障害者雇用を進める方法~おさえておくべきポイントとは?~

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2020年09月1日 | 企業の障害者雇用

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障害者雇用を進めるといっても、障害者雇用をこれから進めたいと考えている、すでにある程度進んでいるものの、法定雇用率に達成しておらず、これからもう少し進めようとしているという方向けに、障害者雇用を進めるにあたり、おさえておくべきポイントについて、説明していきます。

「障害者雇用促進法」で、障害者雇用率2.2%が定められている

企業の障害者を雇用する義務を定めているのは「障害者雇用促進法」です。この法律では、2.2%の障害者雇用をおこなうことが定められています。つまり、法定雇用率は2.2%にあたる従業員45.5人に対して1人あたりの障害者を雇用する必要があります。

障害者雇用は、ここ最近、社会的にも広く認知されるようになりましたが、障害者雇用促進法は、1960年に制定されています。当時は、対象は身体障害者のみで、「努力義務」を定めたものでした。

しかし、その後、1976年に「努力義務」から「法的義務」に変更が加えられ、法定雇用率の未達成企業には国庫に納付金を収める「障害者雇用納付金制度」が設けられています。そして、現在も同様にこの「割当雇用制度」が適用されています。

身体障害者からはじまった障害者雇用ですが、1997年には雇用義務の対象に知的障害、2018年4月には精神障害が含まれるようになり、障害種別にかかわらず、すべての障害者の雇用が義務づけられることになりました。

障害者の雇用率が法定雇用率に達していない場合には、障害者の不足人数1名につき、月額5万円の障害者雇用納付金を納める必要があります。

「『障害者雇用納付金』を支払っているので雇用する必要はない」と考えている企業もいらっしゃいますが、「障害者雇用納付金」とは、障害者雇用の義務を果たしている企業と果たしていない企業での経済的な負担を調整するためのものであり、納付金で障害者雇用が免除されるわけではありません。

「罰金」と表現される人もいますが、罰金はお金を納めることで免除されるものです。しかし、障害者雇用納付金を納めても、障害者雇用義務が免除されるわけではありませんので、注意しておく必要があります。

また、障害者雇用率および人数が、著しく達成できていない企業に対しては、障害者雇入れ計画書の作成命令や、企業名が公表されることになっています。

人事の責任者が避けて通りたがる障害者雇用雇入れ計画書とは?

障害者雇用率が達成できていない企業だからと言って、すぐに企業名が公表されることはありませんが、それまでに「障害者雇用率達成指導」がおこなわれます。ハローワークの雇用指導官が企業に訪問し、指導やアドバイスなどがされます。

しかし、それでも障害者雇用が進んでいないと判断されると、「障害者雇用雇入れ計画書」を提出し、2年間で障がい者雇用率を達成できるように計画を作成することになります。

「障害者雇用雇入れ計画」作成命令が出される基準としては、厚生労働省から次の点が示されています。企業の状況や所在地によって若干対応は異なるようですが、公式的な見解は上記のとおりですので、該当する企業の方は準備をすすめることが重要です。

(1)実雇用率が前年の全国平均実雇用率未満、かつ、不足数が5人以上であること
(2)不足数が10人以上であること
(3)法定雇用障害者数が3人、または4人であり、雇用障害者数が0人であること

出典:障害者雇用率達成指導の流れ(厚生労働省)

障害者雇入れ計画書は2年間という期間限定で、それぞれの時期に計画通りに障害者雇用が進んでいるかのチェックが行われます。

計画の1年目の終わり頃には、雇入れが計画通りに進捗しているかを確認され、できていないと雇入れ計画の適正実施勧告がなされます。また、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対しては、計画期間終了後に9ヵ月間、社名公表を前提とした特別指導が実施されます。そして、最終的に「改善が見られない」と判断された場合には、企業名の公表となります。

大まかな流れは、以下のとおりです。

出典:令和元年障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

さらに、目標通りに遂行できていないと、経営層が労働局や厚生労働省に呼び出されることもあります。多くの人事責任者の方と関わらせていただきましたが、かなりのプレッシャーを感じていることが多く、最も避けたいことと捉えている方が多いように感じます。

社名公表は意味があるのか

ところが、なかなか経営者層が障害者雇用を進めることに難色を示す場合、「社名を公表されたところで、あまり影響がないように感じる」とおっしゃる企業があります。

これは、企業ごとの考え方にもよりますし、そのときの経営状況など、さまざまな要因も関係するので、障害者雇用自体が優先順位として上位にこないことはあると思いますが、個人的には、障害者雇用の社名公表には、決して軽く考えることはできない影響があると感じます。

確かに、厚生労働省から企業名が公表されるのは、一度限りのことかもしれませんが、現在は、その情報がインターネットでも公開されています。つまり、長期間にわたって、そして世界中のどこにでも「障害者雇用未達成企業である」ということを示し続けることになります。

一度情報が公開されると、それを収拾することは不可能に近いですし、そのような悪い印象を与える情報がインターネット上に残っていることで、今後の人材採用や企業間取引に悪影響が起こることも予想されるでしょう。

合わせて、重視してほしいのは、企業で働く社員の意識やモチベーションです。障害者雇用ができていない企業として社名公表されることによって、「社会貢献やCSRは熱心に取り組んでいるようにしているのに、結局は見た目だけの取り組みなんだ」とか、「障害者雇用をすすめることができない冷たい会社」と感じさせてしまうこともあるのです。

わざわざ会社には申告していなくても、社員の中には、家族や子ども、親しい知り合いに障害者がいることは、よくあることです。その社員たちが、自社が社名公表になったときに、「どのように感じるか・・・」ということも考えておくべきでしょう。

障害者雇用を進めるために必要なこととは?

企業で障害者雇用を進めるのは、たしかに「障害者雇用率達成指導」と「社名公表」が、取り組む1つの大きな理由とされることは多いです。

しかし、障害者雇用の担当部門、担当者が、「法律で障害者雇用をしなければならないから」と、他の従業員に協力を呼びかけたり研修をおこなったりしたとしても、他の社員はなかなか理解や協力を示そうとはしないでしょう。

それを受け取る社員は、担当部門、担当者が「雇用率を達成するために障害者を雇用する、そのための障害者の仕事を作り出す」という「~しなければならないから」という義務感でやらされ感を受けるからです。

一方で、「もし人材がいたらこんなことがしてほしい」、「本当は手をつけなければならないことがあるけれど、まだ手がつけられていない仕事がある」などを見つけて仕事を作るなら、組織にとって本当に必要な人材としての障害者雇用を進めることができます。

そんなきれいごと・・・と、思われたのであれば、一度、無料個別相談をお受けください。あなたの会社に合った障害者雇用の仕事を見つける提案をします。

また、障害者雇用を効果的に進める方法についてもアドバイスします。

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まとめ

障害者雇用を進めるにあたり、抑えておくべきポイントについて、説明してきました。
企業で障害者雇用を進める理由としては、たしかに「障害者雇用率達成指導」と「社名公表」が取り組む1つの大きな理由となることは多いです。しかし、誰でも「~しなければならないから」という義務感で言われてやるのでは、それを受ける社員の人はもちろんですが、推進していく側としてもモチベーションは上がらないものです。

ぜひ、ポジティブな視点から障害者雇用を考えてみてください。

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