時間勤務も認めています。これは、育児・介護などに限定せず、人によっていろいろな事情があるので、勤務時間を週20時間~40時間の間で選ぶことができるようにしているからです。
コミュニケーションに関しては、テキストベースで行うことにしています。オンラインでも話すとハードルが上がったり、1回では理解できない、メモが取れないなどいろいろあるので、基本はテキストベースで仕事を進めるようにしています。
Q:リモートワークで1人1プロジェクトすごいですね。具体的な業務内容の事例をお聞きしたいです。
A:業務は本当に多岐にわたっているんですが、Web系の仕事の一例をお話します。日揮グループには独身寮があります。そして、その独身寮の食事の予約を管理するシステムがありました。少し古いソフトを使っていたので「使いにくい」という声がたくさんあったんです。そこで、私たちがWebアプリ化して、食事の予約理アプリを1人の社員がゼロから作りました。
作る過程の中では、どのような機能が必要なのか、毎月の請求の時期や方法、何をアウトプットしたらよいのかという要件定義を顧客とすり合わせをして、実際に社員がそのコードを書いてアプリ化してテストする。問題なければ納品するという流れを一人で業務をしていきます。
Q:それは、寮の食事の予約と請求までのシステムを作ったということですね。
A:そうです。寮では、朝夜食事が2回あるので、それの予約期限が決まっています。寮ではその予約を見て、何食分を作ればよいのかを計算します。そして、月が閉まるとそれに合わせて請求をします。例えば、Aさんは10食食べた。そして、朝と夜で金額が異なるので、それをExcelのようなもので出して、その分を給与控除するというフローの仕事がありました。これは、もともとHDの人事部門が担当していた業務です。
こういった社内にあるIT・ DX化したいニーズというのはたくさんあるので、このような業務を受けています。「こういうことができませんか?」という依頼を受けると、社員をアサインして、社員と顧客が伴走しながら、それを作っていくというイメージです。
Q:なるほど、コンサル会社のようですね。今では、こういうものを依頼したいというのはでてくると思うのですが、一番はじめの取り掛かりのときは、依頼する方からもイメージがつきにくいと思うのですが、その辺の働きかけやアプローチはどのようにされたんですか?
A:ここは、本当に泥臭くやってきました。私たちはIT素養がないので、まずは顧客に何かIT化やDX化したいものはありますか?とヒアリングします。そこでこういうのをやりたいという依頼があると、社員にそれを伝えます。そしてできそうだという判断になると、顧客に伝えてて仕事につなげるというのを一つ一つやっていきました。
Q:本当にニーズを掘り起こしながら、進めていったという感じなんですね。
A:そうですね。はじめはそうでしたが、今はできた仕事を営業データベースのような形で顧客に見れるようにしているので、JPTはどんな仕事ができるのか、できそうなのかが、それを見てわかるようになっています。データーベースには、これまでに完了した約150件が掲載されています。だから、うちの部門の仕事もできるかもしれないと思ってもらえるので、今は依頼がたくさん来る状態になっています。仕事のほうが余ってしまっている感じですね。20~30案件が待ち状態です。納期がないので、社員は自分のペースで仕事をこなしていき、完了した人から次の仕事に取り掛かるという形になっています。
Q:依頼が来るのは、満遍なくどこからも依頼が来るんですか。それとも1回頼んだような部門からのリピーターが多いんですか。
A:リピーターが多いですね。依頼先は偏りがあります。そもそもIT化、DX化したいニーズがある部署かどうかという仕事の内容も関係しますし、担当されている人が、それを課題に感じてるか感じていないかという部分もかなり大きいですね。課題に感じていないというか、そのままでいいと思っていれば、そういう着眼点にはならないので、当然依頼は少なくなります。
依頼を受けるときには、いい成果を出せる仕事にするというところも意識しています。依頼側にITの素養があると要件定義がしっかりしているので、明確にこうしたいというものがあると業務が進めやすくなります。でも、なんとなくこうだといいな、これがなんとなくやりづらいけれどどうしたらいいかなというような、ふわっとしてるものだと、形にするのが大変になります。
Q:なるほど、依頼する側のニーズがどれぐらい明確になっているかや、要求をしっかり言語化できるという点も大きく影響するんですね。人材採用は、どのようにされているんでしょうか。インターンが中心になるんでしょうか。
