事例でわかる!発達障害の種類とその特徴を徹底解説

事例でわかる!発達障害の種類とその特徴を徹底解説

2024年08月6日 | 障害別の特性・配慮

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現代社会において、学校や会社などあらゆるところで「発達障害」という言葉を耳にするようになりました。発達障害は先天的な脳機能障害であり、その影響は幼少期だけでなく、成人してからも続くことがあります。

発達障害についての知識を得ることは、実は周りにいる人たちにとってもメリットがあります。どんなメリットがあるのかをお伝えするとともに、発達障害の種類と特徴について事例を交えながら解説します。

発達障害の人はどれくらいいるの?

厚生労働省の『平成28年 生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)』では、医師から発達障害だと診断を受けた人は国内に約48.1万人(推計値)いることが示されています。

出典:平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)(厚生労働省)

また、全国の小中学校を対象にした文部科学省の令和4年の調査では、通常学級に在籍する生徒や児童に小学校で10.4%、中学校で5.6%、高等学校で2.2%ある可能性が指摘されています。これは小中学校の義務教育で見ると8.8%、前回調査(平成24年)から2.3ポイント増えています。これは35人学級であれば3人ほどの割合となります。

出典:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(文部科学省)

発達障害とは

発達障害は、先天的な脳機能障害であり、日常生活に様々な支障をきたすことが特徴です。その症状や影響の程度は個人によって異なり、一定の範囲内でグラデーションのように現れます。これは、発達障害が単純に「あるかないか」ではなく、軽度から重度まで幅広い症状を含むという意味です。

発達障害の特徴は、その現れ方において程度や頻度に差があります。例えば、ある人は軽度の注意欠陥があり、日常生活にわずかな影響を受けるだけかもしれませんが、他の人は重度の症状を持ち、生活全般に大きな支障をきたすことがあります。このため、発達障害を理解する際には、一律に判断するのではなく、個々の症状の程度や頻度を考慮する必要があります。

また、発達障害には併発の概念があり、これは一人の人が複数の発達障害を同時に持つことを指します。例えば、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を同時に持つ人もいます。併発がある場合、それぞれの障害の特徴が重なり合い、症状がより複雑で多様になります。このため、発達障害の診断やサポートには、個別のニーズに応じた包括的なアプローチが求められます。

発達障害を理解することは、発達障害の周りにいる人にとってもメリットがあります。もし、発達障害についての理解がなければ、周囲にいる人たちは「常識がない人だ」とか「空気が読めない人だ」と思い、その特性の故にイライラしたり、誤解や摩擦が起こりやすくなりストレスを感じるかもしれません。

しかし、そのイライラしてしまう言動が「発達障害」からくるものだと理解できるのであれば、それに適した対応やコミュニケーションをはかることができます。また、特性を理解することで、発達障害を持つ人々の行動や反応に対して寛容になり、共感を持って接することができるのです。発達障害の特徴を事例からみていきましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)の特徴

コミュニケーションの難しさ

自閉スペクトラム症(ASD)の人々は、コミュニケーションにおいて様々な困難を抱えることがあります。特に、相手の表情や声のトーンを読み取ることが苦手で、冗談や比喩をそのまま受け取ってしまうことが多いです。

ある会社員のAさんは、同僚が「今日は仕事が山積みだ」と冗談を言った際に、本当に大量の仕事があると信じ込み、必要以上に心配してしまいました。同僚の冗談の意図を理解できず、真に受けてしまうことが多々あります。

学生のBさんは、クラスメートが「君は天才だね!」と称賛した際に、それを文字通りに受け取り、自分が特別な存在であると誤解してしまいました。実際には、クラスメートは少し大げさにお世辞を言っただけでした。

こだわりの強さと感覚の偏り

特徴: ASDの人々は、特定のルーティンやパターンに強く固執する傾向があります。また、感覚過敏や鈍感など、感覚の偏りが見られることもあります。これは、音、光、触覚に対する過剰な反応や鈍い反応として現れます。

会社員のCさんは、毎朝同じ順序で準備をしなければならず、少しでも順番が崩れると強い不安を感じてしまいます。例えば、歯を磨く前に顔を洗わないと、仕事に行くことすらできないほどです。

小学生のDちゃんは、教室の蛍光灯のちらつきが気になり、授業に集中できません。さらに、特定の洋服のタグが肌に触れると痛みを感じるため、着る服が非常に限られています。一方で、寒さや暑さに対しては鈍感で、冬でも薄着で外出することがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)の特徴は、コミュニケーションの困難さとこだわりの強さ、そして感覚の偏りです。これらの特徴は個々に異なり、環境や状況に応じて異なる形で現れます。ASDの人々が快適に生活できるようにするためには、これらの特徴を理解し、適切なサポートや環境調整が重要です。たとえば、学校や職場では、コミュニケーションのサポートや感覚に配慮した環境づくりが求められます。

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴

不注意

ADHDの人々は、集中力を持続させることが難しく、ケアレスミスが頻繁に発生します。タスクを途中で放棄したり、物を紛失することが多く、細部に注意を払うことが難しいです。

会社員のEさんは、プロジェクトの報告書を作成する際に、何度も同じミスを繰り返してしまいます。彼は、重要なデータを見落としたり、計算ミスを頻発します。集中力が続かず、報告書を完成させるまでに多くの時間がかかってしまいます。

