【中小企業】専門職をリモートワークで障害者を採用するためのポイント

【中小企業】専門職をリモートワークで障害者を採用するためのポイント

2023年04月3日 | 企業の障害者雇用

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中小企業で障害者雇用に取り組む企業が抱える課題として、専門職を雇用することができないということがあげられることがあります。デザイン制作をおこなう株式会社シュガーテイストでは、デザイナーの方を障害者雇用としてリモートワークで採用しました。

障害者を採用しようと思ったわけではなかったものの、ふとしたきっかけから障害者雇用を進めることになった経緯や採用の中で感じたことを代表取締役の佐藤さん、そして今回はじめて障害者枠で就職活動して採用された藤本さんにお聞きしました。

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株式会社シュガーテイスト
事業内容
・デザイン部門
・EC部門
・福祉部門
設立:2011年7月5日
代表取締役: 佐藤 奈緒子
スタッフ: 14名(アルバイト含む)
資本金 :300万円
ホームページ
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Q:シュガーテイストさんの会社概要とか事業内容をお聞かせください。

佐藤さん:セールスプロモーショを中心としデザイン制作を東京の浅草でおこなっています。大手企業様やオーナー様向けにセールスプロモーションを中心としたグラフィックデザイン、WEBサイト/システム製作、映像製作が中心になります。親子向けにデザインを活用したワークショップ、デザイナー向けの講座なども開講しています。デザイン部門の他にも福祉部門があり、埼玉で 居宅介護支援事業所をしています。社員は、約10名です。社員の他にもアルバイトや外部委託で依頼することもあります。法人になってから、12期目となります。

起業したきっかけは、仕事自体にはそれほど不満はなかったんですけど、なんか自分でやってみたい方が強くなったという感じです。そのまま会社にいてもよかったのかもしれませんが、それほど大きな会社ではなかったので、自分でどこまでやれるか ちょっとチャレンジしたくなったというのが大きかったですね。

自分だったらこうやれるのでは・・・とアイデアや想いがすごく湧いてしまって、その箱が 狭くなってしまったというところがあります。また、勤務していた会社の方針として、デザイン営業が主体だったので、デザイナーのポジションがどうしても限定されてしまうところがあり、それで、デザイナーが主体の会社にしたいという思いと、自分でどこまでできるのか挑戦したみたいと思い、起業しました。

デザインという仕事は、個人ですることも大事ですが、大きな 仕事をしたいなと思ったら、それなりにいろんな作業量も多いし、一人でやれることに限界もあります。でも、チームでやると大きな案件にも取り組めるし、チームでやると楽しい、それを大切にしています。チームワークを強化していきつつ、そのやれる事業範囲を広げていきたいですし、取引先を国内だけじゃなく、国外に広げていきたいと考えています。あとは社員一人一人、万が一独立しなきゃいけないという環境になっても、一人で稼いでいけるスキルを持ってもらいたいなと考えています。それで、社員には、自分の中で「これしかやらない。」っていうポジションを決めないでほしいと思っています。

Q:そういえば海外にお住まいの社員さんもいらっしゃるとお聞きしました。

佐藤さん:今、海外在住のスタッフが2人います。少し前まで、もう1人いましたが、今は帰国してきました。その他に、社内に外国人スタッフもいます。

Q:障害者雇用を始められたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。
佐藤さん:もともとは、障害者雇用を始めようと思ったわけではなく、採用をかけたときに、たまたま障害者の方でデザイナーとして仕事をしたいという人がいるということを知ったからです。それだったら、ちょっとやってみようかなっていう感じでした。採用をかけていたときに、ちょうど松井さんを知っていたというのも大きいです。

障害者雇用については、そもそもあまり知らなかったので、ちょうどタイミングが合ったという感じでしょうか。外国人採用をしたときも同じように、ちょうど何かのタイミングで 人材紹介会社から紹介されたスタッフと知り合ってそれで一気に海外の人と一緒に仕事できるようになったりしたこともあるので、タイミングが合ったという感じですね。

