なぜ組織は前に進まなくなるのか? ― “言語化されていない違和感”の正体

なぜ組織は前に進まなくなるのか? ― “言語化されていない違和感”の正体

2026年02月13日 | 判断とマネジメントの構造

制度と現場のズレが整う5日間メール講座

あなたの職場で起きている
「伝わらない」「動かない」「続かない」
──その原因となる“見えないズレ”を、5日間で体系的に理解できます。

認知の違い・関係性のクセ・環境構造を整理し、
明日から組織づくりに活かせる「実践のヒント」をお届けします!

いまは回っている。それでも、なぜか前に進まない

・数字が落ちているわけでもない。
・日々の業務も止まっていない。
・それでも、どこかに小さな違和感がある。
・会議が少し長い。決めるのに時間がかかる。
・相談が同じ場所に集まる。でも、それを「問題」と呼ぶほどではない。
その“名前のつかない違和感”を、いま一度、言葉にしてみませんか。

“できる人”から消耗していく組織のサイン

いま目立ってはいないけれど、 確実に進行している“兆候”として現れやすいのが、休職や離脱の増加です。
✔ 不調者が、なぜか同じ時期に複数出る
✔ これまで安定していた“優秀な人”が突然抜ける
✔ 休職理由が「体調不良」「家庭の事情」など曖昧なまま終わる
✔ 復帰しても、しばらくして再発する
ひとつひとつを見ると、偶然に見えます。個人の事情のようにも見えます。けれど、同じようなパターンが繰り返されるとき、それは偶然ではありません。
特に注意すべきなのは、 “できる人”から消耗していくことです。責任感が強い。調整がうまい。周囲に配慮できる。
そうした人ほど、見えない負担を静かに引き受けています。そして限界が来たとき、表に出るのは「個人の体調」という形です。
しかし本質は違います。これは個人の弱さではありません。気合やメンタルの問題でもありません。
組織の中で、判断・調整・配慮といった“見えない仕事”が構造化されないまま積み重なっているときに起きる現象です。言い換えれば、これは構造疲労のサインです。
人が倒れているのではなく、 人が構造の代わりをし続けた結果、限界が先に来ている。いまは一部の不調に見えても、この兆候を放置すると、次は“同時多発”になります。それが、次に起きる段階です。

会議は増えるのに、なぜ決まらないのか

表面上は「慎重になっている」だけに見えます。「リスク管理が強化された」とも言えます。けれど実際に起きているのは、別の現象です。
流れは、こう進みます。
構造がない

判断基準が共有されていない

その都度、個人が抱えて考える

判断負荷が増える

間違えたくない

決められない

上に上げる

それでも基準がない

誰も決めない
これが、判断停止の正体です。
問題は「決断力が弱い」ことではありません。判断を支える前提が置かれていないことです。
基準がなければ、役割分担がなければ、再配分のルールがなければ、判断は常に“その人の責任”になります。
すると人は自然にこう考えます。
「間違えたらどうしよう」
「前例がないなら、動かないほうが安全ではないか」
「上に確認してからにしよう」
その結果、現場には次のような症状が現れます。
✔ 会議が長くなる
✔ 結論が曖昧なまま終わる
✔ 「もう少し様子を見よう」が増える
✔ 前例が出るまで動かない
一見すると、慎重さが増しているように見えます。けれど実態は、判断を引き受ける土台がない状態です。
誰もサボっていない。誰も無責任ではない。それでも決まらない。
それは、「決められない人」がいるからではなく、「決められる構造」が置かれていないからです。
その結果、新しい挑戦は後回しになり、本来やるべき改革は「今は難しい」と棚上げされる。気づけば、守りの仕事だけが増えていきます。
判断停止は、大きなトラブルよりも静かに、しかし確実に組織の推進力を奪います。崩壊ではありません。けれど、前に進む力が弱まっているサインです。
ここに気づけるかどうかが、回復できる組織と、消耗し続ける組織の分かれ目になります。

