ハローワークでの障害者の職業紹介状況について、厚生労働省から発表されました。
令和2年の障害者の職業紹介状況やコロナ禍の影響、解雇の影響について、統計から見ていきたいと思います。
コロナ禍における障害者雇用の就職状況
令和2年の「ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」が厚生労働省から発表されました。ハローワークからの障害者の職業紹介状況などが取りまとめられていますので、障害者雇用の状況や、コロナの影響について見ていきたいと思います。
コロナ禍の障がい者雇用の影響については、ハローワークの障害者新規求職申込件数は211,926 件で、対前年度比5.1%減となり、平成11 年度以来、21 年ぶりに減少しています。
また、就職件数は89,840 件で、対前年度比12.9%減となり、平成20 年度以来、12 年ぶりに減少しました。就職率(就職件数/新規求職申込件数)は42.4%で、対前年度差3.8 ポイント減となっています。
出典:令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します(厚生労働省)
採用は厳しくなっている
就職件数、就職率について、障害別に見ていきたいと思います。
まず、全体が89,840件で昨年よりも 13,323 件減(12.9%減)、就職率は 42.4%(3.8 ポイント減)でした。障害別の就職件数、就職率については、全体が89,840件で昨年よりも 13,323 件減(12.9%減)、就職率は 42.4%(3.8 ポイント減)でした。これを障害別に見ていきます。
身体障害者の就職件数は20,025件で、昨年よりも 5,459 件減(21.4%減)、就職率は 34.7%(6.4 ポイント減)でした。知的障害者の就職件数は19,801件で、昨年よりも 2,098 件減( 9.6%減)、就職率は 57.7%(1.7 ポイント減)でした。精神障害者の就職件数は40,624件で、昨年よりも 8,988 件減(18.1%減)、就職率は 42.6%(3.6 ポイント減)でした。その他の障害者の就職件数は 9,390件で、昨年よりも 3,222 件増(52.2%増)、就職率は38.2%(1.6 ポイント増)でした。
「その他の障害者」には、身体障害者・知的障害者・精神障害者以外の障害者で、障害者手帳を所持しない発達障害者、難病患者、高次脳機能障害者などが含まれています。(令和2年1月のハローワークシステム刷新の影響により、障害者手帳を所持する方も一部計上)
出典:令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します(厚生労働省)
新規採用に関しては、障害別に関わらず影響を受けていたことがわかります。
業種別の求人数の影響
産業別の障害者雇用の状況を見ると、もともと採用数が多い分野での影響が大きく見られており、「卸売業、小売業」「製造業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」「サービス業」が前年と比べて求人数を大きく減らしていることがわかります。
前年と比べると、求人数は以下のように減少しています。
・卸売業、小売業 ▲11,185件
・製造業 ▲7,851件
・宿泊業、飲食サービス業 ▲5,836件
・医療、福祉 ▲5,680件
・サービス業 ▲5,467件
出典:令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します(厚生労働省)
「製造業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「卸売業、小売業」といった障害者が比較的応募しやすい業種で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けやすい求人が減り、求職者の就職活動が抑制されたことがうかがえます。
解雇者数について
解雇者については2,191 人で、前年度(令和元年度は2,074 人)よりは増加しているものの過去10年ほどの状況を見ても、取り立てて高いという結果は見られていません。
出典:令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します(厚生労働省)
また、最近5年ほどの解雇者の理由をみても、他の年のほうが高い時期もありました。コロナの影響も若干受けている可能性があるかもしれませんが、一般的の完全失業者数の影響と比較すると、その影響は障がい者雇用ではほとんど見られておらず、障害者の解雇においては、企業が慎重に対応していることがうかがえます。
まとめ
令和2年の「ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」から障害者雇用の状況や、コロナの影響について見てきました。
新規採用に関しては、ハローワークの障害者新規求職申込件数は211,926 件で、対前年度比5.1%減となり、平成11 年度以来、21 年ぶりに減少していることからも、コロナ禍の影響を受けていることがうかがえます。
一方、解雇に関しては、昨年よりは件数は多いものの、過去数年の数字を見てもコロナの影響を受けているとは判断するには至っていないと感じています。今までも障害者雇用の状況を見ると、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災など、大きく経済状況が揺らぐような出来事があったときでも、障害者の解雇することには慎重に対応していました。今回も状況を見ても企業の対応は同じようになると見られます。
コロナ禍においても障害者雇用率が上がり、今後も障害者雇用率が上がっていくことが予想される中で、企業も新規雇用は抑えつつも、雇用できている分には雇用維持を図り、雇用率を維持していくところが多いようです。
参考
これからの障害者雇用はどうなるのか~コロナ禍の障害者雇用の影響~
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