A:採用に関しては、今は年2回の4月入社、10月入社があります。だから半期に1回、入社の時期があります。採用計画は向こう3 年間ぐらいの予定があり、今は毎年10人ぐらいのペースで採用しています。2回あるので半期に約5人前後をイメージで動いています。
採用説明会はオンラインで行っていて、全国に展開しているIT特化型の就労移行支援事業所を中心に告知し、参加してもらっています。その後、1ヶ月間のインターンをします。AIコースとWEBコースの2つのコースに分けてそれぞれの課題を出します。その中では、リモート環境の中で、1ヶ月間、上限100時間の中で課題に取り組んでもらいます。このインターンの課題は非常に難易度が高く、かつ抽象度が高い課題にあえてしています。また上限時間を100時間としているので、どんなにすごい人でも完成はできないレベルに設定しているんです。
私たちが見たいのは、その限られた時間の中で取捨選択をして、どの程度まで持っていけるのかというプロセスを見ていきます。もちろん技術力は大切なんですけど、技術力だけじゃなくて、実際に1人1プロジェクトでやってくので、仕事の進め方なども重要視していますね。最終面接では、技術面だけでなく障害理解について聞きます。またJPTにマッチしてるかや、志望動機などもヒアリングして、最終的に採用が決まります。
Q:なるほど その全て業務リモートでされてるというところで、組織作りや社員の方の帰属意識という点で意識されているところはありますか。
A:いろいろな社員がいるので選択肢を増やすようにしています。リモートで働いていて、この距離感がちょうどいいという社員もいますし、逆に寂しいという社員もいます。寂しいという社員は、声をかければ話せる環境を作っています。ちょっと話聞いてくださいとか、社員同士でも雑談し易いコミュニティツールも活用しています。
それでも声をかけづらいという声もありますね。「みんな何してるのかな。忙しいかな。」って考えるようなんです。そこはチャットで「今話せる?」と1通送ればいいのにと私は思うんですが、そういうことが苦手な人もいます。試しにバーチャルオフィスをしてみましたが、うちではうまく定着しなかったことと、逆に負担に感じる人もいました。1人暮らしとかだと誰とも話さない1日があり寂しいという声もあり、なんとかしてあげたいという気持ちもありますが、一方、会社なので寂しさを埋めることが仕事ではないというところもあり、ある程度の割り切りも必要かなと思っています。
組織としてはミッション研修をしています。JPTのミッションは「誰もが対等に働ける社会の実現」を掲げていますが、これを自分事化(じぶんごとか)することを意識しています。ミッションというと結構ふわっとしているところがあります。でもそれを自分事化して、自分なりに考えるということを重要視しているんです。2ヶ月に1回、この研修をしています。
研修では、いろんな障害の方や、社会で生きづらさを感じてる人を講師に招いて、講和をしてもらいます。そして、話を聞いたあとに、その課題に対して私たちだったら何ができるかをグループワークで考えたり、アウトプットをしたりしています。これまでに、例えば目の見えない人、耳の聞こえない人、私のような身体障害の人の話を聞きます。私の時は、午前中はみんな手を「グー」にして過ごしてもらい、どういう弊害があるかとか、どのような苦労があるかということを体験してもらいました。そして、午後にみんなで集まってその体験や感想を話し合うんです。このような自分事化するという経験を通して研修しています。
また、研修講師には障害者の方だけでなく、LGBTQや在日韓国人の方、その他にも生きづらさや働きづらさを感じている人たちに来ていただき、研修をしています。普段はリモートで行いますが、年に1回は対面で集まることをします。今年はオリィ研究所さんの分身ロボットカフェに行って、実際にリモートで接客を受けることをみんなでしました。
Q:ミッション研修という響きから、会社のミッションなどについて考えるのかと思ったのですが、幅広い多様性を考える実践だなと感じました。JPTさんのミッションとどのように位置づけられているんですか。
A:私たちJPTのミッションは「全ての人が対等に働ける」ことです。でも、今JPTで雇用しているのは、主に精神・発達障害でITができる人に限られているんです。だからまだまだ道半ばなんですよね。「全ての人」になっていないのです。だから身体の人はまだ少ないし、ダウン症や全盲の人は雇用していません。
