9月は障害者雇用月間として、障害者雇用の推進を図り、障害者の職業的自立を支援することに力をいれる月となっています。
そのため9月は、障害者を雇用する企業をはじめとして、社会に広く障害者雇用について知ってもらい、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省、都道府県が、さまざまな啓発活動を展開しています。
職場改善好事例が発表されるのもその1つです。令和2年度は、障害者の健康に配慮し、安心・安全に働けるように取り組んだ職場改善事例が発表されました。どのような企業が入賞したのか、評価された点はどのようなことなのかについて見ていきたいと思います。
職場改善好事例とは?
9月は障害者雇用月間として、障害者雇用の推進を図り、障害者の職業的自立を支援することに力をいれる月となっており、障害者を雇用する企業をはじめとして、社会に広く障害者雇用について知ってもらう機会が準備されています。
その一環として、毎年障害者の雇用促進と職域拡大のための職場改善好事例が、毎年9月に発表されています。職場改善好事例は、各企業で創意工夫された雇用管理、雇用環境等の改善事例の募集を行い、改善好事例集が公にされることで、障害者雇用に対する理解の向上や促進に役立っています。また、障害者雇用支援月間の行事として、障害者を積極的に雇用している優良事業所等の表彰を行います。
令和2年度は障害者の健康に配慮し、安心・安全に働けるように取り組んだ職場改善事例が募集されました。
そして、入賞企業が発表されています。
令和2年度職場改善好事例 厚生労働大臣賞
株式会社ニッセイ・ ニュークリエーション
ニッセイ・ ニュークリエーションは、日本生命の特例子会社です。1993年に設立され、その翌年、保険業界では初めて特例子会社の認定を受けているそうです。設立当時は、障害者社員が25 名でスタートしているそうですが、現在では300名を超える社員がいるそうです。
講評は、次のようにされています。
障害のある社員が主体的に「健康促進委員会」等の 委員会活動に参加しており、障害のある社員自らに よる各種研修等の情報発信を行うことで社員全体の 安全衛生等に関する意識の向上につながっているほか、職場における多様な障害種別の課題を把握した上で解決に向けたきめ細やかな対応を行うことを可能としている。
また、災害発生に備えたプロジェク トチームを立ち上げ、自力による避難を可能とするように検討及び職場環境の改善が進められるなど、 多様な障害特性に対応した配慮・対策を充実させた点が評価された。
ホームページを見ると、確かにたくさんの委員会が設置されており、その1つに「結構推進委員会」があります。また、ホームページは、HP委員会が管理をしているそうです。
定型的な仕事が中心となっていて、なかなか社員のモチベーションが上がらないという会社では、このような取り組みを取り入れてみるのもいいかもしれません。
また、他の人に言われてもなかなか意識できないことも、自ら発信することで、意識の向上につながっているというところが、人間の心理をついているようで、興味深いですね。
令和2年度職場改善好事例 優秀賞
中小企業部門:株式会社ササキ
山梨県にある会社で、事業内容は、 ワイヤーハーネス加工、電子機器組立をしています。
講評は、次のようにされています。
障害のある社員のメンタルケアのため、本人、所属先担当者、障害者職業生活相談員の三者で定期的な面談を行ったことを契機に、社内全体に障害のある社員へ の配慮、理解が広まった。
例えば、避難訓練では障害のある社員が問題なく避難できたか確認を行うなど、障害への配慮を意識して取り組むようになった。また、健康面で注意が必要な社員について、社内で障害特性と対応の仕方に関する 勉強会を行うなどの取組が評価された。
中小企業部門:エプソンミズベ株式会社
エプソンミズベは、セイコーエプソンの特例子会社で、長野県諏訪市にあります。職場は長野県下に7拠点あり、それぞれの障害種別や状態に合う通勤可能な勤務地で、業務を確保しているようです。
