【平成29年度】障害者雇用の改善が見られない企業名の公表について

平成29年度における障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表の発表がありました。今年度は一定の改善が図られ、民間企業の該当企業はありませんでした。

企業名公表とは

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)では、障害者を従業員の2%雇用することが義務づけられています。しかし、この障害者雇用が達成できていないと、行政(ハローワーク、労働局、厚生労働省等)から障害者を雇用するように指導が入ります。

しかし、この指導に従うことが様々な状況によって達成することが難しいと、行政からは障害者雇入れ計画の適正実施勧告に従わないとみなされることがあります。また、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表できることになっています。

昨年の平成28年度は、この「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づき、厚生労働省から平成28年度の障害者の雇用が改善されていない企業として2社の企業名を公表されています。

平成28年度の企業名公表や企業名公表までの流れについてはこちらから
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【平成28年度】障害者雇用の改善が見られない企業名の公表

平成29年度の企業名の公表までの流れ

平成29年度は、平成27年1月1日~平成28年12月31日までの間に障害者雇入れ計画の作成命令を発出した280社のうち雇用状況の改善が特に悪かった21社と、平成28年度に企業名を公表又は公表猶予した12社の計33社を対象に、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、平成29年度中に企業名を公表することを前提とした指導を実施しました。

その結果、現在に至るまでにいずれの企業においても一定の改善が見られたため、公表された企業はありませんでした。

【平成27年1月1日~平成28年12月31日までの間に障害者雇入れ計画の作成命令を発出した280社のうち雇用状況の改善が特に悪かった21社の雇用指導のフロー図】

【平成28年度に企業名を公表又は公表猶予した12社の計33社の雇用指導のフロー図】

出所:平成29年度 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表等について(厚生労働省)

民間企業に対する指導の概要

民間企業に対する障害者雇用の企業名公表に関する指導の概要は、次のようになっています。

対象企業

下記に該当する合計33社
・平成29年度の公表を前提とした特別指導の対象である21社
・平成29年3月31日に企業名を公表した2社及び企業名公表を猶予した10社

対象企業に対する指導の実施

障害者雇用の法定雇用率を達成していない対象企業の所在地を管轄する公共職業安定所長から、対象企業に対し、障害者の雇用に関する事業主の責務、障害者の雇用の現状、これまでの雇用率達成指導の経緯等について説明があり、それとともに様々な雇用事例の提供や助言、求職情報の提供、面接会への参加勧奨等が行われ、雇用義務を達成するよう指導・支援を継続的に、きめ細かく実施されます。

また、これと併せて、必要に応じて都道府県労働局幹部による訪問指導や、都道府県労働局及び公共職業安定所における指導や支援が行われることになります。

公表基準

平成30年1月1日現在において、平成28年の全国平均実雇用率(1.92%)未満の場合(法定雇用障害者数が4人以下の企業については、未達成の障害者人数が3~4人で実雇用率が0%の場合)、企業名を公表することとしています。

なお、下記の条件に該当する企業については、初回の公表に限り公表を猶予することとされています。
・直近の障害者雇用の取組の状況から、実雇用率が速やかに平成28年の全国平均実雇用率(1.92%)以上、又は不足数が0人となることが見込まれる。
・特別指導期間終了後の1月1日から1年以内に特例子会社の設立を実現し、かつ、実雇用率が平成28年の全国平均実雇用率(1.92%)以上、又は不足数が0人となると判断できる。

指導の結果

平成29年度の公表を前提とした特別指導対象企業(21社)に対する指導の結果、対象企業21社のうち19社において公表基準を上回る実雇用率の改善が認められたり、基準を満たした企業が2社あり、公表を猶予されています。

平成29年3月31日に企業名を公表した企業(2社)及び企業名公表を猶予した企業(10社)に対する指導が行われ、全ての企業について公表基準を上回る実雇用率の改善が認められています。このような結果から、平成29年度の企業名公表はありませんでした。

【平成29年度の公表を前提とした特別指導対象企業の内訳】

【平成28年度の企業名を公表した企業(2社)及び企業名公表を猶予した企業(10社)の内訳と指導結果】

出所:平成29年度 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表等について(厚生労働省)

平成30年度の障害者雇用

平成30年4月より精神障害者の雇用が義務化され、障害者雇用率の算定基礎に精神障害者が加わります。これにともなって、企業における障害者雇用率が現在の2.0%から2.3%に引き上げられます(平成30年4月からは2.2%、3年以内に2.3%)。

平成30年度からの障害者雇用の改正については、こちらをご覧ください。
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平成30年4月からの障害者法定雇用率の引き上げ

 

平成30年度4月から精神障害者の雇用が義務化されるのにともない、厚生労働省では、企業が精神障害者を雇用するための特例措置を平成30年4月から設けることにしました。職場定着が難しいと言われている精神障害者の雇用を確保しやすくするためのようです。

法定雇用率は原則として、週30時間以上働く障害者を1人、週20時間以上30時間未満働く障害者は0.5人に換算して算出されています。しかし、平成30年4月以降は精神障害者に限り、週20時間以上30時間未満の労働でも、雇用開始から3年以内か、精神障害者保健福祉手帳を取得して3年以内の人は1人と数えることになります。これは、5年間の時限措置となります。

平成30年度からの精神障害の特例措置については、こちらをご覧ください。
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平成30年4月から精神障害者の短時間労働雇用率のカウントに特例措置

 

精神障害者の短時間労働の雇用カウント引き上げは、長時間の勤務を不安に思っている精神障害の方により働く機会を生みだすとともに、雇用する企業にとってもメリットが大きいと考えられます。

実際に、精神障害者を雇用する企業において、短時間労働から働くことを希望する精神障害者を雇用することは珍しくありません。働いた経験がなかったり、数年間休職している場合などは、突然1日8時間の勤務時間をこなすのは、かなり厳しいことが容易に想定されます。

また、雇用する企業側でも少しずつ仕事にも職場環境にも慣れていったほうが、安心できますし、職場定着しやすいと考えることがあります。そのため、カウント数が減っても、短時間労働から雇用を考える企業も少なくありませんでした。

それでも一方で、企業や一緒に働く職場としては、精神障害者に短時間(20~30時間)で働いてもらっても、30時間以上働いてもらっても、雇用管理にかかる時間やリソースは雇用時間にほとんど関係ないという状況も見られます。

まずは、平成30年4月から5年間、特例措置として実施して、その後雇用への影響を踏まえて、必要に応じて継続を検討してほしいと思います。

まとめ

平成29年度の障害者雇用の企業名公表について見てきました。

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)では、従業員の2%にあたる障害者を雇用するように企業に求めていました(平成30年4月からは2.2%)。平成29年度における社名公表はありませんでしたが、雇用指導を受けている企業はありました。

いろいろな企業の障害者雇用のコンサルをさせていただいて思うのは、とにかく「雇入れ計画作成命令」を提出する前に、障害者雇用の準備を進めることです。

障害者雇用は、健常者の採用よりも時間がかかることが多くあります。「雇入れ計画作成命令」を提出する前にしっかり準備をして、障害者雇用を行うことができるようにしてください。

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