多様性マネジメントが機能しない理由|“決め方”が設計されていない組織

多様性マネジメントが機能しない本当の理由|“決め方”が設計されていない組織の共通点

2026年02月15日 | 判断とマネジメントの構造

制度と現場のズレが整う5日間メール講座

あなたの職場で起きている
「伝わらない」「動かない」「続かない」
──その原因となる“見えないズレ”を、5日間で体系的に理解できます。

認知の違い・関係性のクセ・環境構造を整理し、
明日から組織づくりに活かせる「実践のヒント」をお届けします!

多様性マネジメントが機能しない最大の理由は、多様性そのものではありません。問題は、「どう決めるのか」が設計されていないことです。
D&I施策を進め、制度を整え、対話の機会も増やしている。それでも現場が疲弊している企業には、共通した構造的な課題があります。
・配慮の線引きが毎回揺れる
・会議を重ねても結論が安定しない
・管理職が板挟みになり続ける
これは、価値観が増えたから起きているのではありません。判断基準が共有されていないから起きています。

多様性が進むほど、正解は一つではなくなります。だからこそ必要なのは、「意見を増やすこと」ではなく、組織としての“決め方”を設計することです。
施策の追加ではなく、判断構造の整理。ここに手をつけない限り、多様性マネジメントは機能しません。

多様性マネジメントが機能しない企業に共通する5つの兆候

多様性マネジメントの施策の取り組みとして多いのは、D&I施策、合理的配慮、評価制度の見直しなどの点です。すでに多くの施策を打って、形式的に見れば、「やるべきこと」は進んでいるように見えます。
一方で、現場では次のような状態が続きます。
・会議は増えているのに、結論が安定しない
・管理職が現場と経営の板挟みになっている
・「公平性」を巡って毎回議論が振り出しに戻る
・人事が常に“調整役”として疲弊している
その結果、「何を目指しているのか分からない」「正しいことをやっているはずなのに疲れる」という空気が組織に広がっていきます。
ここで明確にしておきたいのは、問題は「多様性」そのものではない、ということです。価値観や背景が異なる人がいること自体が問題なのではありません。
このような状態になると、そのものの事象が取り上げられがちですが、本当に機能していないのは、その違いを前提に“どう決めるのか”という設計です。
多様性が進むほど、判断の難易度は上がります。だからこそ、設計がなければ、組織は迷走します。疲弊の原因は、人の違いではありません。決め方が共有されていない構造にあります。

なぜ施策を増やすほど“決まらない組織”になるのか

多様性マネジメントが機能しないとき、多くの企業が取る行動は共通しています。「施策を増やす」ことです。
配慮項目を細かくしたり、新しいガイドラインを作るなど、前向きな対応をしています。しかし、ここに構造的な落とし穴があります。
形式上ではできていても、実質的な内容が検討されていない状況だと、次の状態が同時に起きてしまうのです。
✔ 判断基準が共有されていない
✔ 優先順位の軸が曖昧
✔ 最終決定権が不明確
✔ 責任の所在が揺れている
この状態で施策だけを増やすと、話し合いは増える、配慮項目も増えると負荷はかかっているのに、決定が進まない状況を生み出してしまいます。なぜなら、「何を基準に決めるのか」が揃っていないからです。
その結果、組織は、「対話過多・判断不足」状態に陥ります。つまり、決める構造が設計されていないために、施策が空回りしているのです。
多様性が進むほど、判断は複雑になります。だからこそ必要なのは、施策の追加ではなく、「どう決めるか」を明確化することです。

多様性マネジメントが“衝突”に変わる瞬間

多様性が増えるということは、単に「制度を増やせばよい」ということではありません。多様性が増えるとは、価値観が増える、正解が複数になるということです。
つまり、判断の分岐点が増える、これまで暗黙のうちに共有されていた前提が通用しなくなる、何らかの別の判断軸が必要になるということなのです。
しかし、判断設計が整っていないまま多様性を導入すると、次のような衝突が表面化します。
・配慮 vs 公平
・成果 vs 関係性
・スピード vs 合意
これらが理解されていないと、「多様性があるから難しい」「D&Iが混乱を生んでいる」という声が出始めます。特にわかりやすいのは、障害者雇用です。
しかし、本質はそこではありません。多様性が難しいのではなく、機能しない状況に陥っているのは、判断構造が未整備なまま走ってしまっているだけです。
多様性は、組織の弱点を示します。それまで曖昧でも回っていた判断を、可視化させるからです。言い換えれば、多様性は問題を生むのではなく、もともとあった判断の曖昧さを露出させるとも言えるでしょう。
ここを整えていかないと、施策を増やしても、対話を重ねても、衝突は形を変えて繰り返されます。また、必要以上に増やされた配慮は、負担を大きくしてしまいます。
多様性を機能させる鍵は、人を変えることでも、理解を深めることでもありません。「どう決めるのか」という土台を整えることなのです。

