令和6年度 障害者雇用の最新動向とその背景を読み解く

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2024年12月26日 | 障害関連の情報

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民間企業で働く障害者が6月1日時点で67万7,461.5人となり、過去最多を更新したことを厚生労働省が発表しました。前年比5.5%(3万5,283.5人)増加し、実雇用率 2.41%、対前年比 0.08ポイント上昇しています。また、法定雇用率達成企業の割合は46.0%となっており、前年比 4.1ポイント低下しました。

令和6年度の障害者雇用率についての状況について見ていきます。

令和6年の障害者雇用状況について

厚生労働省が、民間企業で働く障害者の6月1日時点の雇用状況について発表しました。

令和6年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新しており、雇用障害者数は67万7,461.5人、対前年5.5%で、3万5,283.5人増加しています。21年連続で雇用者数は過去最高となっています。また、実雇用率は 2.41%となり、対前年比4.1ポイント低下しました。

出典:厚生労働省

障害別にみると、身体障害者は368,949.0人(対前年比2.4%増)、知的障害者は 157,295.5人(対前年比4.0%増)、精神障害者は150,717.0人(対前年比15.7%増)と、いずれも前年より増加しています。特に、精神障害の雇用数の伸びに関しては、例年と同じように伸び率が大きくなっています。

雇用者数、雇用率の全体的な増加傾向には、令和6年度から障害者雇用率が2.5%、令和8年度からは2.7%と引き上がることの影響から、昨年度に続き企業が準備してきたことが大きな理由となっています。多くの企業では障害者雇用を進めるときに、雇用率アップに備えて採用を何年かをかけて計画的に進めています。

令和6年度の障害者法定雇用率変更に伴い、障害者雇用が義務付けられる対象は、従業員440人(短時間労働者は0.5人で計算)以上の企業となっており、法定雇用率達成企業の割合は46.0%(前年50.1%)でした。法定率を未達成の企業は6万3,364社(前年5万3,963社)で、不足数が0.5人または1人の企業が、64.1%と過半数を占めています。

また、障害者を一人も雇用していない企業は3万6,485社(前年3万1,643社)で、未達成企業に占める割合は57.6%を占めています。

今回の雇用率2.5%に引き上げとなり障害者雇用の適用となった常用労働者数が40.0~43.5人未満規模の企業では、雇用率が2.10%と法定雇用率には達成していないものの、障害者雇用に向けて努力している企業が多かったことが伺えます。

企業規模別の状況

雇用されている障害者の数は、企業別に見ると、次のとおりです。
40.0~100人未満 78,280.0人(前年は70,302.5)
100~300人未満 124,637人(同122,195.0人)
300~500人未満 57,178.5人(同54,084.5人)
500~1,000人未満 76,515.5人(同73, 435.5人)
1,000人以上 340,850.5人(同322,160.5人)
全ての企業規模で前年より増加しています。

民間企業全体の実雇用率は2.41%(同2.33%)となっていますが、企業別の実雇用率は、次のとおりです。
40.0~100人未満 1.96%(前年は1.95%)
100~300人未満 2.19%(同2. 15%)
300~500人未満 2.29%(同2.18%)
500~1,000人未満 2.48%(同2.36%)
1,000人以上 2.64%(同2.55%)
全ての企業規模で前年よりも雇用率は増加しています。昨年度は500~1,000人未満、1,000人以上規模の企業で法定雇用率を上回っていましたが、今年度は1,000人以上規模の企業となっています。

法定雇用率を達成している企業の割合については、次のとおりです。
40.0~100人未満 44.3%(前年は47.2%)
100~300人未満 49.1%(同53.3%)
300~500人未満 41.1%(同46.9%)
500~1,000人未満 44.3%(同52.4%)
1,000人以上 54.7%(同67.5%)
全ての規模の企業で法定雇用率を達成している企業の割合が前年より減少しています。これは、法定雇用率があがったことの影響と言えるでしょう。

【企業規模別実雇用率】

※24年までは56~100人未満
※25年から29年までは50~100人未満
※30年から2年までは45.5~100人未満
※3年から5年までは43.5~100人未満
※6年からは40~100人未満

【企業規模別達成企業割合】

※24年までは56~100人未満
※25年から29年までは50~100人未満
※30年から2年までは45.5~100人未満
※3年から5年までは43.5~100人未満
※6年からは40~100人未満

