職場のメンタル対策が機能しない企業には、共通した構造的な問題があります。その最大の理由は、対話不足ではなく「判断基準が設計されていないこと」です。
特に、管理職の疲弊や不調者の増加が続いている企業では、判断構造を見直さない限り、同じ問題が繰り返されます。
・面談の回数を増やす。
・相談窓口を設ける。
・休職、復職の制度を整える。
こうした施策は重要です。しかし、それだけでは状況は改善しません。
なぜなら、現場で実際に問われているのは、「どう話すか」ではなく、「どう決めるか」だからです。
・どこまで配慮するのか
・誰が最終判断を持つのか
・いつ人事や外部にエスカレーションするのか
これらの基準が曖昧なままでは、対策を増やすほど、判断の負荷が増えていきます。実際に、面談や制度を整えても改善しない企業には、共通した構造的な課題があります。
それは、判断を個人の経験や感覚に委ねている状態です。この構造を見直さない限り、どれだけ対策を重ねても、現場の疲弊は繰り返されます。
なぜ職場のメンタル対策は強化しても改善しないのか
多くの企業で、メンタル対策は「強化」されています。
・面談は増えている
・相談窓口も設置している
・休職・復職の制度も整備済み
形式的には、やるべきことは一通り実施している状態です。それでも、現場では次のような声が続きます。
「不調者が減らない」
「管理職の疲弊が止まらない」
「同じようなケースで毎回判断が揺れる」
面談をしているのに、改善しない。制度はあるのに、混乱が続く。会議は増えるのに、決定は前に進まない。ここで見落とされがちなのが、「施策を実行していること」と「機能していること」は別だという事実です。
問題は、施策の数が足りないことではありません。対話の機会が不足しているわけでもありません。制度が未整備だからでもありません。本質的な課題は、施策をどう使い、どのタイミングで、誰が、何を基準に判断するのかが 明確になっていないことにあります。
施策は存在している。しかし、それを動かす「判断構造」が整理されていない。その状態では、どれだけ施策を重ねても、迷いと負荷は減らないのです。
問題は対話不足ではなく「判断基準の未設計」
「もっと対話を増やそう」
「1on1を丁寧にやろう」
そうした取り組み自体は間違っていません。実際、多くの企業で対話の機会は増えています。しかし、それでも状況が変わらないのはなぜか。止まっているのは、対話ではなく判断だからです。
多くの企業では、次のような状態が見られます。
✔ 誰が最終判断を持つのか曖昧
✔ どこまで配慮するのか線引きが共有されていない
✔ 人事と現場の責任分担が不明確
例えば、
・業務軽減は誰の判断で決めるのか
・医師の意見と現場の実情がズレたとき、誰が調整するのか
・本人の希望とチーム負荷が衝突したとき、何を優先するのか
こうした場面で基準が明確でないと、その都度、個人の経験や感覚に委ねられます。その結果どうなるか。「話し合い」は増えます。しかし「決定」は前に進みません。
会議は重なり、メールは往復し、管理職は悩み続ける。対話の量が不足しているのではありません。決めるための軸が設計されていないことが、停滞の原因です。判断基準が言語化されていない限り、対話は増えても、組織は前に進みません。
対策を増やすほど管理職が疲弊する理由
状況が改善しないとき、多くの企業が取る行動は共通しています。「対策を追加する」ことです。
・面談の頻度を増やす
・新しいチェックリストを導入する
・相談ルートをもう一つ作る
・研修を追加する
一見、前向きな対応です。しかし、ここに落とし穴があります。対策が増えるということは、同時に判断項目が増えるということです。判断の分岐点が増えるたびに、管理職の頭の中に処理すべき情報が積み重なります。
その結果、管理職の認知負荷が上がるのです。判断基準が整理されていないまま対策だけが増えると、毎回「ケースごとに考える」状態になります。
・とりあえず今回は様子を見る
・今回だけ特例にする
・とりあえず負担の少ない方を選ぶ
