【障害者雇用】インクルーシブな職場を実現するための給与設定の考え方

【障害者雇用】インクルーシブな職場を実現するための給与設定の考え方

2024年10月1日 | 企業の障害者雇用

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雇用の中で適正な給与設定をすることは、安定して働き続けるための基盤であり、企業の持続可能な成長にも直結します。同じように障害者雇用においても、重要な課題の一つとなっています。
給与設定は、企業ごとに大きな差があり、特に障害者雇用においては職務内容や役割に応じた適切な設定が求められます。一方で、社員のモチベーションや働きがいに直結する重要な要素であり、障害の有無に関わらず、適切な報酬が支払われることが職場の公平性を保つ鍵となっています。

今回は、障害者雇用における給与設定の違いについて詳しく見ていきます。業界や地域による違い、特例子会社での設定、職務別の給与相場、そして適切な給与設定ができていない場合に生じる問題について考察し、インクルーシブな職場づくりにおいて重要なポイントを探ります。

障害者雇用における給与設定の違い

障害者雇用に取り組む企業が増えている中で、首都圏などでは障害者雇用の待遇を見直すところが増えてきています。障害者雇用の給与はどのように考えたらよいでしょうか。
企業にとって給与設定は、重要な意思決定事項の一つとなります。これは、障害の有無に関係なく人材を扱う上では同じです。一般的に給与相場は、労働市場の動向に影響を受けるだけでなく、業界ごとの特性や地域の経済状況にも大きく左右されます。これに加えて、障害者雇用では、雇用形態や職務内容によって給与水準が大きく異なるのが現状です。

・業界ごとの平均給与や地域ごとの差異
給与は業界や地域によって差があります。例えば、業界ごとの平均給与を見てみると、製造業やサービス業では比較的安定した給与水準が見られる一方で、小売業や介護業界では給与が低く抑えられる傾向があります。

また、地域ごとの経済状況や最低賃金の差異も、障害者の給与に影響を与えます。例えば、都市部では最低賃金が高く設定されているため、全体的な給与水準も高めですが、地方ではそれに比べて低くなるケースが一般的です。

さらに、企業規模によっても給与設定には差が生じます。大企業では福利厚生が充実していることも多く、給与水準も高くなる傾向がありますが、中小企業ではその逆であることが少なくありません。

・一般的な企業と特例子会社での給与設定の違い
特例子会社は、障害者が働きやすい環境を提供することを目的として設立されており、その給与設定には一般的な企業とは異なることがあります。一般企業では、障害者の給与は一般社員と同一の基準で設定されているケースが多いですが、特例子会社では、障害者の特性や業務内容に応じて、給与が柔軟に設定されることがあります。

・障害者の職種別に見た給与相場
障害者の職種別に見た給与相場は、業務内容や責任の度合いによって大きく異なります。例えば、単純作業やサポート業務に従事する障害者の給与は、比較的低めに設定される傾向がありますが、IT関連業務や専門職に従事する場合には、給与水準が一般的な社員と同等か、それ以上になることもあります。

給与設定をするときの基本的な考え方

「同一労働同一賃金」の考え方

「同一労働同一賃金」は、同じ業務内容や責任を担う社員には、障害の有無に関わらず同一の賃金を支払うべきだという基本原則です。障害者が一般の社員と同じ職務を遂行する場合、その労働には同等の価値があり、したがって同じ賃金を支払うことが求められます。
障害者雇用においても、「同一労働同一賃金」の考え方を適用することが重要です。職務の評価基準を明確にし、同じ職務内容に従事する社員間で給与に不公平が生じないようにすることで、職場全体の公平性が保たれます。このため、企業は職務評価を定期的に実施し、その結果を基にした給与設定を行う必要があります。
職務内容を詳細に評価し、それに応じた給与体系を設定することは、障害の有無に関わらず、従業員が職場で適切に評価され、モチベーションを維持するための基盤となります。また、職務がどの程度の専門性を要求するか、またはどの程度の付加価値を企業にもたらすかを考慮することで、給与設定が合理的かつ透明性のあるものになります。

障害者の能力や役割に応じた評価

障害者の能力や役割に応じた給与設定は、適切な給与体系を構築する上で重要な要素です。障害者一人ひとりの能力や業務への適性をしっかりと評価し、その評価に基づいて給与を設定することが求められます。

職務評価は、業務の難易度、責任の範囲、要求されるスキルや経験などを基に行われ、それに応じて給与が決定されるべきです。これにより、業務に応じた公平な報酬が提供され、従業員全体のモチベーション向上につながります。

例えば、特定の業務で高い専門性を発揮する場合や、チームのリーダーとしての役割を果たす場合には、その役割に見合った給与を支払うことが重要です。一方で、支援が必要な場面が多い場合や、業務範囲が限定的な場合には、それに応じた給与設定が求められます。このように、個々の状況に応じた柔軟な給与設定が、障害者の満足度を高め、職場での長期的な活躍を支援します。

障害者雇用においても、職務評価を定期的に実施し、その結果を給与に反映させることで、公平かつ透明性の高い給与体系を維持することが可能です。また、職務評価を基に、業務の見直しや新たな役割の提供が行われることで、障害者が職場で成長し続けるための環境づくりにも寄与します。

