管理職の対応がバラつく本当の理由は“能力差”ではない

管理職の対応がバラつく本当の理由は“能力差”ではない

2026年02月9日 | 判断とマネジメントの構造

制度と現場のズレが整う5日間メール講座

あなたの職場で起きている
「伝わらない」「動かない」「続かない」
──その原因となる“見えないズレ”を、5日間で体系的に理解できます。

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「誰が悪いのか」と考え始めたときに起きていること

組織が重くなるとき、最初に起きるのは“誰かの責任探し”です。
組織の中で、こんな状態が続くときがあります。
・管理職ごとに対応が違う。
・人事が調整に追われ、余裕がない。
・会議の場の空気が、どこか重い。
個別の出来事として見ると、どれも一つひとつは理解できます。
・忙しい中で判断している管理職。
・現場と会社の間で板挟みになっている人事。
・慎重にならざるを得ない現場。
けれど、同じようなことが繰り返されると、組織の中には自然とこんな考えが生まれてきます。
「管理職の力量に差があるのではないか」
「人事の機能が弱いのではないか」
「どこかに原因となる“人”がいるのではないか。」
「誰かのスキルや姿勢の問題なのではないか。」
そう考えたくなるのは、無理もありません。目に見えるのは、いつも“人の動き”だからです。ですが、この現象は人を入れ替えても起きます。

担当を変えても、なぜ同じ問題が起きるのか

ここで一度、現場で実際に起きていることを並べてみます。どれも特別な会社の話ではなく、取り組んでいる組織ほど見られる“状態”です。
・異動があり、担当が入れ替わる。それでも、同じ種類の問題がまた浮かび上がる。
・部署が違っても、相談の中身がどこか似ている。
表現は違っても、詰まっているポイントは同じ。担当者が変わり、「今度はうまくいくはず」と期待する。それでも時間が経つと、また同じ場所で立ち止まる。
そしてもう一つ、特徴的なことがあります。真面目で、責任感が強く、能力のある人ほど、先に疲れていく。
抱えられる人が抱え、調整できる人が調整し、気づける人が気を遣う。その結果、「できる人」が先に消耗していく構図が生まれる。
ここまでの流れを見ると、これは個人の力量差や姿勢の問題では説明がつきません。人を変えても、立場を変えても、場所だけが変わり、現象は繰り返される。それはつまり、問題が“人の中”ではなく、別のところにあるサインです。

「あの人はできる/できない」に見えてしまう理由

実際は同じ状況なのに、評価だけが分かれていきます。ここが、このテーマのいちばん重要なポイントです。
実際に起きていることは構造の問題なのに、なぜ私たちはそれを「人の能力」の問題だと捉えてしまうのでしょうか。現場では、こんな流れが静かに進んでいます。

構造が曖昧

何を基準に判断すればよいのか決まっていない

結局、その場の人が自分の感覚で決めるしかない

対応の仕方にバラつきが出る

「この人はうまくやれる」「この人は弱い」という見え方になる

本来は、判断を支える枠組みが必要な場面です。けれどその枠組みが置かれていないと、判断は“個人の中”に委ねられます。すると何が起きるか。結果の違いが、そのまま能力の違いに見えてしまう。
同じ状況でも、Aさんはうまく回せる。Bさんは抱えきれない。Cさんは慎重になりすぎる。こうした違いが表面に出るほど、組織は「人の力量差」が原因だと考え始めます。けれど実際に違っているのは、能力ではなく、判断を支える“土台”が個人ごとに違っている状態です。
共通の前提や基準がないとき、人はそれぞれの経験や性格、価値観を頼りに判断します。その差が、そのまま“能力差”のように見えるのです。
押さえておきたいのは、ここです。構造が置かれていない組織では、必ず“人の能力差”が問題に見える。これは人が弱いからではなく、構造がないときに必ず起きる、組織の自然な見え方なのです。

管理職の力量差に見えるのに、実は違う理由

判断しているのが管理職だから、そう見えてしまいます。けれど、実際の状況を見てみると、管理職が置かれている前提はこうなっています。
・線引きがない。
どこまで現場判断で、どこから上位の設計領域なのかが曖昧。
・責任範囲がはっきりしない。
どこまで引き受けるべきで、どこからは別の仕組みで扱うべきかが定まっていない。
・判断を支える設計がない。
同じようなケースに対する共通の基準や、再配分の仕組みがない。
この状態で「適切な対応」を求められること自体が、無理のある状況です。
判断材料も、支える仕組みも、線引きもないまま、結果だけを問われる。
すると管理職はどうするか。
・迷いながらも、目の前の問題を自分の中に抱え込む。
・波風を立てないように調整する。
・とりあえず“回す”ことを優先する。
その姿は、外から見ると「力量差」に見えます。けれど実際は、構造が置かれていない中での過負荷です。
管理職が弱いから詰まるのではなく、支える土台がない状態で支える役割を背負っていることが重さを生んでいます。