ただ、障害者だからというような特別な思いは、それほどありませんでした。確かに、言われれば書類に書いてあった気がしたんですけど、デザイナーとしての求人だったので、作品集や作品の雰囲気とかを重視して見ていたので、オンライン面接で車椅子というのは聞きましたが、もともとリモートワーク可で募集していたので、あんまり気にしてなかったですね。職種に関係するところも大きいかなとは思いますが、実績や今までの経験、キャリアの方が重要だと思います。

障害者を採用するということに対しては、いい意味で自分の知識がなかったから、垣根がなかったというのはあると思います。障害者雇用をしてみて何が一番大事かって言ったら、障害者雇用という言葉とか、置かれている状況とかじゃなくて、その人自身を見ることだと感じています。

Q:障害者雇用をすることに対して心配だったことや、調整されたこと、社員の方への説明などはありましたか。

佐藤さん:そうですね、心配っていうのは、知らなかったがゆえに、何かしでかさないかなっていうことでしょうか。例えば、割とはっきり聞くので、何か聞いちゃいけない ことを聞いてしまうではないかとか、どんなことを配慮するべきところなのかというのは、正直言ってありましたね。

でも、松井さんからちょっと聞いていたし、リモートワークの採用だったので、職場でバリアフリーとかは必要ないかなと思っていたので、全く無いと言えば違うけど、なんとかなるんじゃないかなと思っていました。ただ、久しぶりに仕事に復帰する時は、障害の有無にかかわらず、精神的負担とか体力的負担とかがある程度かかるとは思うので、その辺は徐々にやっていこうかっていう感じで、考えていましたね。

職場の中ではいろいろな状況のスタッフがいるのが、私の中では普通でしたし、それにみんなついてきてくれてる人たちばかりだったので、そんなに大変とか、特別感はなかったですね。職場でも、事務所で働くスタッフもいれば、リモートのスタッフもいますし、外国に住んでいたり、外国籍のスタッフもいるので、いい意味での多様性には対応できていたのかもしれません。

Q:実際に働かれている藤本さんは、いかがですか。

藤本さん:そうですね。仕事は、すごくやりやすいですね。これで、いいのかなと思うぐらいやりやすいです。私自身の経験で言うと、一番長く 働いてた会社は最初は職場で働いてたんですけど、引っ越しを機に通勤が難しくなり、その後は、その会社でリモートワークを続けていました。

それで、リモートワークすること自体には慣れていたので大丈夫だったのですが、採用されるときにリモートワークをしたいという提案をしても、それを受け入れてくれるところは殆どなく、なかなか難しかったですね。コロナがあってからは、企業でもいろんなところでリモートワークが一般的になりましたが、それ以前は本当に難しかったです。

Q:採用はどのような感じで進まれたんですか。

佐藤さん:一般のクリエイティブ系のところとハローワークの障害者枠で求人をかけました。採用までの期間は、約2ヶ月くらいです。面接はZoomや電話で2回ほどしました。健常者も含めて複数人の面接をして、最終選考で決まりました。

Q:はじめからのリモートワークということで、不安などはありませんでしたか。

佐藤さん:藤本さんが今までにリモートワーク経験があるというところは、やっぱりハードルが下がったところはあったと思います。例えば、仕事で何かソフトとか技術も学んだり、覚えたりすればできるというのはわかっていても、やっぱりやったことあると言っ てくれた方が安心感がありますよね。あとは、条件じゃなくて、その人がちゃんと一緒に仕事ができるかどうかという方を重要視しています。求人募集自体はリモートワーク限定ではなく、リモートでもOKという感じのものでした。

Q:そうすると藤本さんが応募されたのは、リモートワークでもOKになるかなという状況で応募されたという感じですか。

藤本さん:そうです。リモートワークが可能って書いてあったので、その一筋の光を見つけたような感じで応募しました。

佐藤さん:応募書類に、文章的になんか面白いこと書いてありましたね。求人で「こういう人を求めてます。」のような項目を10 個ぐらいあげていたんですけれど、「それ、私です。」っていうようなアピールがありました。