【要注意】判断設計の未整備が表面化する現場のサイン

では、実際に多様性を推進している企業の現場では、どのようなことが起きているのでしょうか。
例えば
・現場に配属した障害のある社員のマネジメントが、想定以上に難しい
・時短勤務者への業務配分に対して、不満の声が上がる
・在宅勤務者と出社メンバーの間で“負担感”がズレる
・評価面談で「配慮」と「成果」のバランスに悩む
・上司ごとに配慮の基準が違い、現場が混乱する
どれも、特別なケースではありません。むしろ、多様性を本気で進めている企業ほど直面する現実です。
例えば、障害のある社員を現場に配属したとき、業務の切り出しはどこまで行うのか。ミスが発生した場合、どこまで指導し、どこから配慮とするのか。チーム全体の生産性と本人の成長、どちらを優先するのかという点が課題になることがあります。
このときに起きているのは、「障害者雇用が難しい」という問題ではありません。
✔ 成果基準を優先するのか
✔ 成長機会を優先するのか
✔ チーム全体の公平性を優先するのか
という判断軸が整理されていないことが、摩擦を生んでいるのです。
同様に、時短勤務者への対応でも、「同じ給与なのに業務量が違う」という声、「配慮しすぎではないか」という不満、「誰がカバーするのか」が曖昧な状態が現れます。
しかし、ここでも本質は“制度の問題”ではありません。
✔ 何を公平とするのか(時間か、成果か、役割か)
✔ カバー業務は誰の責任範囲なのか
✔ 組織としてどこまでを許容範囲とするのか
この判断設計が共有されていないために、個別のケースが毎回“感情論”になってしまうのです。
ちなみに判断設計とは、
・成果と配慮が衝突したときの優先順位
・例外をどこまで許容するか
・最終決定権を誰が持つか
を明文化することです。
多様性が広がるほど、「正解」は一つではなくなります。だからこそ必要なのは、“都度調整”ではなく、“判断基準の明文化”です。多様性が問題を生むのではありません。
判断設計が曖昧なまま、多様性だけを拡張していることが問題なのです。この状態を放置すると、判断の不一致はやがて人事評価への不信に変わります。
「なぜあの判断が通るのか」「なぜあの配慮だけが認められるのか」という疑念は、静かに組織の信頼を削ります。その結果、管理職の燃え尽き、優秀層の静かな離脱、評価制度そのものへの不信へと発展します。
人の理解を深める前に、組織として何を基準に決めるのかを言語化する。ここを整理せずに施策を重ねると、対話は増えても、決定は安定しません。
年度末は、制度を増やすタイミングではありません。判断の土台を整えるタイミングです。判断基準が曖昧なまま組織再編を行うと、混乱は来年度にも尾を引きます。

多様性研修では解決しない理由|本当に必要なのは判断設計

多様性マネジメントがうまくいかないとき、多くの企業が選ぶのは、D&I研修、アンコンシャスバイアス研修、対話強化施策で対応しようとします。これらは、いずれも重要ですが、あくまでも「理解を深める」「意識を変える」ための施策です。
問題が“意識”ではなく“決め方”にある場合、研修を重ねても、現場の迷いは減りません。例えば、成果と配慮が衝突したとき、何を優先するのかなどの基準が曖昧のままでは、現場ではどれだけ多様性の重要性を学んでも、結論は毎回揺れ続けます。
本当に必要なのは、判断設計の可視化です。つまり、判断基準を言語化し、役割と責任を明確化する、決める軸の考え方を共有することです。多様性は“話し合い”で機能するのではありません。 “決められる構造”があって初めて機能します。
研修で意識を高める前に、組織として「どう決めるのか」を整えること。そこに手をつけたとき、多様性は負荷ではなく、組織の力になります。

まとめ|多様性は“決め方”の問題

多様性マネジメントが機能しないのは、人の意識が低いからでも、現場の理解が足りないからでもありません。構造の問題です。多様性が増えるということは、価値観・優先順位・正解の候補が増えるということ。
そのときに必要なのは、「どう話すか」ではなく、「どう決めるか」という設計です。多様性を活かしている組織は、例外なくこの点がしっかり整理されています。多様性が機能しないのではありません。未整備な決める構造を整えることが必要なのです。
多様性を扱う「判断設計」を可視化するサポートやマネジメント研修を提供しています。目的は、多様性の理解を深める前に、判断の分岐点を整理し、役割と責任の線を引き、組織としての「決める軸」を言語化していくことです。
今、どこで判断が止まっているのか。何が曖昧なのか。30分で整理できます。
▶ まずは、今の状況を30分で整理する機会を活用ください。
多様性の問題を施策で解決するのではなく、構造から整える。それが、最短ルートです。

スポンサードリンク

障害者雇用にすぐに役立つ無料動画をプレゼント!

期間限定で障害者雇用にすぐに役立つ無料講義をプレゼントしています。ぜひお役立てください。

現場が動く組織づくりの視点を解説

NewsPicksでのコラムは、制度と現場のあいだの“ズレ”を読み解き、
組織を前へ進めるヒントをお届けします。

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。

現場で迷ったときの、マネジメントの考え方を整理する

【NewsPicks】多様性を“組織の力”に変える ──障害者雇用の現場から

いま直面している「困りごと」から、整理して考える実践支援

研修選びに迷っている方へ

YouTube

多様性を組織の力に変えるラジオ

障害者雇用オンライン講座

書籍

お客様の声