「それはうちの判断ではない」が増えたとき

これは、まだ大きな対立が起きていない会社ほど、気づきにくい兆候です。大きな問題があるようにはみえない。対立も表面化していない。けれど、言葉の端々が少しずつ変わり始めます。
最初は、こんな表現です。
「現場判断でお願いします」
「人事の判断で進めてください」
一見すると、役割分担のように見えます。けれど、その裏にあるのは 「自分の範囲ではない」という小さな線引きです。
やがて、言葉は変わっていきます。
「あの人が決めたことなので」
「その話は聞いていない」
「うちの範囲ではないと思います」
責任の所在が曖昧な組織では、必ず“防衛反応”が始まります。
なぜなら、判断の基準が共有されていないからです。 誰がどこまで担うのかが設計されていない。 負担が再配分される仕組みもない。
その状態で問題が起きれば、人はこう動きます。
自分を守る。巻き込まれないようにする。責任を引き受けすぎないように距離を取る。
これは冷たさではありません。構造がない環境で働く人の、自然な反応です。けれど、この防衛が始まると、組織の空気は一段と重くなります。
信頼が少しずつ薄まり、判断はさらに慎重になり、誰も「自分が決める」と言わなくなる。
表面上は穏やか。しかし内側では、責任の重さが宙に浮いたままになる。
それが続いた先に待っているのは、スピードの低下でも、疲労の蓄積でもなく—— 組織の“再現性”の崩れです。
ここまで来ると、問題はもう個別事象ではありません。構造そのものが、持続可能性を失い始めているサインです。

人が変わると回らなくなる組織

ここが、いちばん静かで、いちばん危険な兆候です。
目立つトラブルは起きていない。数字も大きくは崩れていない。けれど、組織の“芯”が少しずつ弱っていく。
こんな状態が増えていませんか。
✔ 人が変わると、急に回らなくなる
✔ 以前うまくいった施策が再現できない
✔ ノウハウが言語化されず、引き継げない
✔ 属人化がさらに加速している
うまくいっているように見える成果も、実は“特定の人の中”に乗っているだけ。
その人が異動すれば止まる。
その人が忙しければ遅れる。
その人が疲れれば崩れる。
それは成長ではなく、偶然の積み重ねです。
本来、組織とは——うまくいった判断が構造に残り、次も再現できる状態をつくるものです。
けれど判断が個人の中に溜まり続けると、経験は“共有資産”にならず、“個人資産”のまま消えていきます。その結果、毎回ゼロから悩む。毎回その場で考える。毎回「今回は特別」と処理する。
そして、気づかないうちに再現性が薄れていきます。再現できない組織は、成長できなくなっていきます。だからこそ、この兆候は見逃してはいけないのです。

崩壊ではない。ただ、構造が限界に近づいている

このような状態は、会社がダメになったわけでも、 人が弱くなったわけでも、取り返しがつかない状態でもありません。ただ、組織としての取り組み方があいまいになりつつあります。だからこそ、まだ間に合います。
休職が増えている。判断が少し重い。会議が長くなっている。属人化している。それは、
組織の構造が限界に近づいているサインです。
このようにまだ回っている、まだ機能している、まだ人が踏ん張っているときこそ、 “まだ整理できる段階”なのです。
この違和感は、崩壊の兆候ではありません。ただ、「人が頑張る設計」が限界に近づいている合図です。

“まだ回っている今”こそ、整理するタイミング

「いまは何とか回っているから、様子を見よう」
そう思いたくなる気持ちは自然です。大きな問題が起きているわけではない。表面上は、まだ機能している。
けれど、ここにひとつだけ見落としてはいけない事実があります。
・疲労は、静かに蓄積する
・判断負荷は、自然には軽くならない
・属人化は、放置しても解消しない
人の頑張りは、減らさない限り増え続けます。判断の曖昧さは、整理しない限り重なり続けます。 経験は、構造に変えない限り個人の中に閉じていきます。
構造を置かない限り、時間は味方になりません。むしろ時間は、「崩れ始めている箇所」を深くする方向に働きます。
大きな問題が起きてからではなく、「何かがおかしい」と感じている段階で整理する。それがいちばん静かで、いちばん負担の少ない一手です。
ここまで読んで、「まだ大丈夫だが、このままでいいのか」。そんな感覚が少しでもあるなら——それは危機感ではなく、整理のタイミングです。
いま必要なのは、「次の施策」を足すことではなく、 “崩れ始めている箇所の可視化”。
人を責める前に、対策を増やす前に、まずはどこで負荷が溜まり、どこで判断が詰まり、 どこで再現性が失われ始めているのかを整理する。
崩れてから整えるのは、時間も信頼も失います。けれど「何かがおかしい」と感じている今なら、まだ静かに整えられます。
今起きていることを「対策」ではなく、 “構造として整理する時間”を30分だけ取っています。
解決提案は行いません。いまの状態を可視化し、判断材料を増やすための時間です。
【状況整理の時間を確認する】

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現場が動く組織づくりの視点を解説

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