Q:それは、どんな項目だったんですか。

佐藤さん:そんなに 珍しいことは書いてなかったと思います。やる気があってとか、前向きに仕事に取り組める人とか、そんな感じだったと思います。

藤本さん:そうですね。「その項目に書いてあるのが、私です。」みたいな感じで、応募しましたね。ちょっと、ふわっとした言い方になりますが、求人を見てピンときたんですよね。夏頃から就職活動をしていて、いろんなところに応募して探してたんですけど、なかなか決まらなかったこともあり(採用は11月中旬に決まった)、 自分のアピールできることを全部言っちゃおうみたいな感じにだんだんなってきたというのも影響していたかもしれません。

Q:そうすると、今までの就職活動や企業の反応を見て、もう少し強気でいった方がいいかなというところが、藤本さんの中であったんですね。

藤本さん:そうですね。そういう就職活動での経験値ができてきたのと、なおさん(佐藤社長)との相性が良かったのもあると思います。会社が求めている10項目ぐらいの内容が、私にとっては当たり前のことだったことや、考え方というか、やりたいことがそこにあるような気がしました。本当にビビッときた感じです。

Q:障害者雇用に関しては、今回が始めてとお聞きしました。

藤本さん:はい、そうです。どのように仕事を探せばいいかがわからなくて、試行錯誤しながら進めていきました。応募に関しては、手当たりしたい次第応募してたわけではなく、選んでいましたし、その中で手応えを感じた会社もありました。一般と障害者枠での応募もしていたので、自分の状態を最初から説明した方がいいのか、最後に言う方がいいのかとかなども、反応を見ながら調整していきました。

障害者雇用として募集されてるものに関しては、最初から伝えましたが、一般の募集に関しては職種でスキルを求められるので、その条件が自分のスキルと合っていたので応募したけれど、実は障害者なんですと伝えるケースもありました。中には「スキルは十分です」と言われたものの、最終的にお断りだったこともあるので、障害という部分が理由だったのかなと思ってしまうこともありました。

Q:実際に就職活動をされた中で、障害については先に言った方がいいのか、後から伝えたほうがいいのかとか、その辺はいかがですか。

藤本さん:最初に応募していた時は、リモートワークが中心だったのですが、障害者かどうかに関係なく、結局「来てください」って言われることが多く、そのためなぜリモートワークで働く必要があるのかという理由を説明する必要がありました。どこかで言わないと、話が進めなくなるということはありましたね。

ある医療機関の事務職の仕事の募集がありました。その仕事内容には広報も含まれていて、パンフレットや 冊子、ポスター作成なども含まれていたんです。今までの経験が活かせると感じて応募したところ、トントンと話が進みました。医療機関ということもあって、こちらの事情もわかってもらえるのではと思っていたんですけれど、結局採用にはなりませんでした。具体的にどうしてダメだったかという理由はわかりませんが、取材に行くこともあるので、やっぱりフットワークが軽い、どこにでも出かけられることを重視されたのかなと思います。

Q:障害者雇用について、ハードルが高いと感じている企業もたくさんありますが、どのように佐藤さんはお考えですか。

佐藤さん:障害者雇用をしてみたいけどハードルが高いのか、障害者雇用をしなければならないけれどハードルが高いのかで、見ている角度が違うかなと感じています。それによって、だいぶ変わってくると思いますね。私の場合は、障害者雇用をやらねばならぬじゃなくて、この人を採用しようと思ったら、実は障害者でした。採用したら助成金がでるなら活用しましょうという感じだったんですよね。

でも、たまたま障害者雇用をすることになったけれど、障害に合わせた案件を作ろうとすると大変なのかなって思ったりもします。この人はこんな仕事がしたい、できるというのがあれば、それに対してこの人ができることをいうのを考えればいいだけで、障害を考える必要はないのかなって思うんです。

でも、これが例えばデザインに関する仕事だけど、視覚障害で目が見えませんって言われると、なかなか難しいとなります。目が見えなくても仕事ができる機材を持っていないとできないですよね。今回、(藤本さんと)一緒に仕事したいなってなりましたが、これが車椅子ではなくて、例えば 手が動かせないとかだと難しいかなと思います。足で操作できるようなパソコンなどもあるんでしょうけれど、そこまでの自分の知識がないからそれを準備できるのかって考えると、途中でストップしたのでは・・・と思ってしまいます。

だから、その人がやりたいことがあったり、できること、得意なことをしてもらえば、一番いいのかなと思っています。そうでないと、お互いに大変ですよね。今、一緒に仕事をしている中で、障害が障害になってることは何もないんですよね。

