【障害者雇用】企業のジョブコーチを活用することのメリット

【障害者雇用】企業のジョブコーチを活用することのメリット

2020年11月26日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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ジョブコーチは、障害者が職場に適応できるように、職場に出向いて本人を支援することや、職場の環境を整えることをサポートする役割を担っています。一般的には、ジョブコーチ支援は、数ヶ月の期間限定でおこなわれます。

しかし、企業での障害者雇用が進んできて、多数の障害者をかかえる企業も増えてきており、社内にジョブコーチという役割を担う社員を配置する企業も増えてきています。

企業のジョブコーチを活用することのメリットや、企業内ジョブコーチになるための方法について見ていきます。

企業内にいる企業ジョブコーチとは?

ジョブコーチは、障害者が職場に適応できるように、職場に出向いて本人を支援することや、職場の環境を整えることをサポートする役割を担っています。通常、この支援は、数ヶ月で終わるものです。

それは、ジョブコーチ支援は、支援を継続するものではなく、だんだんと支援回数を減らしてフェードアウトしていき、最終的には、上司や同僚による職場内のナチュラルサポートを受けながら安定して働くことを目指すものだからです。

しかし、障害者雇用が企業で進められる中で、外部のジョブコーチによる一時的な支援だけでなく、社員がジョブコーチとして在籍する場合も増えています。

企業内にジョブコーチがいることのメリットは、期間に関係なくサポートが必要な社員にすぐ支援をはじめられること、ジョブコーチが社内の状況・社員の様子を把握していること、ジョブコーチ助成金(この場合には、支援する期間を設定する必要があり)を受けられることなどがあります。

実際に活用している企業からも、次のような声があがっています。

「個々の障害特性にあわせた声かけや指示だしができるので、障害者本人もストレスを感じることなく仕事に集中でき、 結果として生産性が向上しました。」

「障害者本人にだけではなく、周りの従業員にも接し方などの助言ができるため、 障害者雇用に関するトラブルが起きてしまった際も、大きな問題となる前に速やかに対応できるようになりました。」

ジョブコーチの位置付けは企業によって様々です。一緒に働く経験あるスタッフという位置づけの場合もありますし、マネジメントを担っているスタッフ、働く拠点が複数あるところでは会社全体の職場定着を担っている場合もあります。

企業内ジョブコーチになるためには?

企業内ジョブコーチになるためには、企業に在籍しており、雇用保険被保険者であることが必要です。また、企業在籍型職場適応援助者養成研修などの研修修了者であることが求められます。

養成研修は、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施している他にも、厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関において実施されています。(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が行なう養成研修は無料で受講できますが、民間の研修は有料で実施されています。

ただし、養成研修の受講料を事業主がすべて負担し、かつ、養成研修の修了後6か月以内に、初めてのジョブコーチ支援を実施した場合には、その受講料の1/2の額が「障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)」の助成金として支給されます。

企業在籍型職場適応援助者養成研修の内容

研修では、講義中心の座学研修と演習やケーススタディを中心とした実技研修がおこなわれます。

研修カリキュラムには、次のようなものが含まれます。

・ジョブコーチの役割
・作業指導の方法
・障害特性と職業上の課題
・支援計画に関する理解
・ケーススタディ、職場実習 など

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する研修では、集合研修と実技研修の2つのパートから構成されています。

集合研修は、全国から受講者が集まり、職業リハビリテーションの理論や職場適応援助者の役割についての講義、作業指導の演習などが行われます。職業リハビリテーションの理念、企業在籍型職場適応援助者の役割、障害別の職業的課題と課題分析方法、作業指導などについて学びます。

実技研修は、それぞれの地域において、各地域障害者職業センターで行われる研修です。障害者が雇用されている企業の見学や実習、ケーススタディなど、体験型で少人数の実習を中心としたカリキュラムで構成されています。

企業内ジョブコーチが活用できる助成金

企業在籍型ジョブコーチが、障害のある社員の職場適応のために、地域障害者職業センターが作成または承認する支援計画で必要と認められた支援を行なうときに、助成金が支給されます。

支援金額は、「支給額」に示す1人あたりの月額に、支援計画(最大で6か月以内)に基づく支援が実施された月数を乗じた額が支給されます。なお、平成30年4月1日より、精神障害者を支援した場合の助成額を増額されました。

対象労働者が短時間労働者以外の者

企業規模が中小企業の場合、助成金は8万円
大企業の場合、助成金は6万円

【精神障害者】
企業規模が中小企業の場合、助成金は12万円
大企業の場合、助成金は9万円

対象労働者が短時間労働者

企業規模が中小企業の場合、助成金は4万円
大企業の場合、助成金は3万円

【精神障害者】
企業規模が中小企業の場合、助成金は6万円
大企業の場合、助成金は5万円

助成金申請までのフロー

企業在籍型職場適応援助者養成研修修了

地域障害者職業センターと事前に打ち合わせ

「支援予定の対象労働者などの状況」「支援計画の作成」「今後の連携」を中心に打ち合わせを行います。

支援計画の作成・承認

以下の支援内容について検討し、支援計画書を作成します。
① 対象労働者・家族に対する支援
② 事業所内の職場適応体制の確立に向けた調整
③ 関係機関との調整
④ その他の支援

・1回の支援計画は最長6か月となります。
・作成した支援計画書を地域障害者職業センターへ提出し、承認を受けます。((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する研修を受講するときには、計画を作成する時間が設けられています。)

ジョブコーチ支援の開始

1か月あたり平均で5回以上、支援計画に基づいて支援を行います。

受給資格認定申請、支給申請

助成金を受給までのフロー

受給資格認定申請

支援計画の開始日から3か月以内に、「受給資格認定申請書」に必要な書類を添えて、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークに提出します。

支給申請

支給対象期間の末日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて、受給資格認定申請を行った都道府県労働局またはハローワークに提出します。

出典:「障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)」のご案内(厚生労働省)

動画の解説はこちらから

まとめ

企業での障害者雇用が進んできて、多数の障害者をかかえる企業も増えてきています。その中で、企業内にジョブコーチを配置する企業も増えてきました。

企業内にジョブコーチがいることのメリットは、期間に関係なくサポートが必要な社員にすぐ支援をはじめられること、ジョブコーチが社内の状況・社員の様子を把握していること、ジョブコーチ助成金(この場合には、支援する期間を設定する必要があり)を受けられることなどがあります。

企業に合わせた形で、ジョブコーチを導入することは、企業内での障害者雇用を進めやすくするための一つの方法になるかもしれません。

一方で、メリットは多いものの、問題や課題が生じたときにすぐに企業のジョブコーチに頼ったり、任せっきりにすることは、好ましいこととは言えません。障害の有無に関係なく、一緒に働き仕事をすすめる上で、業務の方法や指示の出し方などを工夫したり、どのようにしたらできるようになるのかを考えることも必要だからです。

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