障害者雇用のサテライトオフィスは、人材系のビジネスを行う企業がオフィスを構えて、そこで契約した企業と雇用契約を結んだ障害者のマネジメントをおこなうBtoBビジネスの一つのサービスです。
以前は、障害者雇用をカウントする会社以外の人材会社がマネジメントを行うため責任の所在がはっきりしないグレーな方法とみられることが多くありましたが、厚生労働省が2018年1月に障害者のサテライトオフィス勤務導入推進事業を行なうことを発表し、現在、事業委託を実施していることからも、新しい障害者雇用のあり方として注目されています。
ここでは、障害者雇用のサテライトオフィスのメリットについて見ていきたいと思います。
障害者雇用のサテライトオフィスのサービス内容
障害者サテライトオフィスは、人材系のビジネスを行う企業がオフィスを構えて、そこで契約した企業と雇用契約を結んだ障害者のマネジメントをおこなうBtoBビジネスの一つのサービスです。
サテライトオフィスのサービス内容は、企業の必要に応じて職域の開拓、採用支援、定着支援などを行います。基本的に業務の切り出しを行うのは依頼元の企業の仕事で、仕事や障害者のマネジメント等は契約先の人材会社が行うスタイルのものが多いようです。
しかし、そもそも障害者を雇用するための業務量がないという企業も多く、最近では企業のニーズに合わせて業務自体を提供するサテライトオフィスもあります。サービス内容の詳細は、運営会社によってまた運営方針によって異なります。
サテライトオフィスは障害者雇用率達成の数字合わせという議論
障害者雇用のサテライトオフィスは、10年ほど前からありました。以前は、本来障害者雇用を行うべきなのは企業で、それを外部でサポートしてもらいながら雇用率を達成するのはいかがなものかという意見や、カウントする会社以外の人材会社がマネジメントを行うため責任の所在がはっきりせずグレーな方法とみられることが多くありました。
しかし、厚生労働省が2018年1月に障害者のサテライトオフィス勤務導入推進事業を行なうことを発表し、現在、事業委託を実施していることからも、新しい障害者雇用のあり方として注目されています。
経営方針や事業運営、人材採用・育成については、企業によって考え方も方法も異なりますし、企業の中の働くスタイルや所属も様々な形があるので、どのように考えるかは企業によるでしょう。しかし、一般の企業の中でも、働き方が多様化しているのが現状です。
例えば、ある会社ではプロパーの社員もいますが、契約社員やアルバイト、派遣社員もいるでしょうし、コンサルタントなどが入ってプロジェクトが進められている場合には、全く所属が異なるメンバーと仕事を進めることも少なくありません。このように事業を進めていく時の目標達成するための最適な方法をとる現状がある中で、障害者雇用に関しては、サテライトオフィスを活用することが法定雇用率を達成するための数字合わせと一様に判断できるものでもないように感じています。
障害者雇用を行うことは同じでも、企業によって雇用の目的は異なる
企業で障害者雇用を行うとき、雇用する目的は企業によって異なります。どのような目的があるのか見ていきたいと思います。
まず、障害者雇用を行うということは同じですが、目的は企業によって異なります。この違いは、企業独自の経営方針や事業運営、人材採用・育成にもよりますし、合わせて雇用率達成を目指している時期や準備期間、また障害者雇用をすでに行っているのか、それともはじめて取り組もうとしているのかによっても異なります。
そのため大きく分けると、障害者法定雇用率を達成したい企業、障害者を戦力として雇用したい企業の2つに分けることができます。そして、さらに分けると、自社で人材育成していこうとしているのか、それとも外部のサポートを受けながらしようとするのかにも分けられるでしょう。
企業の担当者が疲れ切ってしまっては本末転倒になりかねない障害者雇用
どのような方法で障害者雇用を進めるのかは、それぞれの企業の方針ややり方でいいのですが、気をつけておきたいのは特にはじめて障害者をするような企業の場合、障害者だけに目が向いてしまい、現在いる社員に目が向いていない場合です。
障害者雇用は障害者が仕事をすることのサポートはもちろんですが、それ以外にもマニュアルを作成したり、周囲の社員への理解を求めたり、就労支援機関とのやり取りなど、やるべきことや準備がたくさんあります。障害者雇用に集中できる担当にいる方もいますが、管理部や人事総務等、現場の業務と兼務の方も少なくありません。他の業務に支障がでないようにしながら、障害者雇用を進めていくことは思っている以上に負担が大きい状況があります。また、事前にヒアリングしたり、いろいろ準備していても、実際にやってみると調整なことも少なくありません。
実際に一緒に働く現場担当者の方の負担は多少なりともあり、その負担は社内の体制づくりや周囲の人の配慮によって、大いに緩和されることがあります。しかし、中には負担が大きいにもかかわらず、それをフォローできる体制ができていなかったり、上司や同僚の理解がされないままに障害者を雇用し、現場に配置されるケースも見られます。このような場合には、障害者が離職することばかりでなく、現場担当者にまで影響することがあります。メンタル面で疲れが見られたり、退職にいたってしまうこともあるのです。
このようなケースが想定される場合には、将来的には自社で雇用することを検討しながら、まずはサテライトオフィスを活用しながら障害者雇用を進めるということも一つの方法になるのではないかと考えます。
