東洋経済から、「障害者の雇用」に積極的な企業ランキング100が発表されました。対象は2019年度のCSR企業総覧(雇用・人材活用編)2021年版に掲載された1614社のうち、2019年度に障害者を3人以上雇用している企業となっています。
どのような企業が、障害者雇用に積極的なのか、見ていきたいと思います。
障害者雇用に積極的な企業ランキングが発表
まずは、障害者雇用に積極的な企業の1位~10位までの企業名と雇用率、人数を見ていきます。
順位 | 社名 | 雇用率(前年) | 雇用人数(前年) |
1位 | ゼネラルパートナーズ | 17.86%(20.53%) | 37人(43人) |
2位 | エフピコ | 13.35%(13.60%) | 358人(359人) |
3位 | エイベックス | 10.00%(11.25%) | 24人(27人) |
4位 | MRKホールディングス | 8.62%(7.75%) | 5人(5人) |
5位 | キトー | 7.09%(7.10%) | 36人(36人) |
6位 | ワタミ | 6.58%(4.31%) | 172人(209人) |
7位 | 旧LITALICO | 5.26%(4.64%) | 108人(93人) |
7位 | 太洋基礎工業 | 5.26%(4.56%) | 5人(3人) |
9位 | ファーストリテイリング | 5.15%(5.28%) | 1105人(1185人) |
10位 | AOKIホールディングズ | 5.00%(5.39%) | 6人(6人) |
障害者雇用に積極的な企業の事業内容とは
1位 ゼネラルパートナーズ
1位のゼネラルパートナーズでは、雇用率が17.86%、障害雇用者数は37人です。4年連続で1位となっています。
障害者の雇用サービスを提供している企業で、障害者の総合就職・転職サービス、就労移行支援事業、就労定着支援事業などを手掛けています。精神障害者の雇用創出のために、菌床シイタケ生産販売事業所を運営していたり、障害者の経済的自立と安定就業へのサポート、一般企業への就職や復帰のためのリハビリテーションの場を作っています。
また、障害者雇用に関する調査・研究やダイバーシティ関連情報に特化したオウンドメディアを複数運営したり、子会社でシングルマザー支援事業を行うなど、社会課題解決型の事業を広く展開しているようです。
2位 エフピコ
2位のエフピコは、雇用率が13.35%、障害雇用者数は358人です。こちらのランキングには、昨年に引き続きランクインしています。
スーパーやコンビニなどで使用される食品トレー容器のリーディングカンパニーで、食品トレー、弁当・総菜容器最大手です。障害者は、基幹業務である「食品トレー容器の生産」と「リサイクル」の仕事を中心に活躍しているようです。
食品トレー容器の生産事業では、食品トレー容器の成形・組立加工や検品、包装を担当し、リサイクル事業では、使用済みトレーの選別業務を行っています。
また、特例子会社のエフピコダックスや、就労継続支援A型事業のエフピコ愛パックなどを中心に、全国21カ所の事業所で取り組んでいます。工場見学なども積極的に実施しています。
3位 エイベックス
3位はエイベックスは、雇用率が10.00%、障害雇用者数は24人です。こちらのランキングには、昨年に引き続きランクインしています。
バリアフリーのサテライトオフィスがあったり、障害者アスリート雇用にも取り組んでおり、選手の活動状況をウェブサイトで発信するなど、広報活動にも積極的に取り組んでいるようです。
エイベックスの障害者アスリートについては、他の記事でも紹介しています。この記事の最後の参考にリンクを貼っていますので、関心があればご覧ください。
4位 MRKホールディングス
4位のMRKホールディングスは、雇用率が8.62%、障害者雇用数は5人です。
結果にコミットするパーソナルジムで有名なRIZAPグループの会社で、女性用体型補整下着、化粧品、サプリなどを販売しています。多様性を受け入れ、1人ひとりが活躍できる環境を目指し、障害者雇用にも積極的に取り組んでいるようです。こちらのランキングには、昨年に引き続きランクインしています。
5位 キトー
5位のキトーは、工場用搬送機器メーカーで、障害者雇用率が7.09%、障害雇用数は36人です。
5カ年計画を策定して障害者雇用を推進しているそうで、山梨本社工場で設備のバリアフリー化や、聴覚障害者向けの手話通訳派遣や支援機器導入にも取り組んでいます。
また、平成 29 年度の「障害者雇用優良事業所等の厚生労働大臣表彰」で、障害者雇用職場改善好事例の最優秀賞(厚生労働大臣賞)を受賞しています。
