令和6年の障害者雇用未達成の企業名が公表 企業名公表になる基準とは?

令和6年の障害者雇用未達成の企業名が公表 企業名公表になる基準とは?

2024年08月1日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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令和6年の障害者雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表が行われました。障害者雇用促進法では、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表することができることとされています。

今回は、社名が公表された企業の障害者雇用状況や企業名公表までの流れ、企業名公表になる基準について見ていきます。

令和6年に障害者雇用未達成として公表された企業は1社

今回企業名が公表された企業は1社です。今回企業名が公表された企業は、令和5年3月に企業名の公表を行った5社のうち、これまでの一連の雇用率達成指導にもかかわらず、障害者の雇用状況に一定の改善がみられなかった企業で2回目の雇入れ計画終期の令和5年12月末時点でも、厚生労働省の基準を満たさなかったため、企業名が再公表されました。

なお、この企業の障害者雇用状況は、次のとおりです。

出典:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について (厚生労働省、令和6年3月)

【公表までの経緯】
令和2年4月1日 法第46条第1項に基づき、横浜公共職業安定所長から障害者雇入れ計画作成命令を発出
令和2年4月1日~ 雇入れ計画の実施(計画期間 1年9ヶ月)
令和3年2月5日 雇入れ計画の適正実施勧告を発出
令和3年12月31日 雇入れ計画の期間満了
令和4年4月~ 特別指導の対象企業に選定し、特別指導を開始(~令和4年12月)
令和5年3月29日 企業名の公表

【再公表までの経緯】
令和4年3月9日 障害者雇入れ計画作成命令を再度発出
令和4年4月1日~ 雇入れ再計画の実施(計画期間 1年9ヶ月)
令和5年2月28日 雇入れ再計画の適正実施勧告を発出
令和5年12月31日 雇入れ再計画の期間満了
令和6年1月~ 現在に至るまで労働局、安定所による継続的な指導を実施

企業名公表はどのように行われる?

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)では、法定雇用率に基づいた障害者を雇用することが義務づけられています。この障害者雇用が達成できていないと、行政(ハローワーク、労働局、厚生労働省等)からは、障害者を雇用するように指導が入ります。そして障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名が公表されることがあります。これは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づいたものです。

民間企業については、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」)第47条に基づき企業名を公表することができるとされています。

近年、企業名公表がされている企業数の推移は、以下のとおりです。


出典:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について (厚生労働省、令和6年3月)

企業名公表になる基準は?

今回の企業名公表に対しては、以下のような公表基準が示されています。

令和6年1月1日現在において、実雇用率が令和4年の全国平均実雇用率(2.25%)未満の場合(法定雇用障害者数が4人以下の企業については当該数が3~4人で雇用障害者数が0人の場合)企業名を公表することとしています。

ただし、次のいずれかに該当する場合は、初回の公表に限り公表を猶予されます。
・直近の障害者雇用の取組の状況から、実雇用率が速やかに令和4年の全国平均実雇用率(2.25%)以上、又は不足数が0人となることが見込まれるものであること。
・ 特別指導期間終了後の1月1日から1年以内に特例子会社の設立を実現し、かつ、実雇用率が令和4年の全国平均実雇用率(2.25%)以上、又は不足数が0人となると判断できるものであること。

今回の令和5年度に実施した特別指導等から企業名公表に至る経緯は次のようになります。

対象企業は、次の合計47社となります。
・令和5年度の公表を前提としていた特別指導の対象である32社
・令和4年度に特別指導を実施した企業のうち、公表猶予とした10社
・令和5年3月29日に企業名公表を実施した5社(令和4年度公表企業)

なお対象企業に対しては、対象企業を管轄する公共職業安定所長から、対象企業に対し、障害者の雇用に関する事業主の責務、障害者の雇用の現状、これまでの雇用率達成指導の経緯等についての説明、雇用事例の提供や助言、求職情報の提供、面接会への参加勧奨等を含めて、雇用義務を達成するよう指導・支援が実施されています。また、これと併せて、必要に応じて都道府県労働局幹部による訪問指導、厚生労働省に来省を求めての指導が実施されています。

このような指導の結果、令和5年度の公表を前提としていた特別指導対象企業(32社)に対する指導の結果、28社については、公表基準を上回る実雇用率の改善等が見られました。また、残りの4社においては公表猶予の基準を満たしたため、今回の公表が猶予されています。

