令和4年障害者雇用促進法が改正され、障害者雇用納付金助成金が新設・拡充されます。障害者雇用納付金制度で徴収された納付金は、障害者雇用の助成金として企業に還元されています。令和6年度から新たに新設、拡充された助成金について解説していきます。
障害者雇用納付金制度とは?
障害者雇用納付金制度は、障害者の雇用促進を目的とした制度です。常時雇用している労働者数が100人を超える事業主が法定の障害者雇用率を未達成の場合、不足している障害者数に応じて1人あたり月額5万円の納付金を支払う必要があります。
この制度は、障害者の就労機会を増やすことにより、社会全体の障害者への理解を深め、障害者がその能力を発揮できる環境を整備することを目指しています。徴収された納付金は、障害者雇用調整金、報奨金、各種助成金等として、企業に還元されています。
令和6年から新設、拡充される納付金制度の助成金
令和6年度からは、新たに以下の助成金が新設されることになりました。
出典:障害者雇用納付金関係助成金の主な変更点について 【令和6年4月1日改正分】(独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構)
中高年齢等障害者(35歳以上)の雇用継続を図る措置の助成金
加齢による変化と障害に起因する就労困難性の増加が認められ、継続雇用のために業務遂行上の課題を克服する必要な支援措置と認められる場合に支給される助成金が新設されます。
対象障害者:35歳以上で雇用後6か月以上の障害者
支給限度額、支給期間等:障害者作業施設設置等助成金・障害者介助等助成金の一部・職場適応援助者助成金で、加齢による変化に対応したものとなり、支給額、期間等は各助成金により異なります。
障害者雇用相談援助助成金
認定事業者と労働局等による雇用指導が一体となり、障害者の雇入れや雇用管理に関する相談援助事業(障害者雇用相談援助事業)を利用した事業主に支給される助成金です。(※助成金は認定事業者に支給)
対象障害者 :身体障害、知的障害、精神障害
支給限度額
・利用事業主に対して障害者雇用相談援助事業を行った場合60万円(中小企業または除外率設定業種事業主は80万円)
・上記の相談援助事業後、利用事業主が対象障害者等を雇い入れ、かつ、6か月以上の雇用継続を行った場合。対象障害者1人につき7万5千円(中小企業または除外率設定業種事業主は10万円)4人までが上限 支給回数:利用事業主1社につき1回
障害者職場実習等支援事業
職場実習の実習生を受け入れた場合に支払われる助成金です。
対象障害者:身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病等
支給限度額
・職場実習または職場見学等を行った日数に日額5千円を乗じて得た額
※同一年度内の支払い上限額はそれぞれ50万円まで (もにす認定事業主はそれぞれ100万円まで)
・ 実習指導員謝金 1日の支援時間に2千円を乗じて得た額
・ 保険料 実費
健康相談医の委嘱助成金
障害者の雇用管理のために必要な専門職(医師)の配置 または委嘱する場合に支払われる助成金です。
対象障害者:身体障害、知的障害、精神障害(対象障害者が5人以上必要)
助成率:対象費用の4分の3
支給限度額:委嘱1人1回につき2万5千円まで、年30万円まで 支給期間:10年間
職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金
障がい者の雇用管理のために必要な専門職(職業生活相談支援専門員)の配置 または委嘱する場合に支払われる助成金です。
対象障害者:身体障害、知的障害、精神障害(対象障害者が5人以上必要)
助成率:対象費用の4分の3
支給限度額 :
配置の場合、1人につき月15万円まで。
委嘱の場合、1人1回につき1万円まで、年150万円まで
支給期間:10年間
職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金
障害者の職業能力の開発および向上のために必要な業務の担当者(職業能力開発向上支
援専門員)の配置または委嘱する場合に支払われる助成金です。
対象障害者:身体障害、知的障害、精神障害(対象障害者が5人以上必要)
助成率:対象費用の4分の3
支給限度額 :
配置の場合、1人につき月15万円まで。
委嘱の場合、1人1回につき1万円まで、年150万円まで
支給期間:10年間
介助者等資質向上措置に係る助成金
障害者の介助の業務を行うスタッフの資質の向上のために支払われる助成金です。
対象介助者等:職場介助者、手話通訳・要約筆記等担当者、職場支援員、職業生活相談支援専門員、職業能力開発向上支援専門員
助成率:対象費用の4分の3
支給限度額:1事業主あたり年100万円まで
中途障害者等技能習得支援助成金
中途障害者等の職場復帰後の職務転換後の業務に必要な知識・技能を習得させるための
研修の実施に関する助成金です。
対象障害者:身体障害者、精神障害者(発達障害のみは対象外)、高次脳機能障害、難病等
助成率:対象費用の4分の3
支給限度額:対象障害者1人につき年20万円まで (中小企業事業主は30万円まで)
支給期間:1年間
※ 助成金を支給するためには定められた要件を満たす必要があります。詳細については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページで確認してください。
障害者雇用納付金関係助成金の主な変更点について 【令和6年4月1日改正分】(独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構)
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