出典:厚生労働省

産業別の状況

雇用されている障害者の数は、全ての業種で前年よりも増加しています。産業別の実雇用率では、「医療、福祉」(3.19%)が法定雇用率を上回っていました。

出典:厚生労働省

特例子会社の状況

令和6年6月1日現在で特例子会社の認定を受けている企業は614社(前年より16社増)で、雇用されている障害者の数は、50,290.5人(前年46,848.0人)でした。特例子会社とは、親会社の実雇用率に算入できる、障害者の雇用に特別の配慮をした子会社のことです。

特例子会社で雇用されている内訳をみると、身体障害者は12,488.5人(前年12,134.0人)、知的障害者は25,553.5人(前年24,062.0人)、精神障害者は12,248.5人(前年10,652.0人)でした。特例子会社は知的障害者を雇用する割合が高く、今年度もその傾向が見られています。また、精神障害の雇用人数が増えてきており、昨年度までは知的に引き続き身体の割合が多くなっていましたが、今年度は身体、精神の人数がほぼ同じ程度になってきています。

障害者雇用率達成指導の状況

障害者雇用の実雇用率の低い企業は、毎年6月1日の障害者雇用状況報告にもとづいて、雇入れ計画命令が出され、2年間で障害者雇用を達成できるように指導されます。この計画書は、2年で障害者雇用を達成するための計画書であり、ちょうど事業計画書を作成するように、障害者雇用を達成するための時期や方法を記載していきます。

そして、この雇入れ計画書にもとづき、ハローワークから指導が入ります。計画の1年目の終わり頃には雇入れ計画が計画通りに進捗しているか確認され、できていないと雇入入れ計画の適正実施勧告がなされます。また、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対しては、計画期間終了後に9か月間、社名公表を前提として特別指導が実施されます。そして、改善が見られない場合には、企業名の公表となります。最近では、不足数の特に多いところでは厚生労働省から直接指導されていることも明らかにされています。

出典:厚生労働省

令和5年度の実績としては、次のようになっています。

「障害者雇入れ計画作成命令」の発出 ・・・ 219社

障害者雇入れ計画の「適正実施勧告」 ・・・ 63社

「特別指導」の実施 ・・・ 33社

障害者雇入れ計画を実施中の企業 ・・・ 502社(令和5年度)

まとめ

厚生労働省が、令和6年の障害者雇用状況について発表しました。民間企業で働く障害者は、6月1日時点で67万 7,461.5 人となり、21年連続で過去最多を更新しました。前年比5.5 %(3万5,283.5 人)増となっており、対象企業の従業員に占める割合である雇用率は2.41%と過去最高を更新しています。

今年は雇用率が2.5%にあがったこともあり、民間企業全体の実雇用率を達成しているのは、常用雇用者数1,000人以上の企業でした。昨年度は500~1,000人未満の企業も実雇用率を達成していましたが、雇用率があがったために今年度は実雇用率には達していませんでした。なお、今年から新たに報告対象となった常用労働者数が40.0~43.5人未満規模の企業の雇用率は2.10%でした。

障害者雇用に関しての今後の予定は、次のことが決まっています。
令和7年4月 除外率の引き下げ
令和8年7月 障害者雇用率2.7%引き上げ

企業に障害者雇用が今まで以上に求められている中で、従来の障害者雇用の方法では難しいと判断して、仕事内容や採用方法での改革をしているところが増えてきました。特に仕事内容の点では、障害者雇用というとサポート的な業務が多く見られていましたが、本業の中で活躍できる分野や組織のニーズに合わせた内容を考える企業がでてきています。

また、人的資本経営の考え方が浸透してきている中で、障害者を含めた人材を経営戦略と合わせて考えていくことや、D&I推進としての取り組みとして、従来の障害者雇用とは違った取り組みをしている企業も増えてきています。このような取り組みをしている企業では、手応えを感じ始めているところもあります。

国の施策としては、障害福祉から障害者雇用に20年ほどかけてシフトしてきています。今後、さらに障害者雇用に関しては企業の取り組みが求められることになるでしょう。障害者雇用が進んでいない場合には、早急に対策や検討をしていくことが必要です。

参考

令和6年の障害者雇用未達成の企業名が公表 企業名公表になる基準とは?

障害者雇用の企業名公表はどのようにリスクになるのか

【2024年度版】障害者雇用が進んでいる企業のランキング発表

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