令和4年度に特別指導を実施した企業のうち公表猶予とした企業(10社)に対しては、全ての企業について実雇用率の改善が認められ、令和5年3月に企業名公表された企業5社に対しては、4社が公表基準を上回る実雇用率の改善等が認められたため公表には至りませんでした。

なお、令和5年度に実施された特別指導を受けた企業の内訳を見ると、企業規模別には 1,000人以上の規模が12 社で、1,000人未満の規模が35 社と、中小企業の方が多くなっています。また、業種別に見ると、卸売業・小売業が14 社、サービス業7社、製造業5社となっています。


出典:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について (厚生労働省、令和6年3月)

雇入れ計画作成命令が出されると・・・

今までに障害者雇入れ計画書作成命令が出された企業をいくつか見てきましたが、人事の責任者はかなりのストレスを感じるようです。それは、障害者雇入れ計画書作成命令が出されて障害者雇入れ計画書を作成することになりますが、これを作成して終わりではなく、ここからが始まりとなるからです。

4月をはじまりとする2年間の計画がスタートし、1年目の9月から10月にハローワーク所長名の雇用勧奨があり、2年目の始まりに計画の実施状況が悪い企業に対し、適正な実施を行う勧告と労働局長名の雇用勧奨状が出されます。そして、雇入れ計画期間の状況を見て、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対し、公表を前提とした特別指導が実施されます。


出典:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について (厚生労働省、令和6年3月)

これまで障害者雇用が進められにくかった企業が2年という期限の限られた中で障害者雇用率を達成していかなくてはならないため、さらにハードルが上がることになります。そのため「雇入れ計画作成命令」が出されそうな場合には、まずこれを回避するレベルの障害者雇用率に早急に持っていくことが大切です。

また、障害者の受け入れに慣れていない段階で、一斉に雇用を進めようとすると受け入れる職場にも負担がかかりますし、採用の見極めができない採用は早期離職や労働問題を起こしやすくなります。余裕をもったスケジュールを考えていくことが大切です。

障害者を受け入れる業務がない場合の考え方

「雇入れ計画作成命令」が出される企業を見ていると、社内で検討したものの業務がないと言われることが多くあります。業種的や規模的に見ても、障害者雇用で多い事務サポート的な業務や軽作業、清掃などの業務では難しいと思われる企業も少なくありません。

このような企業でまず考えてほしいのが、「やらなければならないけれど手がつけられていない業務はないか」「今できていない業務でも本当は取り組んだほうがよいものはないか」という点です。障害者雇用に取り組んだことのない企業では、障害者というと雇用の難しい障害者をイメージしてしまう傾向にあります。しかし、実際の障害者雇用の現状を見ていると、特性はあるものの環境や業務を適切に切り分けることで活躍できる仕組みをつくると、障害者雇用ができる場合がほとんどです。

「会社に必要な業務はもうない」というほど、事業モデルが完成されてしまい、規模の拡大を考えていない企業であれば、確かに雇用する業務を創出することは難しいかもしれませんが、そうでないのであれば十分に考える余地はあります。

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まとめ

令和6年に障害者雇用未達成として企業名が公表されました。企業名が公表されることは、社内外にとっても大きな影響があります。企業名が公表されるまでの経緯や基準を理解し、障害者雇用に対する取り組みを強化することは、企業の社会的信頼を向上させる重要なことです。

とはいえ、障害者雇用を進めていくためには、単に雇用するだけでなく、しっかりとした準備と具体的なステップを踏むことが必要です。それができていないと、障害者を採用しても職場にも負担がかかったり、見極めができていない採用は早期離職や労働問題を起こしやすくなります。

障害者雇用の施策はこの2、3年の取り組みが、今後の企業活動に大きな影響を与えます。すでに今年度障害者雇用率が2.5%に引き上げられましたが、この後も令和7年度に障害者雇用除外率の引き下げ、令和8年度に2.7%に上昇することが決まっています。多くの企業が取り組み始めている中で、取り組みが遅くなるほど不利になります。余裕をもったスケジュールを考えていくことが大切です。

動画で解説

参考

障害者雇用の企業名公表はどのようにリスクになるのか

障がい者雇用率の未達成による「企業名公表」の影響とは?(HRプロ)

令和4年度の障がい者雇用未達成企業名が公表に。障がい者雇用状況が改善しない企業が見直すべき点とは?(HRプロ)

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