精神障害者の採用のポイント~採用時に特例子会社が確認していること~

精神障害者の採用のポイント~採用時に特例子会社が確認していること~

2017年11月16日 | 採用活動

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精神障害者の雇用は難しい・・・と感じている企業の担当者の方は少なくありません。最近では、メンタル不調の社員も増えています。社内のメンタル不調を抱える社員が身近にいたりすれば、新たに精神障害者を雇用する前に、メンタル不調の社員の対応でいっぱいかもしれません。

今回は、シダックスオフィスパートナー(シダックス株式会社の特例子会社)の精神障害者の雇用の事例から、職場定着のためのポイントを見ていきたいと思います。新たに精神障害者を雇用する際にはもちろんですが、メンタル不調の社員をサポートする上でもヒントになることも多いと感じます。

「特例子会社だからできるのではないか・・・」と思われるかもしれません。もちろんそういう部分もあると思いますが、シダックスオフィスパートナーでは、特例子会社で雇用する他に全国事業所の定着支援を行なっています。会社のビジョンである「誰もが成長し、働き続ける力を身につける」ために、特例子会社も全国事業所でも、基本的には社員自身がセルフケアを身に着け、課題解決を行なうことを目指しています。どのような取組や考え方をしているのか見ていきたいと思います。

なお、この内容、資料に関しては、第25回職業リハビリテーション研究・実践発表会(独立行政法人高齢・障害求職者雇用支援機構 平成29年11月9日(木)のパネルディスカッション)に基いています。

シダックスオフィスパートナー(特例子会社)の障害者雇用

シダックスオフィスパートナーは、シダックス株式会社の特例子会社として2011年に設立されました。2017年10月現在、従業員数は85名(障害者56名、健常者29名)となっています。

障害者56名中、精神障害の占める割合は79%、知的障害14%、身体障害7%と精神障害を雇用している割合が高くなっています。精神障害者の雇用が中心となった理由には、パソコンでの業務を中心としており、採用条件としてパソコンの使用ができる人としたところ、結果的に精神の方が多くなったようです。

パソコン活用の理由としては、次のような前提がありました。
・当初からデータ入力作業の受託業務を中心としていた。
・社内通知の閲覧及び教育等を平等にパソコンで受講できるようにする。
・事務補助業務をスムーズに進めるため、パソコンメールを活用することが必要であった。
・特例子会社以外の事業会社勤務も想定しており、それらの業務にもパソコンの使用が必要である。

採用について

障害者採用については、就労支援機関からの紹介が最も多く(全体の95%)、残りはハローワークと、特別支援学校からの紹介によって人材募集を行なっています。採用の条件としては、支援機関に登録済みであるか、または登録可能であることとなっています。

とはいっても、いくら就労支援機関がついていても、なかなか企業の思うようなサポートをしてもらえないことも多いと感じることもあるでしょう。それで、面接や採用時に次のようなことを確認しているそうです。

精神障害の面接・採用のポイント

・自分の病気を理解し、セルフケア方法をいくつか準備している
・通勤や食事の対応ができ、服薬、通院を守り、働く準備ができている
・働く意欲があり、未来に希望を持っている
・読み書きができ、業務日報等の記載ができる
・報告、連絡、相談ができ、コミュニケーションがとれる
・ある程度のビジネスマナーが身についている
・他の社員を理解し、協力し合える
・家族と就労支援機関、医療機関の協力的なサポートがある
・特例子会社で働くことを理解し、会社の考え方に賛同できる

出所:第25回職業リハビリテーション研究・実践発表会資料

面接というと、どうしても良いところをアピールしてしまいがちですが、面接で話された内容と実態があまりにも異なことがあり、戸惑うこともあったとのことでした。「模範的な回答よりも率直に話す姿勢を求められている」という言葉が印象に残りました。