業務の内容は、PaperLab関連業務(リサイクル)、印刷・製本、DTP、個装箱、外装箱、オプション類、バーコードの版下作成、資料の電子化、名刺・IDカード作成、特許図面作成、仕分け・発送、導体製造工程で使用する検査用基板の半田付け等、時計の外装部品を加工する前の準備作業、生産用治具の洗浄作業、ラベルライターの消耗品組立・梱包・検査作業、クリーニング、ビル清掃、資源回収等のリサイクル、メール集配など、多岐にわたります。
講評は、次のようにされています。
精神保健福祉士を常駐化させ、全ての障害種別に対象を拡充し、カウンセリング や支援機関との連携等のサポートを行うほか、支援スタッフのジョブコーチ資格取得を計画的に推進する等、組織的に支援力強化を図っている。
また、緊急事態に備え、聴覚障害者向け光警報装置の設置や視覚的なガイドで操作できるAED の設置、配慮事項を記入した「ヘルプカード」の導入等を行い、障害者目線に立った安全活動を行っているなどの取組が評価された。
中小企業部門:NSハートフルサービス関西株式会社 和歌山事業所
NSハートフルサービス関西株式会社は、日本製鉄のグループ企業として、2019年4月に設立された新しい会社です。
主な仕事内容は、社員寮の清掃業務です。
講評は、次のようにされています。
知的障害のある社員にもわかりやすいよう、安全教育の方法を工夫し、「写真による見える化」を行い、指さし確認の徹底などを行った。
日々の体調について健康問視を行っているほか、作業に入る前のストレッチ運動や、熱中症予防のための飲料、測定器の支給などにより、危険を回避する取組を行っているなどの点が 評価された。
その他部門:株式会社ハチカン
ハチカンは、2004年11月 八戸缶詰株式会社と日本水産株式会社の共同出資により、冷凍食品と常温食品の生産機能を併せ持つ、ニッスイグループ国内主要工場の一つとして設立されている、青森の会社です。
講評は、次のようにされています。
工場内のオーブンの熱気により熱中症が発生しやすい職場の中、産業医や常勤看護師と連携して職場環境改善を実施したことに加え、知的障害のある社員については口頭による体調確認や看護師との相談を行うことにより、熱中症の予防が図られた。
また安全教育後に○×形式のテストで理解後の確認を行う等、知的障害のある社員にもわかりやすい取組などが評価された。
その他部門:株式会社ヤオコー
ヤオコーは、関東圏にスーパーマーケット事業を展開する会社です。平成27年度障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣表彰を受賞しています。職場定着の取り組みは、すでにその時から評価されていましたが、健康面における配慮もされているようです。
講評は、次のようにされています。
本社に常駐の保健師とダイバーシティ担当者などを配置し、各店舗を巡回するこ とで、障害のある社員をフォローする体制を整えている。
また、障害特性に応じて、ストレスチェックの設問を理解しやすくするための説明や、遮音のための ヘッドフォンの使用の許可、接客用語の柔軟化などを実施し、個別の特性に応じた取組が評価された。
平成27年度障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣表彰を受賞時の取り組みについては、下記を参考にしてください。
↓
企業の障害者雇用において障害者は戦力になりうるか
まとめ
令和2年度 職場改善好事例の厚生労働大臣賞と、優秀賞5社の取り組みを見てきました。受賞した企業の中には、特例子会社として障害者雇用を推進する会社もあるので、そこのホームページからは、どのような仕事内容をしているのか、働き方などをうかがい知ることができるのですが、そうでない会社の配慮や工夫について、もっと知りたいなと感じます。
なお、受賞した企業の事例は、あとから独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構がまとめてホームページにアップしています。毎年、テーマは変わりますが、この情報を見ると、どのような仕事内容を作れるのか、配慮をしているのかが、わかりやすく示されていますので、参考にすることができます。
詳細は、こちらから
↓
障害者雇用職場改善好事例集(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
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