でも、そういう人たちにも新たな仕事を見つけたいという思いがあります。JPTは「IT✕精神・発達障害」という分野で活躍していて、今までにない領域だからこそ人材もくるし、メディアにも取り上げられている。でも、「〇〇×障害」のような新たな領域を作りたいんです。そのためには当事者である人たちのことをまず知らないといけない。だからお招きして話を聞いて、「あ、これだ。」とか「こことこれを掛け算したらいけるんじゃないか。」とか考えていくんです。ヘラルボニーさんは、知的の方とアートを掛け算していますよね。そういう発想をして、新しいブルーオーシャンを作りたいと思っています。
そのためには知らないとできないので、いろんな人に来ていただいて知る、自分たちだったらこの人たちが活躍できるところは何だろうと考える。もちろんすぐに答えが出るものではないですけれど、ミッションに立ち返って全ての人が対等に働ける社会を実現させるためには、自分たちはどういうことをすればいいかなというのを1人1人が考えていくということを大切にしています。
私は全社員にミッションに共感して欲しいとは思っていません。もちろんできればしてほしいし、理解もしてほしいんですけれど、やっぱりできないということでもいいと思ってるんです。逆に意見の違う社員が一定数いるからこそ、意見がいろいろ出ると思っています。
Q:なるほど。でもそれだけ特例子会社がしっかりしていると、本体やグループ会社の方たちが障害者雇用はJPTさんに任せればいいという感じが強くなるのでは・・・と感じますが、その辺はどのようにお考えですか。
A:私もはじめはそういう考えが強かったんです。他の国内のグループ会社から「障害者雇用のことを考えなくてもいいよね。」という声を聞くと、最初は自分たちでも考えてほしいと思っていました。でも今は逆にこのJPTという箱を使って、もっともっと面白いことができるんじゃないかなという発想になっています。障害者雇用をやりたくないとは全然思ってないので、この特例子会社とこの自由度を活用して、もっといろんな可能性があるんじゃないか、どうせやるなら楽しくやろうと思っていますね。
Q:これからもいろいろな進化がありそうで、楽しみですね。今、働いていらっしゃる方はどんな形でJPTさんと出会った方が多いんですか。
A:もう本当に人それぞれのストーリーがあるんですけれど、1番多いケースとしては、前職で働いていたときに障害者差別を受けたり、自分自身でも障害特性が理解できていなくて、周囲とうまく馴染めない。それで、うつ病等で休職して退職したものの、少し元気になって働きたいと思い、IT特化型の就労移行支援に行き勉強しようかなと。そこでJPTと出会い、未経験でもOKなので、インターンに挑戦してみたという人が多いですね。
入社してみて「こんなに自由で、自分の得意を活かしながら、自分のペースで働けて感謝している。こんないい会社があったんだ。」と感謝の言葉をかけられることが多いです。でも、私はこれが普通だと思っています。何もすごいことはしていません。私たちは働くためのハードルをグッと下げることを意識してきただけなんです。
少し話が戻るんですが、私が本社で採用の担当をしていた時に、1年間障害者採用をしていましたが、1人も採用できなかった時期がありました。最終面接までの人は何人かいたのですが、最終面接に行くと、役員が「この人はリスクが高そうだから、うちでは雇用できない。」と言うんです。
その裏には何があるかというと、大企業ならではの手厚いセーフティネットがありました。日揮の場合、病気で休んでも一定期間は給料が全額または一部支給されます。要するに手厚いセーフティネットがあるんです。そして、実際に社員の中でもそういう事例がでてくると、新しい人を雇用するときにやっぱりリスクだよねという考えになりがちなんです。
でも、これはやりたいこととやってることが違うんです。会社はDE&Iを進めたいと思っていながらも、手厚いセーフティネットがある故に、少しでもリスクがある人たちを雇用できなくしてしまっている。もちろん働いている社員にとっては安心だし、ありがたいことですが、その反面、それが故に入社できない人たちを出してしまっているんです。
それで、特例子会社を作る際に、まずこの手厚すぎるセーフティネットをやめようということにしました。休職期間は3 ヶ月、そして、欠勤、休職になったときにはノーワーク・ノーペイ、でも国の傷病手当金を受ける権利はあるので、そうなった場合は申請することができます。このような制度にして、入社までのハードルをグッと下げました。
ここまで、日揮パラレルテクノロジーズの代表取締役社長である阿渡 健太様から、業務や精神・発達障害の方が活躍している仕事のスタイル、採用方法などについて、これまでの取り組みを聞かせていただきました。後半は、ご自身がパラアスリートとして活躍されている中で、パラアスリートの現状やその影響、これからの障害者雇用考えていることなどもお聞きします。
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