聴覚障害者・肢体不自由者の雇用管理上の課題を分析した上で、手話ボードや自動ドア・ スロープの設置など障害特性に応じた支援が個別かつ体系的になされている点、および、「障がい者雇 用マスタープラン」の策定や、障害のある社員を含めた推進委員会の開催等により、相互のコミュニ ケーションやキャリアアップに向けた取組を充実させるなど、企業の組織的・継続的な対応がなされていることが評価されたようです。
こちらのランキングには、昨年に引き続きランクインしています。
6位 ワタミ
6位は飲食業のワタミで、障害者雇用率は6.58%、障害雇用者数は172名です。
外食店舗での清掃や仕込み、宅食営業所での各種作業、「ワタミ手づくり厨房」での製造・荷受け・本社での事務などワタミグループの全国さまざまな職場で活躍の場があるようです。
以前の障害者雇用に関するインタビューの中では、障害者雇用の状況の内訳として、精神障害の方が5割、身体障害の方が2割(視覚・聴覚・肢体不自由)、知的障害の方が3割で雇用していることや、障害者の方を採用するにあたっては、障害の種類や程度に関わらず、働く意欲を重視していることが示されています。
参考:企業インタビューvol.4(ワタミ株式会社)(babnavi、株式会社D&I)
7位 旧LITALICO(現LITALICOパートナーズ)
7位は旧LITALICOで、障害者雇用率は5.26%、障害雇用者数が108人となっています。
LITALICOは、障害児・障害者のサービスを展開している企業で、就労移行支援事業所や放課後デイサービスを運営しています。また、障害児者の生活に関する情報提供や、調査・研究などの情報発信をしています。
8位 太洋基礎工業
7位はもう1社あり、太洋基礎工業です。障害者雇用率は5.26%、障害雇用者数が5人となっています。
事業内容は、建設関連の事業を展開しています。
9位 ファーストリテイリング
9位はユニクロを展開するファーストリテイリングで、障害者雇用率は5.15%、障害雇用者数は1105人です。
「1店舗1人以上の障害者雇用を目指す」という目標が掲げられていて、国内の約9割の店舗で障害のあるスタッフが働いているそうです。職場での課題等については、ジョブコーチを中心に対応して、人事部内に障害者雇用専任者を配置するなどのサポート体制を構築しています。2013年から精神障害者雇用にも力を入れており、山口本社で8人が採用されているそうです。
また、知的障害者にスポーツの機会を提供する「スペシャルオリンピックス日本」のナショナルパートナーを務めており、ユニフォームの寄贈や運営支援も行っています。
障害者が社会、ビジネス、経済における潜在的な価値を発揮できるような改革をビジネスリーダーが主導していくという趣旨に賛同し、「The Valuable 500」にも加盟しています。
動画での解説はこちらから
まとめ
障害者雇用に積極的な企業について見てきました。障害者雇用に積極的な企業として紹介されている企業でも、たくさん情報提供している企業とそうでない企業があります。
障害者雇用の企業の事例を知りたい場合には、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者雇用事例リファレントサービスを活用するとよいでしょう。
障害者雇用リファレントサービスでは、業種、障害種別、従業員規模などから検索がかけられるようになっており、全国の障害者雇用の事例をすぐに調べることができます。
また、同じく機構から、障害者雇用の職場改善好事例集が出されています。毎年テーマが出されており、ある年は、精神障害や発達障害の職域拡大、職場定着について、また別の年は、身体障害、難病のある方の雇用促進についてなど、年ごとによってテーマが異なりますが、いずれも職場を改善した好事例が掲載されており、具体的な取り組みや参考になりそうなツールなども紹介されています。
参考
障害者アスリート雇用をしている企業の事例~エイベックス、Yahoo! JAPAN~
障害者インクルージョンは企業価値を高めることができるのか~Valuable 500の取り組み~
「障害者雇用率が高い」トップ100社ランキング(東洋経済ONLINE)
障害者雇用日本一はウチの会社です。
長野県長野市豊野町にある 株式会社オートです。社員20名ちょっとですが、障害者雇用率は36%を超えています。
適材適所の配属で特定の部署に偏る事なく障害者の方々が活躍しています。
皆、活き活きと仕事をされていて定着率も高いです。毎年養護学校からの体験実習も受け入れており継続的な採用もしています。
是非、今年度は紹介して頂く事を願います。小さな会社ですが誇りある会社です。
素晴らしいですね。
特に中小企業では、雇用率に関係なく、適材適所で活躍することを重視されているところが多いように感じます。
ランキング掲載には、掲載基準があるようですので、そちらをご確認いただくとよいかもしれません。