Q:藤本さんは、佐藤さんのお話をどのように思われましたか。

藤本さん:そうですね、共感というか同感するところがあります。私も障害があるからできない事があります。例えば、荷物を運べなかったり、ずっと立っていることや、長い時間は歩けない、時には車椅子を必要とする時だってある。もちろんできないことはありますが、でも、できることもあるんです。できないことに注目しているから障害になっているけれど、できることだけをしていたら障害にはならないんじゃないかと思うんです。

採用する側も全部できる人を求めているんじゃないかなという気がするんですよね。先程の医療機関の採用の件もそうですが、フットワーク軽くないといけないとか、取材に行くのにちょっと足が悪かったらって・・・思われたら難しいかもしれません。もちろん取材だけの仕事だったら難しいでしょうし、私も応募しませんでしたが、いくつかある仕事の中の取材という位置づけなのであれば、デスクワークができるところを見てもらうことができるのではないかって思うんです。

Q:佐藤さんが藤本さんに面接で会ってみようかなって思われた一番の理由は、どんなところですか。

佐藤さん:応募書類と一緒にあった(今までの実績の)作品集の中にコメントが色々入っていたのですが、これがすごくポジティブだったんですね。確かその中にも障害者ってことが書いてあったと記憶しています。「実は、私は・・・」みたいな感じの書き方で、なんかそれがポジティブに前向きにやろうとしているのが伝わってきたので話してみたいな、面接しようと思ったんですよね。

Q:どのように自己アピールしていくのかということは、大事ですね。

佐藤さん:そうですね。もちろん作品とか、実績とかも必要だとは思いますが、それに対する自分の考え方や想いのようなものをしっかり伝えていくっていうのは、すごく大事なんですよね。即戦力が重視されることが多いですが、スキルがあっても柔軟性がないと難しいと感じます。

今までに自分が(経験やスキル面で)できるがゆえに「私はこうやってきたから」と主張する方もいますが、やはりチームで仕事していくので、協調性のようなものも必要ですよね。スキルや経験だけであれば、フリーでやった方がいいかもしれないと感じる人もいますよね。

障害者雇用についても、障害の書き方も大事なのかなって気がしています。ハローワークでも求人したので、他の障害者の方からもたくさん応募がありました。もちろん、配慮も大事だと思います。でも、障害への配慮を最優先で書いてる人が多くて、そこを最優先に書かれると一緒に働くのは難しそうだなって感じてしまいます。

これは障害だけでなく、子供がいて働きたい女性にも同じことが言えると思うんです。もちろん子供がいると、いろいろ想定していないことが起こったりするので、実際に何かをサポートすることもでてきます。それでも、子供がいてということを一番に書かれると、自分最優先の人とは一緒に仕事しづらい気がしてしまうんですよね。「子供が小さいので、早く帰らせてもらえないとダメなんです。」って言われるとね・・・、なかなか一緒に働くのは難しいかなと感じてしまうように、障害があるからみんなから配慮してもらわないと・・・みたいな感じだと、なかなか採用は難しいと思いますね。

もちろん、いろいろな障害や苦手さはあるでしょうけれど、やっぱり自分の状況をちゃんと前向きに受け入れて、それでも仕事をやりたいという意思や精神力みたいなものがないと、企業で採用はできないかなと感じてしまいます。

Q:藤本さんは、今回はじめて障害者枠で就職活動されてみて、実際にどんな感想をお持ちですか。

藤本さん:今までの仕事は、デザイン会社にアルバイトで入り、そこで デザインをいろいろ学び、そこで社員になりました。その後に、他の会社でも勤務経験があります。デザインもしていますが、イラストも書いてきました。

今回の就職活動に関しては、一般のものと障害者枠のものと両方活用しました。障害者専用のエージェントにも登録しましたが、応募したいと思う職種や仕事内容のものが、ほとんどありませんでした。特にデザイン系の職種というか、仕事はなかったですね。気持的には、障害者枠であることが自分の武器になって、それで採用してもらえるんだったら、助成金もあるし、私お得でしょというくらいの気持ちもあったくらいなんですけど。

