神戸大学で、知的障害者が大学で学ぶ機会を提供

神戸大学で、知的障害のある人に大学で学びの場を提供する取り組み「学ぶ楽しみ発見プログラム」が10月からスタートします。障害者の生涯学習が求められている中、知的障害者の学ぶ場があまり整備されていないことを受け、文部科学省の委託研究事業として実施されます。

このプログラムの目的は、社会に出る前のステップとして、仲間と学ぶ楽しさを通じて自己理解や他者理解、社会認識を深めることです。来年度も実施予定があります。

ここでは、学校卒業後の知的障害者の学びの現状や、今回神戸大学が実施する「学ぶ楽しみ発見プログラム」について見ていきたいと思います。

学校卒業後の知的障害者の学びの場は少ない

文部科学省の調査によると、特別支援学校高等部を卒業した知的障害の生徒のうち、大学や特別支援学校の専攻科に進学するのは、0.4%にとどまり、同世代の大学進学率と大きな隔たりがあることがわかっています。高等学校卒業後は、障害の種類や程度によって就職や福祉施設への入所などの進路先はさまざまですが、仲間との交流や学びの場がなくなるといった課題が保護者などから指摘されていました。

日本では2014年に「障害者が、差別なしに(中略)一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を享受できることを確保する」と定めた障害者権利条約を批准され、2016年には障害者差別解消法が施行されています。このような背景もあり、文部科学省は現在、障害者の生涯学習を支援する取り組みを進めています。

神戸大学の「学ぶ楽しみ発見プログラム」

神戸大学では、知的障害者が学べる場を提供しようと、10月から知的障害者が大学生とともに継続的に学べる「学ぶ楽しみ発見プログラム」を開講します。

プログラムの概要

「学ぶ楽しみ発見プログラム」は10月から来年2月までの半年間、週3回(火、水、金曜)開催されます。教育学や哲学、心理学の特別授業のほか、神戸市灘区の地域コミュニティー拠点「のびやかスペースあーち」で創作活動や地域交流などもプログラムに含まれています。

大学生と一緒に受講する授業もあり、各教員が障害に応じて授業を進めていくことになるということです。

参加要件

募集人数:5~6 人

入学条件
・高等学校あるいは特別支援学校高等部を卒業していること
・療育手帳をもっていること
・プログラムの方針を理解し、学ぶ意欲があること
・言語によるコミュニケーションをとる手段があること
・実際的な読み書きの力があること
・プログラムに対する家族の理解があること
・期間中、火・水・金曜日の 5 時までに来られること
・自力通学が可能なこと 必要経費 ・授業料(52,800 円) 修了までの全額です
・授業により教材費、活動費(実費)を徴収することがある
・食費(5 時から始まる授業の前に学内施設で食事をとることができる)
・参加任意の課外活動費(実費)

出願期間は2019年8月23日までで、作文と面接で選考されます。

詳細は、こちらから
↓  ↓  ↓
学ぶ楽しみ発見プログラム(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)

知的障害者の生涯学習

知的障害者の生涯学習の場としては、青年学級や手をつなぐ育成会、大学の公開講座などが開催されています。

障害者青年学級

障害者青年学級は、 主に特別支援学級や特別支援学校の卒業生への支援として行われてきたもので、これまで知的障害者の生涯学習として認知されてきました。日本における最初の知的障害者の青年学級は、昭和 39 年に開設された東京都墨田区の「すみだ教室」であるとされています。教室開設 50 周年記念誌によると、学校卒業後のアフターケアの必要性や 卒業生のよりどころであった同窓会の活動が青年学級開設へ発展していったことが記されています。

第1回目(1年目)は当時一般青少年を対象とした商工青年文化 教室の一教室として毎月の第1・第3日曜日に開設していたそうです。そして、それ以降、青年学級振興法(1953 年制定 1999 年廃止)を適用して、各地に実践が広がっていきました。

現在でも、青年学級の名称で、北海道から沖縄まで全国各地で開かれており、それぞれ特色のある活動を展開しています。青年学級の主な目的は、学校教育からの継続教育や仲間との交流によるピアカウンセリング、障害の自己理解、健常者との交流などがあげられます。

手をつなぐ育成会

全国手をつなぐ育成会は知的障害児・者をもつ保護者によって構成しされており、47 都道府県の組織を正会員とする社会福祉法人です。市町村、施設、学校単位の組織もあり、所属会員は全国で約 30 万人ほどいます。

もともとは、1952 年に3人の母親が知的障害をもつ子どもの教育・福祉・就労などの整備・充実を求めて、仲間の親、関係 者、市民に呼びかけて発足したものです。最近では、情報の発信や行政への提言に加えて、本人部会を組織し、当事者間の交流や 余暇活動を行って自己実現や権利を守るための活動も行っています。

大学公開講座

全国の約20の大学が知的障害者を対象とした公開講座を開催しています。有名なのは東京学芸大学です。

東京学芸大学では、特別支援学校卒業生を対象に1995 年にスタートし、2006 年度からはオープンカレッジと名称変更しながら実施されています。最近では、他団体と協力したり大学機関相互で連携したりして公開講座が開設されているようです。

まとめ

学校卒業後の知的障害者の学びの現状や、神戸大学が実施する「学ぶ楽しみ発見プログラム」について見てきました。

特別支援学校高等部を卒業した知的障害の生徒の進学率は低く、卒業後の学びの場が必要とされる声は多くありました。このような学ぶ場が増えることはとてもいいことだと思います。

一方で、今回、神戸大学で開催される時間帯は平日の夕方であり、働いている知的障害者が学ぶのは厳しいスケジュールだと思います。働く知的障害者も増えています。働いているからこそ相談したり、学びたいと思うニーズに応えてくれるような学びも場の必要性も今後検討していく必要があると感じます。

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