人事が機能していないように見えてしまう構図

忙しそうな部署は「弱い部署」に見えやすい。同じことが、人事にも起きています。
・現場から相談が集まる。
・人事が調整役になる。
・現場と経営の間をつなぐ立場として動く。
ここまでは、本来の役割の一部です。けれど構造が整っていない組織では、ここから流れが変わります。
人事が本来扱うべき「制度や方針」だけでなく、現場の個別ケースの判断まで抱えるようになる。設計として整理すべき領域まで、日々の調整業務の中で引き受けることになる。
結果として、個別対応が増え続ける。案件は減らず、相談は積み上がり、 “いつも忙しい部署”になっていく。
この姿が、外から見ると、「人事が弱い」「機能していない」ように見えてしまう。けれど起きているのは機能不全ではありません。設計が置かれていない分を、人事が肩代わりしている状態です。つまりこれは、人事の能力の問題ではなく、設計不在が人事に集中している結果なのです。

能力の問題なら説明がつかない現象

ここがいちばんの証拠です。もし本当に原因が「人の能力」だったとしたら、現場では別の現象が起きているはずです。
けれど実際に見られるのは、こうした状態です。
・優秀な管理職ほど先に疲れていく。
責任感が強く、判断力があり、周囲を気遣える人ほど、早い段階で負荷を抱え込み、消耗していく。
・熱心な人ほど仕事が増える。
気づける人が気づき、動ける人が動き、その結果、同じ人に負担が集中していく。
・異動しても問題が再発する。
担当者が変わり、体制が変わっても、時間が経つと似たような詰まりが再び現れる。
・施策を増やしても改善しない。
研修を重ね、制度を整え、対応の選択肢を増やしても、現場の「楽になった感覚」が生まれない。
これらの現象は、能力の高低では説明がつきません。能力の問題であれば、優秀な人が入れば改善し、経験を積めば楽になり、対策を増やせば負荷は減るはずです。
けれど現実は逆です。できる人ほど疲れ、取り組むほど重くなり、人を入れ替えても構図が繰り返される。ここから見えてくるのはひとつです。この現象は、人の能力の問題ではない。別の場所に、共通の原因があるというサインです。

本当の原因は「人」ではなく、別の場所にある

ここまでの流れを、ひとつの言葉にまとめます。

いま起きている重さは、スキルの不足でも、意識の低さでもありません。管理職が弱いからでもない。人事が機能していないからでもない。問題は、何を前提に判断するかが設計されていないことです。
同じような場面が繰り返し現れるのに、判断の基準が共有されていない。どこまで現場が担い、どこから設計として扱うのかが曖昧。負担が増えたときの再配分の仕組みもない。
すると判断は、毎回その場の人の中で行われます。人が土台になり、気持ちが基準になり、経験が頼りになる。その結果、対応にばらつきが出る。ばらつきが能力差に見える。能力差が人の問題だと解釈される。
けれど本当は逆です。判断を支える前提が置かれていないから、人の中に負荷が集まり、組織全体が疲れていく。つまりこれは、“人の問題”ではなく、判断を支える前提が設計されていない構造の問題です。
ここが見えたとき、問いは「誰が悪いか」から「どの前提が置かれていないか」へと変わります。そしてその転換が、重さの原因に初めて手が届く地点になります。
もし「人の問題ではない」と感じたなら、次に見るべきなのは“なぜ対策を重ねても楽にならないのか”という構造の話です。
▶ 研修や施策を増やしても楽にならない理由はこちら

いまは「対策」より先に整理が必要な段階です

ここまで読んで、「思い当たることが多い」と感じたとしても、それは誰かの能力や姿勢を責める話ではありません。いま起きている重さは、管理職の力量不足でも、人事の弱さでもなく、判断を支える前提が整理されていない状態から生まれています。
だからいま必要なのは、誰かを評価することでも、次の対策を急ぐことでもありません。いまの前提が、どのように置かれているのかを整理する段階です。
ここまで読んで「うちの状況に近い」と感じたなら、いまは対策を増やす前に、一度“いまの状態を整理する段階”に来ているのかもしれません。
今起きていることを「対策」ではなく “構造として整理する時間”を30分だけ取っています。
解決提案は行いません。いま置かれている前提や詰まりを可視化し、判断材料を増やすための時間です。
【状況整理の時間を確認する】

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現場が動く組織づくりの視点を解説

NewsPicksでのコラムは、制度と現場のあいだの“ズレ”を読み解き、
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