IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートすることができます。
このIT導入補助金は、それぞれの企業の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的としています。
しかし、なかなか中小企業にとってはITツールを導入するはハードルが高く、一度導入したとしてもなかなかITツールの管理や活用、定期的な更新をすることが難しい状況があります。そこで、提案したいのが、障害者雇用の業務の切り出しが難しいと考えている中小企業で、この補助金を使って障害者雇用の業務を切り出すことです。
ここでは、このIT導入補助金補助金とはどのようなものなのか、対象者や助成金額、どのような手続きが必要なのか、またこのIT活用と障害者雇用の関係について説明してきます。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等、事業運営者へ自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
自社の課題やニーズに合わせて、様々な業種・組織形態で活用することができます。
例えば、飲食サービス行では、顧客管理システムを導入することによって、顧客の好みやアレルギー等をITツールで記録し、きめ細かいサービスを提供することによってリピーターを増やすことができます。
また、保育・介護事業では、コミュニケーションツールを導入することによって帳票、書類作成をIT化することによって書類作成、提出までの時間を短縮することができます。早番、遅番のスタッフの情報共有も円滑にすることができます。
IT導入補助金対象者
IT導入補助金の対象者は、中小企業・小規模事業者等であることが条件となっています。業種・組織形態、資本金、従業員は、以下のとおりです。
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員 |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業 並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
医療法人、社会福祉法人 | 100人 |
申請・導入のステップ
申請にはいくつかのステップが必要になります。
申請前に行なうこと
本事業の理解
公募要領やIT導入補助金手続きチェックシート、IT導入補助金準備リストを確認します。
経営課題の分析
「経営診断ツール」を活用して、事業補助を希望する中小企業・小規模事業者の経営課題を把握します。「経営診断ツール」とは、「ローカルベンチマーク」をもとに、本事業で診断を行うためのツールです。本事業の申請には、「経営診断ツール」を活用して作成した、事業の生産性向上のための事業計画を、交付申請時に提出することが必要になります。
導入するITツールの選択
「経営診断ツール」の結果等からIT導入支援事業者やITツールを選定します。ITツールにはホームページ制作やSNSの活用、マーケティング、コミュニケーション、問合せ管理に使えるLINE@などが含まれます。
※IT導入補助金のサイトに登録されていないITツールは、補助の対象となりません。
SECTRITY ACTION 宣言
SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言をします。「SECURITY ACTION」とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する中小企業・小規模事業者が、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。
IT導入補助事業では、「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を要件としています。
交付申請
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。その後、中小企業・小規模事業者の交付申請を次のような流れですすめます。
1.IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
2.事前準備で実施した「経営診断ツール」の診断結果のIDや、「SECURITY ACTION」のアカウントIDの情報、事業計画等を『申請マイページ』へ入力する。
3.IT導入支援事業者から申請内容の確認依頼がきたら、『申請マイページ』で宣誓と最終承認を行う。
4.最終承認後、IT導入支援事業者から事務局に交付申請を提出する。(=代理申請)
交付決定の連絡は、事務局より『申請マイページ』を通じて申請者へ連絡がきます。あわせて、代理申請を行ったIT導入支援事業者にも通知されます。
交付決定後に行なうこと
補助事業の実施
交付決定の連絡が来た後に、IT導入支援事業者に報告し、補助事業を行ないます。
※交付決定前に契約・導入され発生した経費は補助対象となりません。必ず交付決定を受けた後に補助事業を開始しましょう。
なお、今年度の募集は終わっています。
IT導入補助金について
補助対象経費
ソフトウエア、クラウド利用費、導入関連経費等
本補助金のホームページに公開されているITツールが補助金の対象となります。
補助金の上限額・下限額・補助率
上限額 | 50万円 |
下限額 | 15万円 |
補助率 | 1/2以下 |
※注意事項:交付決定前に契約・導入され発生した経費は補助対象となりません。必ず交付決定を受けた後に補助事業を開始してください。
本補助金の詳細については、ホームページをご確認ください。
【IT導入補助金】
障害者雇用とIT活用
このIT導入補助金と障害者雇用がどのように結びつくのかと思われた方もいるかもしれません。ここで提案したいのは、IT導入の必要性や検討を考えている中小企業の中で、このようなツールを導入することによって、日常的なツールを使って情報発信していくことやマーケティングの業務の一部を障害者の業務として検討してみてはいかがでしょうかということです。
障害者雇用で悩んでいる中小企業の中には、障害者雇用の業務を切り出すことが難しい業種、規模の企業が少なくありません。
多くの中小企業を見てきて、確かにもう少し業務の見直しや多様な働き方を検討することによって、障害者雇用の業務を作り出すことができると感じる企業も中にはありますが、それはとてもむずかしい状況だと感じる企業も少なくありません。
しかし、話をきいていると、営業やマーケティングの必要性を感じていたり、もっと売上をあげたいという企業は多くありました。障害者雇用をするのに、無理やり仕事を作り出すよりも、社内で必要とされている業務ができるようにツールや環境を整えて、それができる障害者を雇用することが求められているのではないかと考えます。
残念ながら、今年度のIT導入補助金の新規募集は終わってしまいましたが、継続的に行われている補助金ですので、来年度の活用をみながら検討してみることをおすすめします。
また、ITを活用した障害者雇用の業務の切り出しについては、多くの企業の障害者雇用を支援してきたこと、また事業計画、WEB情報発信、WEBマーケティング等の経験からコンサルティングや導入(実際に障害者が仕事できるような仕組みづくりや環境づくり、採用なども含めて)のご相談をお受けすることができます。関心がある方は、お問い合わせください。
まとめ
IT導入補助金補助金とはどのようなものなのか、対象者や助成金額、どのような手続きが必要なのか、またこのIT活用と障害者雇用の関係について説明してきました。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が、それぞれの課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
障害者雇用を進めようとしているものの業務の切り出しが難しいと考えていたり、営業やマーケティングの必要性を感じている、もっと売上をあげたいが人手が足りないという状況をITを活用して何とかしたいと考えているのであれば、来年度の事業計画では、マーケティングと障害者雇用を組み合わせて、取り組んでみることを検討してみてもよいかもしれません。
参考
【中小企業の障害者雇用】障害者雇用をはじめるときのきっかけとは?
【東京都・中小企業】障害者雇用のテレワークに活用できる助成金とは
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