サテライトオフィスで雇用することのメリット
サテライトオフィスを活用する企業にとってのメリット
障害者雇用の課題を最短で解決できる
障害者雇用率を達成できずに苦しんでいる企業の担当者は少なくありません。もちろん自社で障害者雇用を進めることも大切な業務の一つではありますが、会社全体の中で自分の役割を考えた時に、それにかかる時間や成果からすると、他に優先順位が高いものがある場合も少なくないでしょう。
とはいっても障害者雇用を進めることの猶予もそれほどない・・・という場合には、すでに障害者雇用の実績のあるところのサービスを活用することによって、直近の課題を解決することができます。
就労支援機関との連携ができている
障害者雇用の定着には、採用した障害者の就労支援機関や学校などからの情報がとても有益になることが少なくありません。しかし、企業がたくさんある就労支援機関の中から、自社にあう人材がどこにいるのかをリサーチして、実習したり、採用したりするのは、なかなか労力がかかるものです。
しかし、サテライトオフィスを運用している人材会社等では、すでにこのようなネットワークを持っていることが多く、それを介した採用活動を行うことによって、スムーズに雇用まで結びつくことができます。また、採用後に課題があるような場合でも、連携が取りやすくなります。そして、このような連携をとることによって就職定着しやすい環境を必然的に作ることになります。
採用が難しい地域でも、サテライトオフィスで雇用できる可能性が広がる
企業が多くある首都圏では、障害者雇用が激化しています。雇用される障害者にとっては選択肢が増えるのでよい面もありますが、採用する企業にとっては大きな問題です。
また、一方で募集をかけているのに通勤するのにとても大変な地域にあると、人材募集が進まないこともあります。就労する場所の交通機関が限られているような職場では、働く以前に、そもそも通勤が難しい状況があるのです。知的障害や精神障害で薬の服用の関係などで運転できない人も少なくありません。
しかし、サテライトオフィスであれば、多くの場合、比較的通勤しやすい環境のところにあることが多く、採用が難しい地域にある企業にとっても雇用しやすくなるかもしれません。
サテライトオフィスで働く障害者にとってのメリット
働きやすい環境で働くことができる
就職したり、転職して新しい職場に行くことは、多くの人にとっても多少なりとも緊張するものです。障害者の多くの場合、それ以上に緊張しやすく、新しい環境に慣れるまでに時間がかかります。そのため障害者雇用の経験があったり、彼らの特性をどのようにしたら伸ばせるのかについてわかっているスタッフがいることは、障害者にとっても安心する要素になります。
また、障害者自身が就労支援機関や学校で実習や訓練してきているとはいえ、職場のルールや社会人としてのマナーについて理解不足の場合も少なくありません。しかし、障害者雇用のいろいろな面を見てきているサテライトオフィスのスタッフがいることによって、業務能力の向上はもちろんですが、仕事に対する取り組み方や社内コミュニケーションなども実践の場で適切に教えることによって、彼らにとっても理解しやすくなります。
比較的通勤しやすい場所にある
サテライトオフィスは、多くの場合、比較的通勤しやすい環境のところにあります。そのため障害者にとっても通勤しやすくなります。
サテライトオフィスサービスを提供している企業
株式会社アルファプランニング
https://alpha-smile.jp/
株式会社スタートライン
https://start-line.jp/
株式会社エスプールプラス
https://support.spool.co.jp/
まとめ
障害者雇用のサテライトオフィスは、人材系のビジネスを行う企業がオフィスを構えて、そこで契約した企業と雇用契約を結んだ障害者のマネジメントをおこなうBtoBビジネスの一つのサービスです。
以前はグレーな方法とみられることが多くありましたが、厚生労働省が2018年1月に障害者のサテライトオフィス勤務導入推進事業を行なうことを発表し、現在、事業委託を実施していることからも、新しい障害者雇用のあり方として注目されています。ここでは、障害者雇用のサテライトオフィスのメリットについて見てきました。
障害者雇用と一言で言っても、どのような障害者雇用を行える状況なのかは企業によって異なります。障害者雇用のサテライトオフィスは、サテライトオフィスのサービス内容は、企業の必要に応じて職域の開拓、採用支援、定着支援などが主になりますが、障害者を雇用するための業務そのものや業務量がないという企業も多く、最近では企業のニーズに合わせて業務自体を提供するサテライトオフィスもあるようです。
それぞれの企業の障害者雇用の状況に合わせながら、将来的には自社で雇用することを検討しながら、まずはサテライトオフィスを活用しながら障害者雇用を進めるということも一つの方法として考えられるかもしれません。
参考
障害者雇用のサテライトオフィスは、一般的な企業で考えられているサテライトオフィスとはニュアンスが違いますので、障害者雇用のサテライトオフィスについての詳細は、こちらを参考にしてください。
1人から3人の、障害者の方をお願いするとしたら、金額はどの様にかかりますか?
サテライトオフィスを運営している事業所によって異なりますので、
それぞれの事業所にお問い合わせください。
多くのところでは、初期費用、管理費用(月額)などが必要になるようです。