短期的には回避できても、長期的には一貫性が失われます。その場しのぎ対応が積み重なるほど、「前例」が増え、次の判断がさらに難しくなります。
本来は組織を守るためのメンタル対策が、管理職の判断負荷を増やし、人事の調整業務を肥大化させ、チーム内の不公平感を生み、結果として、新たな疲労の源になることがあります。
問題は、対策そのものではありません。判断構造を整理しないまま、対策だけを積み重ねていること。そこに、悪循環の原因があります。
メンタル対策を機能させる「判断設計の可視化」とは
対策を追加する前に、まず整理すべきことがあります。それは、判断の流れそのものです。
具体的には、次の3点です。
・どこで判断が止まっているのか
・誰が最終的に決める構造になっているのか
・判断基準が言語化され、共有されているのか
多くの企業では、制度や面談の枠組みは整っています。しかし、「どう決めるか」の設計が曖昧なままです。
例えば、不調の申告があったとき、最初の一次判断は誰が行うのか、業務軽減の範囲は何を基準に決めるのか、人事に上げるタイミングはどこなのか、このような点です。
これらが明文化されていないと、毎回ゼロから考えることになります。その結果、判断が個人の経験に依存する、ケースごとに基準が揺れる、組織としての一貫性が保てないという状態が続きます。
重要なのは、「正しい答え」を用意することではありません。まずは、判断の分岐点を洗い出す、役割と責任の線を引く、判断基準を言葉にするという、このプロセスを可視化することです。
ここを整理しない限り、どれだけ施策を重ねても、同じ問題は形を変えて繰り返されます。メンタル対策を機能させる第一歩は、制度の追加ではなく、判断設計の可視化です。
今すぐ構造整理が必要な企業の特徴
次のような状態が続いている場合、優先すべきは「施策の追加」ではなく、構造の整理です。
不調者が増えている
個別対応はしている。面談も実施している。それでも不調者が減らない場合、問題は個人の状態だけではありません。
判断が場当たり的になり、組織としての一貫性が失われている可能性があります。
管理職が疲弊している
「部下対応で手一杯」
「毎回ケース判断に悩む」
「何が正解か分からない」
こうした声が出ている場合、管理職の力量の問題ではなく、判断基準が構造化されていないことが原因です。
人事が現場対応に追われている
本来は制度設計や改善に時間を使うべき人事が、日々の個別調整に追われている。
これは、現場で判断が完結せず、エスカレーションの基準が曖昧な状態を示しています。
配慮判断が毎回揉める
「どこまでが合理的配慮か」
「他の社員との公平性はどう考えるか」
こうした議論が毎回ゼロから始まる場合、線引きの軸が共有されていません。その結果、対話は増えるが、決定は安定しない状態になります。
会議が増えているのに決まらない
参加者は真剣に議論している。時間もかけている。それでも結論が先送りになる。これは、対話不足ではなく、判断の持ち主と基準が明確でないことが原因です。これらに一つでも当てはまる場合、優先課題は「対策の追加」ではありません。
まずは、
・どこで判断が滞っているのか
・誰が決める構造になっているのか
・判断基準が言語化されているのか
を整理すること。
構造を整えない限り、同じ課題は形を変えて繰り返されます。
対策の前に必要なのは「構造の整理」
職場のメンタル対策が機能しない原因は、施策の不足ではありません。対話も制度も、一定程度は整っている企業がほとんどです。
それでも改善しない理由は、判断の構造が設計されていないことにあります。
・誰が決めるのか
・何を基準に決めるのか
・どこまでが役割なのか
ここが曖昧なままでは、対策を増やすほど、判断の負荷は増えていきます。だからこそ必要なのは、対策を急ぐことではなく、判断の構造を整理する時間を持つこと。それが、メンタル対策を機能させる最短ルートです。
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