発達障害の人や発達障害の傾向がある人が職場にいると、本人も苦労していますが、実は周りの人々も、その言動や扱いをどうしたらよいものかと、戸惑っていることが少なくありません。
お互いに変に気をつかってしまうことによって、お互いに誤解や勘違いをしてしまうこともよくあります。発達障害の苦手さをどのようにサポートして、得意な分野を仕事として活かすためにはどんなことをすればよいのかを見ていきましょう。
周りが気になって仕事に集中できない
周りの会話や電話の内容が気になって仕方がないようで、いろいろなことに首を突っ込みたがる部下がいます。一方で自分の仕事は極端に遅れることがあります。このような場合、どのように対応したらいいでしょうか。
1人で仕事に集中できる時間や空間を準備することによって、しだいに集中して仕事をする習慣を身につけることができるかもしれません。また、本人が自然に集中できるような興味ある業務を担当させることも有効的です。
ただ、なかなかどこの職場でもすぐに行うことが難しい場合が多いと思います。そのような場合には、特例としてイヤホンなどを利用して、外部の音が耳に入らないような環境にすることを認めたり、タイマーを使って一定時間の集中力訓練を継続するという方法が考えられます。または、フレックスタイムを利用して勤務時間を人が少ない時間にするのも1つの手です。
・ついたてを立てたり、イヤホンをするなど、周囲からの音をシャットアウトすることが有効なことがあります。
・一定時間集中できるように訓練を重ねて、集中力が身に付くようにします。
・フレックスタイムを利用することを認めるなど、集中できる環境を準備して対応します。
打ち合わせ内容を覚えていない
打ち合わせた確認事項が頭に入っておらず、ミスを繰り返す社員がいます。得意先からの連絡などを忘れることも多いのですが、どのように対応したらよいでしょうか。
必ずメモ、ボイスレコーダー、メールなどを利用して、情報を記録することを習慣づけましょう。特に、メモは記入したことで安心してしまい、メモしたこと自体を忘れてしまうことがあるので、情報の記録と見直し、再確認を一連のルーティンにして行なうようにするとよいでしょう。
また、発達障害の人の中には複雑な内容などに取り組むとき、ポイントを忘れやすい傾向があるので、そのような業務は必ず2人以上のチームで担当する仕組みを作ったり、仕事の役割分担をすることできるでしょう。定期的に他の人が情報を確認する仕組みづくりを行うなどのセーフティーネットを考えると良いでしょう。
・メモ・・・やるべきことを書いて、目のつくところに貼る。カレンダーなどを使って、仕事内容やスケジュールを明確に視覚化する。月ごと、週ごと、時間ごとにやるべきことを示す。
・ボイスレコーダー・・・忘れてもあとから確認できるよう会議や打ち合わせの際は音声を記録しておきましょう。「忘れてはいけない」というプレッシャーから解放されて、目の前のことに集中しやすくなります。
・メール・・・本人が忘れていても上司や部・課内の同僚など、他の人が確認できるようにCCやBCCなどを活用し、情報共有を行なうようにします。
忘れっぽい、注意散漫などの行動特性は、発達障害の特徴です。後から確認できるように記録を取り、それを確認する習慣をつけましょう。
仕事中にキョロキョロしていて落ち着きがない
仕事中でも体を動かしていて、落ち着きがない社員への指導方法で悩んでいます。会議などでも、状況を考えずに話しだしたら止まらなくなってしまうことも多いのですが、どのように対応すればよいでしょうか。
発達障害のADHDの典型的な症状の1つです。本人が自分の多動性をコントロールすることは難しいので、静かなデスクワークよりも、体を動かすことが多い業務に担当をかえることが有効的です。
ただ、多動性の傾向がある場合には、仕事のアイデアなどの面で優れた独自性を見せることも多く、デスクワークに適性がないとも言い切れません。このようなケースでは、休憩時間などを多めに取り、自由にデスクから離れることを許可したり、サテライトデスクなどのシステムがあれば、動き回りながら作業ができる方法を認めるといった方法も効果があるでしょう。
気分の浮き沈みが激しい
同じチームの後輩は自信満々に新規企画の担当に立候補しました。しかし、ちょっとした本人の不注意から成果をあげることができませんでした。その経験を活かして、次に頑張って挽回して欲しいと思っていますが、ひどく落ち込んでしまい、ずっと元気がありません。どうしたらよいでしょうか。
思い込みの激しさによって、自身の自信をもっていたわけですが、それを発揮することができず失敗に終わってしまいました。しかも自分の不注意が原因になったりことがわかっているために、それまでの自信がなくなってしまい、自己評価が低下した結果、ひどく落ち込んでいるのだと思われます。
まずは、自分から手を挙げて仕事に取り組んだ意欲は評価しましょう。ただ、成果に結びつかなかった理由を分析することが必要です。自分のアイデアを推し進めることも大切ですが、ときには、客観的な判断が求められていることもあります。
どんなに得意な分野でも、同僚や先輩、上司などと相談したり、確認しながら進めることが、成功へのポイントになることをアドバイスすることができるでしょう。グループやチームで仕事をすることによって、もっと大きな実績をあげられることを教えることができます。
発達障害の人は、気分の変化が激しいことが多くあります。定型発達の人に比べて、気分が上がるのも下がるのも突然で、その振り幅も大きく、下がった時には回復するのにも時間がかかります。
このように発達障害の人は気分の起伏が極端で、回復が遅いということを周囲の人が理解しておくことは大切です。
まとめ
発達障害の人や発達障害の傾向がある人が職場にいるときに、上司や同僚が知っておきたい質問について考えてきました。
今回は、職場でよく見られる周りが気になって仕事に集中できない、打ち合わせ内容を覚えていない、仕事中にキョロキョロしていて落ち着きがない、気分の浮き沈みが激しいなどの発達障害の特性や傾向に、どのように対応できるのかを考えてきました。
どのようなケースもお互いのコミュニケーションがとても大切になります。一方的に、何も言わないで配慮してしまうのは、相手に伝わらないばかりか、誤解を生じさせてしまうことにもなりかねません。適切な配慮やサポートをすることで、お互いが気持ちよく働けるようにしましょう。
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