中学生のFさんは、授業中にノートを取ることが苦手です。先生が説明する内容に集中することができず、結果としてノートには重要な情報が欠けています。また、忘れ物が多く、しばしば教科書や宿題を家に置き忘れてしまいます。

多動・衝動性

ADHDの人々は、じっとしていることが難しく、手足を絶えず動かしたり、頻繁に席を立ったりします。また、思いついたことをすぐに発言する衝動性があり、相手の話を遮ってしまうことが多いです。

小学生のGくんは、授業中にじっと座っていることができません。彼は頻繁に席を立ち、教室の中を歩き回ったり、他の生徒と話し始めたりします。手足を動かすことも多く、隣の席の友達に触れたり、文房具をいじったりしています。

会社員のHさんは、会議中参加すると、上司の話を聞いている最中に、思いついたことをすぐに発言してしまいます。これにより、会議の進行が妨げられたり、他の参加者に不快感を与えてしまうことがあります。また、彼は手足を動かすことが多く、ペンをカチカチと鳴らしたり、足を揺らしたりしています。

ADHDは、注意欠如・多動症とも呼ばれ、不注意、多動性、衝動性の3つの主要な症状が特徴です。これらの症状は個々に異なり、環境や状況に応じて異なる形で現れます。ADHDの人々が快適に生活できるようにするためには、これらの特徴を理解し、適切なサポートや環境調整が重要です。例えば、学校や職場では、集中力を維持するためのサポートや衝動性を抑えるための環境づくりが求められます。

LD(学習障害)の特徴

ディスレクシア(読字障害)

ディスレクシアは、文字の読み方や形の認識が困難で、文字を正しく読むことが難しい状態を指します。この障害は、文字を見てそれを言葉に変換するプロセスに問題が生じるため、読み書きが困難になります。

小学生のIくんは、教科書を読むのに非常に苦労しています。文字が踊るように見えたり、特定の単語を繰り返し間違えて読んだりします。例えば、「ねこ」を「ぬこ」と読んでしまうことが多く、文章全体の理解が難しくなります。クラスメイトがスムーズに読んでいるのを見て、自己評価が低くなってしまうこともあります。

書字障害(ディスグラフィア)

書字障害(ディスグラフィア)は、文字を書くことが困難で、文字の形を正しく記憶したり再現することが難しい状態を指します。余分な線や点を加えてしまうことが多く、書いた文字が不明瞭になることがあります。

中学生のJさんは、授業中に板書をノートに写すのが苦手です。彼が書く文字は、通常の文字よりも大きかったり小さかったりして、行からはみ出すことが多いです。また、句読点を忘れることが多く、文の意味が伝わりにくくなります。作文を書くときも、文法のミスや余計な線を加えることが多く、教師が読み取るのに苦労します。

算数障害(ディスカリキュリア)

算数障害(ディスカリキュリア)は、数の概念や計算が難しい状態を指します。数の大小を理解するのが難しかったり、基本的な算数の計算が苦手だったりします。

小学生のKくんは、算数の授業で苦労しています。彼は、数の大小を理解するのに時間がかかり、簡単な足し算や引き算でも間違いが多いです。例えば、「5+3」を「7」と答えてしまったり、繰り上がりや繰り下がりを理解するのが難しいです。先生が何度説明しても、同じミスを繰り返すため、Kくんは自信を失ってしまいます。

学習障害(LD)は、特定の学習分野において著しい困難を伴う障害です。ディスレクシア、読字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)は、LDの代表的な3つのタイプです。これらの障害を持つ子供や成人は、通常の教育環境では学習に苦労することが多く、特別な支援や指導が必要になります。

ディスレクシア(読字障害)は、音声読み上げソフトや文字認識アプリを使用することで、読みの負担を軽減することができます。読字障害(ディスグラフィア)は、タイピングを習得させることで、文字を書く代わりにコンピューターで文書を作成する方法が有効です。算数障害(ディスカリキュリア)は、視覚的な教材や具体的な例を用いて数の概念を教えることが有効です。また、計算の補助具や計算アプリも有益です。
これらの支援を通じて、SLDを持つ人々が学習に対する自信を取り戻し、効果的に学ぶことができる環境を整えることが重要です。

まとめ

発達障害だと診断を受けた人は国内に48万人以上いると言われています。会社や学校など私たちが社会で生活するうえで、発達障害者と接する機会は増えています。このような中で発達障害についての理解を深めることは、私たちが生活するうえで必要なものとなりつつあります。

発達障害についての知識や理解がないと、周囲にいる人たちは「常識がない人だ」とか「空気が読めない人だ」と、特性の故にイライラしたり、ストレスを感じるかもしれません。しかし、そのイライラさせる言動の理由がわかると、それに適した対応やコミュニケーションを取りやすくなります。

ただし発達障害は個別性がとても高いものです。ASDだから、ADHDだから・・・と言っても、その特性の現れ方は個人個人によって異なります。そのため個別の必要を把握し、適切な対応をすることが必要です。企業や教育機関で発達障害のある人の能力を発揮できるような環境づくりをすることは、当事者にとっても周囲の人にとってもメリットがあります。

動画で解説

参考

精神障害者保健福祉手帳の取得方法や判断基準とは?

【大人の発達障害】ASD診断のカギ「有名心理テスト」から見る特性把握

なぜ、大人になってから発達障害とわかるのか?現状や背景を解説

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