脳機能に障害の起きる前と後では、仕事のやり方やできる仕事内容などが変わっていることが少なくありません。以前できていたとしても仕事をする上では、今できるのかが大切になってきます。そのためまずは、自分がどのようなことができるのかを把握することが大切です。
また、脳機能障害が起きたことを会社にどのように伝えるのか、障害者手帳持っていることを伝えるかどうかなどによっても変わってきます。
ここでは、脳機能に障害の起きた場合に、病院で治療やリハビリを行った後、就労支援機関を利用して就職や復職を目指す場合の一般的な流れや就職・復職活動を行うときに理解しておきたい点について見ていきます。
高次脳機能障害の就職にむけての流れ
病院で治療やリハビリを行った後、就労支援機関を利用して就職や復職を目指す場合には、職業評価や職業訓練、企業での実習などを行っていきます。
就職と復職の大きな流れは同じですが、就職は会社探しが必要になってきます。一方、復職では会社探しは必要ありません。そのかわりに会社との調整が必要になってきます。
就職にむけての一般的な流れ
病院や医療機関における病気・事故のリハビリ
↓
就労支援機関における職業評価、職業訓練、企業実習
↓
会社探し
↓
面接
↓
企業実習
↓
就職
復職にむけての一般的な流れ
病院や医療機関における病気・事故のリハビリ
↓
就労支援機関における職業評価、職業訓練、企業実習
↓
会社との調整
↓
リハビリ出勤
↓
復職
就職や復職を行って職場復帰するにあたり理解しておくべき点
自分にできること、できないことを把握する
就職や復職を行って職場復帰するにあたり、理解しておきたいことがあります。それは、脳機能に障害が起きる前と後では、あなたが今までしてきた仕事のやり方やできる仕事が変わったことが少なからずあるということです。
脳機能に障害が起きたあとの生活では、外出することが減ったり、家族が知らず知らずのうちにフォローしているために、自分のできないことやうまくいかないことに気づきにくい場合があります。しかし、就職や復職して職場にいけば、いつも家族がフォローしてくれるわけではありません。
そのため自分をよく観察し、できないこと、うまくいかないことがあるということにリハビリや就労支援機関で職業訓練しているときに気づくことが大切です。そして、うまくいかないことに気づいたら、どうすればよいのかを考えます。そして、それに対処する練習が必要になってくるのです。
復職する場合には、病気や事故で休んでいたことを知っている会社は、以前とどのように変わったのか、何ができるのか、今までと同じ仕事ができるのか、それとも別の仕事を任せるのかを検討することになります。そのため以前とどのように変わったのか、何ができるのかを、まず自分で理解する必要があるのです。
仕事をスムーズにこなすために工夫する
障害の有無にかかわらず、仕事をしている人はみんな何らかの工夫をして、仕事を正確に行ったり、作業効率を上げるように取り組んでいます。あなたはもしかしたら、今までと同じようなやり方の仕事をしていると、うまくいかないことがでてきたり、仕事のミスが増えたりすることがあるかもしれません。
そのようなときには、作業をできるだけシンプルにわかりやすくすることによってミスを防ぐことができるでしょう。たとえ、簡単なことだったり、今までできていたことだったとしても、今できないのであれば、何らかの工夫が必要ということになります。
会社への説明をどのように行うかを考える
会社の人がすべて高次脳機能障害について理解をしているわけではありません。また、復職する場合であれば、あなたがどのように以前と違うのかを理解したいと思うでしょう。そのため苦手なことや難しいことの説明は、【できる方法】を伝えるようにしましょう。
「高次脳機能障害の影響で、○○が苦手ですが、☓☓であればできます。」というような感じです。
また、理解してほしいことについては、はっきり伝えましょう。例えば、通院日や休憩時間のとり方などは会社に配慮してもらう必要があるかもしれません。他の人よりも明らかに休憩の時間が多い場合、周囲に理解されていれば他の社員も受け入れやすくなりますが、知らなければ、休憩ばかりとっている、サボっていると誤解を招く原因にもなりかねないからです。
会社や人事担当者が知りたいと思っていること
就職活動や復職するときに、企業の人が知りたいと思う項目を以下に示します。あなたは、これらの質問に答える準備をしておくことで、就職活動や復職活動をスムーズに進めることができるでしょう。
・どんな仕事ができるのか?どれくらいできるのか?
・どんな障害なのか?会社として配慮すべきことはあるのか?
・どうしてこの会社で働きたいのか?(就職の場合)
・これまでの職歴やスキルはどのようなものなのか?(就職の場合)
・以前とどのように変わったのか?(復職の場合)
・何ができるのか?今までと同じ仕事でよいのか別の仕事がよいのか?(復職の場合)
職場決定のポイント
仕事の能力・特性の把握
「できる」「できない」だけでなく、「どうすればできるのか?」がポイントになります。「こんな工夫をすればできます。」ということができれば、会社の人は受け入れやすくなります。
職務と本人の障害特性とのマッチング
業務について、会社が求めていることと実際にできることがマッチングするのかを確認します。障害特性や自分のできることが整理されていると、会社の人はあなたが会社で働くことをイメージしやすくなるでしょう。
会社も不安に思っていることを理解する
病気や事故で脳に損傷を受けて高次脳機能障害のある人を採用したり、復職を受け入れる会社では、多くの場合どのように仕事内容を決めようか、1日の仕事内容をどのようにスケジューリングするのかなど、悩んでいることが多くあります。
「採用する前にもう少し、障害の理解を深めたい。」「復職後の職務について、会社と本人との検討が難しい。」「どのように接していいかわからない。」などの質問はよく聞かれることです。そのため支援機関を活用したいと考える会社も少なくありません。
障害者職業センターなどでは、就職や復職支援をサポートしてくれる機関ですので、このような機関を活用することによって、あなたにとっても会社にとってもよりよい就職・復職につながるかもしれません。
高次脳機能障害の就労・復職で活用できる支援機関
地域障害者職業センター
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、各都道府県に設置されています。障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク等の関係機関と密接な連携の下、障害者に対して職業評価、職業指導、職業準備支援、ジョブコーチによる支援事業等の専門的な職業リハビリテーションを、また事業主に対して雇用管理に関する助言等を行っています。
高次脳機能障害支援拠点機関
障害者総合支援法に基づき専門性の高い相談窓口(支援拠点)として、各都道府県のリハビリテーションセンター、大学病院、県立病院等に1箇所~複数箇所設置されています。
支援コーディネーターが配置されており、高次脳機能障害者やその家族、関係機関等からの相談を受け付け、生活や就労などに関して地域の福祉・医療機関等と連携しながら支援したり、高次脳機能障害への理解促進のための普及啓発や、相談支援の実務に役立つ研修等を実施しています。この他、支援拠点機関の中には、医療や福祉と一体的なサービスを行うこととしている機関もあります。
障害枠で就職を希望されている方向の障害者雇用に関する情報をお届けしています。
まとめ
脳機能に障害の起きた場合に、病院で治療やリハビリを行った後、就労支援機関を利用して就職や復職を目指す場合の一般的な流れや就職・復職活動を行うときに理解しておきたい点について見てきました。
脳機能に障害の起きる前と後では、仕事のやり方やできる仕事内容などが変わっていることが少なくありません。以前できていたとしても、仕事をする上では、今できるのかが大切になってきます。そのためまずは、自分がどのようなことができるのかを把握することが大切です。また、支援機関も上手に活用してみましょう。
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