また、精神障害を雇用するときには、次のような点を確認することが一般的です。

【障害関係】
・障害の状況
・通院状況、服薬の状況
・配慮して欲しい点

【職務遂行関連】
・希望する仕事内容
・仕事に関するスキルの習得状況(必要なスキル、資格等)
・コミュニケーション方法

【生活関連】
・通勤方法(通勤経路と時間)
・外部の支援機関のつながり
・生活環境

実際の採用面接にあたっては、各企業ごとに求めるものが違いますので、どのような点を確認しておくべきかを事前にチェックしておくことをおすすめします。

精神障害の職場定着のためのサポート体制

人的なサポート体制

人的なサポート体制としては、次のような資格者を配置しています。
・障害者職業生活相談員

・ジョブコーチ

・産業カウンセラー

また、この他にもトレーナー、リーダーを配置し、全員障害者です。トレーナー、リーダーは、グループリーダーの補佐として全体をまとめる役割を職位制度として担っています。

出所:平成28年職場改善好事例集 最優秀賞 シダックスオフィスパートナー株式会社

制度や取組等のサポート体制

障害者雇用だけに限りませんが、どうしても自分の業務で手一杯な状況になると、他の社員の仕事内容や状況にまで配慮することができず、それぞれの社員が悩んだり、困ったりしたり、孤立化や過重負担になってしまうことがあります。

このような状況をつくらないためにも、毎週事例検討会議を行ない、その中で各グループの問題点を全支援員で共有化するともに、意見交換やアドバイスを行ない、問題の解決を図っています。また、人事などについても情報共有し、異動や休職、復職、欠勤等の全体の変化を把握できるように取り組まれています。

この他にも次のような取組をしています。

こころの相談室(月1回)

「こころの相談室」を開設し、外部のカウンセラーによるカウンセリングが受けられる環境を整備しています(相談体制整備)。

朝礼・チーム朝礼・夕礼(毎日)

朝礼後リーダーがその日の業務確認を行ないます(当日業務の再確認、ミスの軽減)。

業務日報と指導員コメント(毎日)

業務内容、相談、問題点等報告のアドバイス及びコメント記載します(不安感の軽減、業務の整理)。

振り返り面談(月1回)

本人と支援機関、グループリーダーの3者で振り返り面談を実施します(1ヶ月を振り返り、次月の準備を行なう)。

情報の共有化(データ化)

振り返り面談等はデータ化し、支援員同士で共有化しています(共有化、過去データーの抽出可能)。

改善事例・好事例の抽出・水平展開

改善事例・好事例を毎月提出。共有できる提案は水平展開します(モチベーションアップ・責任感向上)。

目標管理シート

キャリア形成のモデルステップ提示・目標設定を行ないます(中長期の目標作成及び進捗管理を行なう)。

健康状態の把握(気分ノート)

当日の健康状態を5段階に分け、記号で記載します(健康状態をトレンドで把握)。出勤時「気分ノート」に当日の気分などを記入して、朝の気分、健康状態によって作業内容の変更などを行なうこともあります。

休憩時間の細分化

午前1回、午後2回(各10 分間)の休憩時間を設定することによって、長時間の集中、離席へのためらいから休憩を取らず、体調不良になることを防いでいます。

動画の解説はこちらから

まとめ

精神障害者の職場定着するためのポイントについて、シダックスオフィスパートナー(シダックス株式会社の特例子会社)の精神障害者の雇用の事例から見てきました。なお、この取組は、平成28年職場改善好事例集 最優秀賞(厚生労働大臣賞)を受賞しています。

精神障害の面接・採用のポイントとして、真っ先にあげられているのが、「自分の病気を理解し、セルフケア方法をいくつか準備している」という点です。企業が配慮することも必要ですが、まずは自己コントロールできることが重視されていました。合わせて、職場定着のためのサポート体制として、人的なサポートと制度や取組等のサポートがありました。

また、各グループの課題や問題点を全支援員で共有化するために定期的に事例検討会議を行なうことによって、意見交換やアドバイスを行ない、問題の解決を図っていました。人事情報なども情報共有し、異動や休職、復職、欠勤等の全体の変化を早く把握することは、精神の職場定着にはとても大切な点です。

参考

平成28年職場改善好事例集 最優秀賞 シダックスオフィスパートナー株式会社(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)

障害者職業生活相談員とは?~役割と資格取得方法~

ジョブコーチ(職場適応援助者)の活動と役割とは

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