職場定着に課題、中央省庁雇用水増し発覚後に採用した障害者131人離職 

昨年発覚した中央省庁の障害者雇用水増し問題を受けて、障害者枠での国家公務員採用試験が行われ、多くの障害者が働き始めています。それでも中央省庁の障害者雇用率は未達成の省庁が多く、今年末までに約4,000人を採用する方針を示しており、今年度の国家公務員試験の要項も発表されていました。

このような状況の中で、厚生労働省は30日の参院厚労委員会で、28行政機関が昨年10月から新たに採用した2,518人のうち、16機関の131人がすでに離職したことを明らかにしました。

ここでは、中央省庁雇用水増し発覚後に採用した障害者が131人離職しているニュースや、職場定着に必要なことについて見ていきます。

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中央省庁の障害者雇用、国家公務員の障害者雇用採用から1ヶ月経った現状とは

昨年秋から新たに採用した131人がすでに離職

厚生労働省は30日の参院厚労委員会で、28行政機関が昨年10月から新たに採用した2,518人のうち、16機関の131人がすでに離職していることを明らかにしました。一番多いのは国税庁の79人です。

厚生労働省によると、離職した131人は、ほぼ全員が非常勤職員として働いていました。国税庁は819人を採用しましたが、1割に近い79人が退職しています。退職理由は、体調や転職が理由となっているようです。

次に多かったのは法務省で、採用した384人のうち離職者は18人、国土交通省は433人のうち離職者は6人でした。国税庁などは水増しの人数が多く、大量に採用を進めていたところでした。

国税庁では、「障害のある職員への接し方研修などは実施している」、法務省は「少なくとも『働いてみたけど、全く環境が整っていなかった』という理由は今のところない」と担当者が話しています。

今後の対応策

厚生労働省は、離職に至った具体的な理由を把握するとともに、職場への定着率が高い行政機関の要因を調べて支援策に活かそうとしています。それにともない障害がある職員が働きやすい職場づくりについて、当事者や上司を交えて話し合う「職場改善チーム」を省内に設置しました。

数合わせにならないために・・・職場の定着が課題

今回の離職者の調査は、昨年の障害者雇用水増し問題が明らかになった昨年10月から今年4月に28機関が採用した障害者のうち、5月時点の離職者を調べたものとなっています。立憲民主党の石橋通宏氏の要請で行なわれました。

障害者雇用水増し問題が明らかになり、すぐに採用へと大きな動きになりましたが、当初から数合わせになるのではないか・・・という声もあがっていました。

全日本視覚障害者協議会の田中章治代表理事は、

「今回の採用は、とにかく人数を達成しようという数合わせが先行した面がある」

と指摘し、検証する必要があると訴えています。

出所:省庁障害者131人離職 昨秋以降 採用2518人、定着に課題(産経新聞 2019.5.31)

障害者の職場定着に必要なこととは

今回の中央省庁雇用水増し発覚後に中央省庁は公務員試験に向けた準備をはじめて、すぐに採用試験を行って採用していますが、障害者の職場の準備にはほとんど時間をかけられなかったのではないかと推察されます。

一般の企業でも障害者雇用を行うときには、数人雇用するときでも、半年以上の時間をかけて障害者雇用の受け入れ準備をしているところが少なくありません。特に、今まで障害者雇用が進んでいなかった会社や職場はなおさら時間をかけて行うべきことです。

企業で障害者雇用を進めていくときに、担当者にぜひやってくださいとお願いしているのが、【社内における障害者雇用の理解を深める】ことです。これができていないと、障害者本人がたとえ能力やスキルがあっても、就労支援機関のスタッフが頑張ってもなかなか職場定着するのが難しいと感じています。

なぜ、障害者雇用の理解を深めることが大切なのか

私は、教育機関で障害者雇用に送り出す就労支援を行っていた頃、いろいろな企業に学生たちを実習や就職のサポートで同行することがありました。多くの企業では、管理部や人事部の管理職の方がでてきて、障害者雇用率に困っている、ぜひ障害者雇用をしたいから学生たちを紹介してほしいと言われます。

しかし、実際に実習に行ったり、無事、採用面接を終えて就職してみると、実は一緒に働く社員が障害者雇用を行うことやその担当者になることが全く伝わっていないことにとても驚きました。実際に、担当者もいきなり障害者雇用を自分が担当することになって、ずいぶん戸惑っているようにも見えました。ちなみにこのようなケースは決して特別なものではありません。

知らないことや経験したことがない分野の仕事をいきなり振られたらどのように感じるでしょうか。仕事だから仕方ないと思う人もいるでしょう。どうして自分が・・・と思う人もいるでしょう。誰でもわからないことは不安なものです。障害者雇用を行うには、どのような準備をして、どのように接することが必要なのかを一緒に働く社員に伝えたり、学んだりする機会は必要なものと言えるでしょう。

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社内における障害者雇用の理解を深める方法とは

障害者雇用をしている企業は、たくさんあります。すでに障害者雇用をしている会社の見学や取り組み事例などを知ることは、障害者雇用を進めていく上で参考になるでしょう。

障害者雇用の事例については、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が【障害者雇用事例リファレンスサービス】を提供しています。ここでは、障害者雇用についてさまざまな取り組みを行っている全国の事業所を取材してデータベースに蓄積し、公開しています。業種や障害ごとに検索して見ることができます。

参考:リファレンスサービス

また、同じく機構から職場改善に関する好事例集がまとめられています。障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて事業所が創意・工夫して実践している取組を、テーマ別にとりまとめて紹介した事例集となっています。

精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例

まとめ

厚生労働省は、28行政機関が昨年10月から新たに採用した2,518人のうち、16機関の131人がすでに離職したことを明らかにしました。

障害者採用することにばかり目がいってしまい、障害者の職場の準備にはほとんど時間をかけられなかったのであれば、障害者の職場定着に必要な社内理解を深めるような取り組みや受け入れの準備をすることが必要になってきます。

気になるのが離職した131人のほぼ全員が非常勤職員として働いていたという点です。もし、待遇の面が要因で退職者数が増えているのであれば、今後障害者雇用の待遇面での取扱が激しくなっていくことになりそうです。

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