以前、本当にやりたい仕事があった時に、私はこんなアピールをしたことがありました。「もし私と他の誰かと採用で、他の人が会社から近くて、その交通費で迷っているくらいだったら、自転車でくるので、私を選んでください。」会社の人からは、「交通費は気にしないでいいよ、出すよ。」って、言っていただいて採用されたんですが、最終的にはこの意気込みが買われたらしいんですよね。

佐藤さん:私も意気込みだけで、仕事をもらってる事って多いような気がしますね。なんか8割方くらいそうじゃないのかなって思います。先方がびっくりするようなパネルを作っていったりしますね。

Q:なるほどスキルも大事ですが、藤本さんや佐藤さんのお話を聞いていると、仕事への熱量というか、すごくやりたいっていう気持ちを出すことが大切そうですね。

佐藤さん:そうですね。仕事への思いよりも、配慮してほしいというのが大前提だと、採用するときにちょっと違うよねと言うのはありますよね。誰でもみんな何かしら、ちょっとずつ苦手なところはあるわけですけど、そこをなんかみんなで同じ土俵に乗ろうとするのを意識しすぎている感じがします。

階段しかないようなお店に「なんで行けないんだ!」っていう障害者の人がたまにいるじゃないですか。「みんなと同じようにあの階段の上に行きたいんだ。だから配慮してくれ。」みたいなことを聞くと、別にそこにこだわる必要ないんじゃないかなと思うんですよね。別のいいアイディアで解決する方法がある。例えば、おんぶしてもらえばよかったり、なんか工夫してもらえることもできるかもしれないし、違うおいしい店に行けばいいかもしれない。みんなと同じがいいという点にこだわらなくてもいいのではないかと思うんです。

障害者枠の応募書類がたくさん見ましたが、応募書類の内容がとにかく暗いんです。でも、同情で採用されても、全然嬉しくないのでは・・・って思ってしまいました。また、精神障害の方の応募が多かったのですが、精神疾患といってもいろいろあるので、こちらではわからないんですよね。「どんな状況なのかイメージがわからないから、やっぱり採用を考えると難しい。」と感じる企業の気持ちもわかります。

採用する側もわからないことが多いから必要な情報として、どういう精神疾患があり、どういう症状があるのかってことをしっかり伝えることは応募者側も必要ですよね。そうすれば、これなら大丈夫かなって思えるかもしれないし、 判断がつきやすくなります。

今までにも採用してから、「実は精神的に何か不安定なところがあります。」とか、「 昔、こういう病気があって・・・。」とか言ってくる人が何人かいました。採用する側からすると、なぜ隠してたの?みたいな雰囲気になりますし、実際に結構困るんですよ。急に「なんか具合が悪くなってきた。」って言われても、準備ができてないからどうしていいかもわからないとなってしまいます。

Q:藤本さんは、就職活動をする中でどのように障害のことを伝えていかれたんですか。何かご自身で工夫されてきたことはありますか。

藤本さん:工夫ですか。そうですね、「できること」と「できないこと」をはっきり伝えておくことでしょうか。ちょっと無理したらできますとか、頑張りますとか言いたくなる気持ちはわかりますが、物理的に無理ということもやっぱり出てきますし、どうしてもできない事はどう頑張ってもできないんですよね。それはしっかり伝えるようにしています。

佐藤さん:受け入れてくれる環境に行かない限りは、無理に入っても、絶対意味ないんですよね。障害とは関係ないですけれど、私が初めて採用した外国人スタッフもパワハラにあっていたんです。もうすぐ帰国というところで知り合って、1週間ほどで採用が決まりました。とっても優秀な人だったんですけれど、日本語がちょっと通じないこととかあって、それで周囲がイライラ したのかもしれないなと思いました。自分が知らないものへの視線というか、受け入れられないものに対する柔軟性が必要なのかなと感じます。

障害者と一言で言っても、いろいろな人がいて、どういう障害でどういう仕事したい人たちがいるのかに対する知識はあまりないんですけれど、なんか障害者雇用したいっていう言葉自体の表現がおかしいのではないかと感じますね。