法令やガイドラインに基づく最低賃金

障害者雇用を考えるときには、法令やガイドラインに基づく最低賃金の考慮が欠かせません。障害者であっても、一般の従業員と同様に、最低賃金の適用を受けることが基本となります。しかし、特定の条件下では、最低賃金の適用が免除されるケースもあります。

例えば、障害の程度や職務内容によっては、特別な配慮が必要な場合があり、その際には最低賃金の適用範囲を考慮した給与設定が求められることがあります。このようなケースでは、労働基準監督署などの関連機関と連携し、適切な給与設定を行うことが重要です。

法定最低賃金の適用範囲は通常の労働者と同様になります。しかし、特定の状況においては例外的な対応が認められることがあります。例えば、訓練やリハビリを目的とした雇用形態や、業務内容が限定的な場合には、特別な賃金設定が許可されることがあります。

適切な給与設定ができていないと起こる問題

職務内容に基づいた適正な給与の設定ができていないと、他の従業員から不満が生じやすくなるなど、組織内で様々な問題が生じる可能性があります。どのような不満や影響が生じるのでしょうか。

不公平感の増加

同じ職務内容や責任を持つ従業員が異なる給与を受け取っている場合、不公平感が高まり、モチベーションが低下します。これは、労働者全体の生産性や組織に対する士気の低下につながる可能性があります。

チームワークや協力関係の悪化

不公平な給与設定が原因で、従業員同士の信頼関係や協力意識が損なわれることがあります。結果として、職場内のコミュニケーションやチームワークが弱まり、業務の効率や質に悪影響を及ぼします。

離職率の上昇

適正な給与が支払われていないと感じる従業員は、他の企業に転職を考える可能性が高まります。特に給与の低い従業員が組織を離れる傾向が強く、離職率が上がることで組織の知識や経験の蓄積が失われ、採用やトレーニングにかかるコストが増加します。

組織全体の意欲の低下

給与に関する不満が組織全体に広がると、全体的な士気が低下し、職場の雰囲気が悪化します。これにより、業績や顧客対応にも影響が及び、企業の信頼や評判に悪影響を与える可能性があります。

企業イメージの低下

給与制度が透明で公平でない場合、従業員が不満を社外に持ち出す可能性があります。特にSNSや口コミなどで情報が広まると、企業の評判に影響を与え、人材採用にも悪影響を及ぼすことがあります。

適正な給与設定ができていないと、組織全体に多大な影響を与え、長期的には企業の成長や成功を妨げる可能性があります。そのため、給与の適正化を考えることは非常に大切です。

インクルーシブな職場づくりに欠かせない給与設定

インクルーシブな職場づくりを進める中で、障害者の給与設定は特に大きなポイントとなります。すべての従業員が平等に評価され、適切な報酬を得ることができるよう、業務内容や貢献度を正確に評価することが求められます。

障害特性に応じたサポートや業務調整を行いつつ、給与設定においても公平性を確保するためには、定期的な見直しや職務評価の実施が必要となります。障害者の業務パフォーマンスを適切に評価し、その評価に基づいて給与を設定することが求められます。これにより、障害者が感じる働きやすさと、給与の公正さが一致し、長期的な雇用を促進することが可能となります。

また、障害者と他の従業員との間で、給与面で不公平感が生じないよう配慮することが、職場全体の士気を高めるためにも重要です。障害者が働きやすい環境を整えつつ、公平な給与設定を実現するためには、次の点を重視する必要があります。
・公平であることを重視した職場環境の整備
障害者がその能力を引き出せるような環境を整え、その評価に基づいた給与設定を行います。これは、長期的な雇用の安定と社員のモチベーション向上を図ります。
・障害者と他の従業員が互いに尊重し合える職場づくり
障害者と一般社員が互いに尊重し合える職場をつくることで、全体の士気を高め、職場の一体感を促進します。これにより、障害者の給与設定が職場全体の理解と支持を得ることができます。
・定期的な職務評価の実施
職務評価を定期的に行い、業務内容や貢献度に基づく公平な給与設定を確保します。
・業務内容や貢献度に基づく評価基準の透明性確保
評価基準を透明にし、全社員が納得できるような給与体系を構築します。これにより、社員間での不公平感を防ぐことができます。
また、不公平感を防ぐためには、社内でのコミュニケーションが重要です。給与設定の基準や評価の方法を明確に説明し、社員が納得できるような透明な給与体系を導入することは、職場全体の士気向上につながります。

まとめ

障害者雇用における給与設定は、企業がどのように従業員を評価し、適切な報酬を提供するかに直結する重要な課題です。公平な給与設定を行うことで、従業員のモチベーションを高め、長期的な雇用の安定を図ることができます。
また、職務内容や貢献度に基づいた給与設定ができていない場合には、不公平感が職場全体に広がり、士気の低下や離職率の増加などの問題が生じるリスクがあります。インクルーシブな職場を実現するためには、障害者の特性や能力を正しく評価し、その評価に基づいて適切な給与を設定することが不可欠です。
企業は、定期的な職務評価や透明な給与体系を導入し、すべての社員が平等に評価される環境を整えることが求められています。公平で透明性のある給与設定が、持続可能な障害者雇用を支える重要な要素となるでしょう。

参考

障害者雇用の給与等の雇用条件をどのように決めたらよいか

障害者雇用の雇用条件、平均給与や雇用形態はどうなっている?

障害者の給与でよく聞く最低賃金とは?法律、減額特例許可制度を解説

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