Q:藤本さんの今の仕事内容や働き方について、お聞かせください。

藤本さん:仕事内容は、デザインの仕事が中心です。それと、たまにイラストを書いたりすることがあります。仕事自体は手と頭を使いますが、足は関係ない仕事内容なので、仕事をするにあたっては、本当に不自由はないですね。

勤務時間は、体調とかが見ながらやっていったほうがいいと病院の先生からも言われたので、当初は短時間でしばらく様子を見ながら進めました。病気になってから1年半ほど入院して、傷病手当をもらいながらリハビリをしてと、仕事に本格的に復帰するまでに約5年ほどのスパンがあったので慎重でしたね。

始業は10時で、初めの1ヶ月くらいは夕方4時ぐらいまでの勤務にして、その後は6時までの勤務をしています。リモートワークで仕事をしているので、排泄障害もありますがちょっとしたトラブルがあっても自宅で対応できるので、気分的にも安心しながら働くことができています。

Q:障害者枠で働きたいと思ってる方に藤本さんのご経験から、何かアドバイスをいただけますか。

藤本さん:そうですね。自分のできることに焦点を絞るのが、やっぱりいいと思いますね。障害者枠で働くっていうのも、選択肢はいろいろあると思うんですね。例えば、清掃とか、製造とかあります。でも、私は多分その仕事はできなくて、もし無理してやってしまうと途中でやめるとか、悩んでしまうことになると思うんです。でも、自分に向いてる仕事というか職種を探して、それを採用する職場や会社の方としっかりすり合わせすれば働くことができます。そして、内容や認識がもしズレているのであれば、やっぱり無理しても長続きしないと思うので、できることをちゃんと自分で把握して、それを伝えるっていうことが必要です。あとは、 客観的に見てもらうことも大事だなと感じます。私は転職活動では、エージェントの方にいろいろ聞くことができました。

Q:最後にお一言ずつ、お願いします。

佐藤さん:障害者枠で働きたいという方に対しては、自分の状況を受け入れてちゃんと分かってくれる企業や担当者を見つけることが大切だと思いますね。あとは、自分がやりたいことをはっきりさせるのが重要です。辛い思いをしてるかもしれないけど、前向きに自分に合った仕事や会社を見つけようという気持ちで活動するといいと思います。

あと、応募書類も大事ですね。藤本さんの応募書類では、「死にかけたことがあります。」みたいなことが書いてありました。表現力や書き方もすごいんですが、そんな内容は気になるじゃないですか。そして、そこから復帰って書いてあったので、これだけ大変なことを乗り越えてる人ってどんな人なのかなっていう興味はやっぱり湧きましたね。そして、応募書類に添付してあった資料からは、「仕事をやりたい」という気持ちが伝わってきたのも大きかったですね。

Q:藤本さんからは、いかがでしょうか。

藤本さん:なんか、障害者っていう引け目を感じる時がやっぱりあります。私は元々、自己肯定感が高くないところがあって、私なんて・・・と思いがちというか、できないことがやっぱり多いなと感じることもありました。でも、なおさん(佐藤さん)が面接の時に、私を採用することが社会貢献の一つになるといいよねって言われたのが、とっても印象に残っています。「私を雇って、社会貢献してみませんか。」ぐらいの前向きな 気持ちでいいんだと感じました。

あとは、できることとできないことをしっかり自分で把握して伝えることが大事だし、それを採用する職場や会社の方としっかりすり合わせすることも必要ですね。

まとめ

障害者を採用しようと思ったわけではなかったものの、ふとしたきっかけから障害者雇用を進めることになったシュガーテイストさん。その経緯や採用の中で感じたことをお聞きしました。「障害者雇用」というと、配慮しなければならない、どんな風に接したらよいのかわからないと心配する企業や担当者の方も多いですが、採用する前から必要以上にハードルを高くしないことも必要だと感じました。もちろんそれなりの準備や、短時間勤務からはじめるなどの工夫は必要です。

また、あまり障害者雇用の経験がない企業からすると、「どんな状況なのかイメージがわからない」という不安はやはりあります。この辺は応募者側が「できること」と「できないこと」をはっきり伝え、職場の理解や受け入れ体制を見ていくことが求められています。そして、それをどのように伝えていくのかも大切だと感じました。

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