新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急融資に関する中小企業から政府系金融機関への相談件数が1カ月で40倍に急増しているそうです。3月に入り感染者が急増し、自治体が外出自粛を要請したことの影響が、経営悪化に拍車を掛けたとみられています。
3月以降は飲食、小売業からの相談が急増しており、1日当たりの相談件数は、3月初めは1万件程度だったが、後半は2万件前後で推移しているようです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、急速な売り上げ減少などに直面している中小企業の資金繰りを支えようとさまざまな支援策が準備されています。ここでは、中小企業向けの新型コロナウイルス支援の特別貸付についてみていきます。
新型コロナ感染症特別貸付の概要
新型コロナウイルス感染症で影響を受けている事業者向けに、日本政策金融公庫や商工中金の新型コロナウイルス感染症特別貸付や信用保証協会のセーフティネット保証・危機関連保証を行ない、資金繰りを支援しています。
・最長で5年間元本の返済が不要
・利子補給で金利負担が実質ゼロに
・担保なしでの借り入れが可能
・4月以降も状況に応じ、複数回の利用が可能
こんな支援が受けられる
売上減少に伴い、当面の運転資金を調達したい
コロナ特別貸付やセーフティネット保証等があります。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、当初3年間は、利子補給で金利負担が実質的に無利子となる制度です。 ※企業の規模に応じて上限があります。
セーフティネット保証または危機関連保証は、民間金融機関から融資を受ける際に最大2.8億円の保証を受けられる制度です。
既に受けた債務の返済があるため、追加の返済負担を負いたくない
新型コロナウイルス感染症特別貸付で最長15年の運転資金を調達でき、最長5年の据置期間で、当面元本返済が不要です。また、当初3年間は、利子補給で金利負担が実質的に無利子になります。
※企業の規模に応じて上限があります。
業績悪化のため既に受けた債務の条件変更をしたが、追加の運転資金を調達したい
新型コロナウイルス感染症特別貸付やセーフティネット保証、危機関連保証は、既に受けた債務の条件変更を行っていることだけを理由には支援対象から外れることはありません。
売上減少に伴い、既に受けた債務の返済ができない
取引金融機関等に既に受けた債務等の条件変更を相談することができます。
経済産業省は、金融庁や財務省とともに、各金融機関等に対して、既に受けた融資の条件変更について、事業者の皆様の実情に応じて柔軟に対応するよう要請しています。融資を受けている金融機関や、信用保証協会に相談してください。
既存の仕入ルートがストップし、代わりのルートではコスト増、売上減少が見込まれる
セーフティネット貸付や一般保証を活用して資金調達を検討してください。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付は、上限7.2億円まで、最大据置期間3年となっており、当面の返済負担を軽減できます。また、信用保証協会の一般保証を利用して、民間金融機関から保証付きで借り入れることも可能です。
資金繰り支援全般に関する問い合わせ先
中小企業金融相談窓口 TEL:03-3501-1544(平日・土日祝日9:00-17:00)
出典:日本政策金融公庫や商工中金の新型コロナ感染症特別貸付などでご支援できます。(経済産業省・中小企業庁)
【日本政策金融公庫】新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
利用できる事業主
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方
・最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること
業歴が3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少していることをいいます。
① 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高
② 令和元年12月の売上高
③ 令和元年10月~12月の平均売上高
・中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること
資金の用途
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金
融資限度額
直接貸付 3億円
利率(年)
基準利率による。
ただし、1億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
「実質無利子化」とは
実質的な無利子化融資とは、公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた後、返済する利子について、公庫以外の実施機関から利子補給を受けることで、負担する利子が実質的に無利子になるというものです。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、公庫以外の実施機関が行う「特別利子補給制度」の、各々の要件を満たす必要があります。
詳細はこちらから
↓
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資のご案内(日本政策金融公庫)
返済期間
設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保等
無担保(5年経過ごと金利見直し制度を選択可能)
融資の申込み先
日本公庫各支店の中小企業事業の窓口に申し込みは、以下に問い合わせしてください。
↓
中小企業事業の専門職員が常駐する支店の業務区域一覧(日本政策金融公庫)
出典:新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
資料
【中小企業事業】新型コロナウイルス感染症特別貸付等に関するQ&A(令和2年4月8日現在)(日本政策金融公庫)
【中小企業事業】新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を受けた 新型コロナウイルス感染症特別貸付の拡充内容に関するQ&A (日本政策金融公庫)
【商工中金】新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
利用できる事業主
新型コロナウイルス感染症の影響により直近1カ月の売上高が、前年又は前々年の 同期比5%以上減少している方
資金の用途
設備資金、運転資金
利率(年)
商工中金所定の利率 (下限は日本公庫の基準金利。(2020年3月19日現在)1.11%
利子補給あり
※ 利子補給の残高限度は、日本政策投資銀行等との合算運用となります。
出典:商工中金の危機対応業務~新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業の皆さまへ~(商工中金)
貸出期間
設備:20年以内(据置5年以内)
運転:15年以内(据置5年以内)
貸出限度
元高:20億円以内
残高:3億円以内
※ 元高とは貸出額の累計です。貸出限度額は日本政策投資銀行等との合算運用となります。
制度融資ご利用に当たっての留意事項
・商工中金は、株主である中小企業の組合と、その組合員の皆さまをご融資の対象としています(未加入の場合はお申込時にご相談ください)。
・ご融資には審査があります。審査の結果、ご融資できない場合があります。
・審査には時間を要することがあります。また必要な書類の提出が必要です。
・取引停止処分や差押等が生じたことのある方は本制度の対象外となる場合があります。法的整理(民事再生・会社更生に限る)が終結した方や借入金の延滞が解消した方は本制度の対象となります。
問い合わせ先
資料
商工中金の危機対応業務 ~新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業の皆さまへ~(商工中金)
新型コロナウイルス感染症特別貸付に関するQ&A(令和 2 年 4 月 9 日現在)(商工中金)
今後の政府の対応
4月7日に、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を取りまとめ、令和2年度補正予算案が以下のように閣議決定されています。
1.資金繰り支援
これまでの資金繰り支援策をさらに拡充し、政府系金融機関・信用保証協会の既往債務を実質無利子融資に借換できるようにします。実質無利子・無担保、最大5年間元本据え置きの融資制度を民間金融機関でも新たに受けられるようにします。
2.持続化給付金
特に厳しい状況にある事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる事業全般に広く使える給付金を支給します。
※いずれも令和2年度補正予算案の成立を前提としているため、制度の具体的な内容や条件については現在検討中のものもあり、詳細が決まり次第公表します。
出典:新型コロナウイルス感染症により影響を受ける中小・小規模事業者等を対象に資金繰り支援及び持続化給付金に関する相談を受け付けます(経済産業省)
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、急速な売り上げ減少などに直面している中小企業の資金繰りを支えようとさまざまな支援策が準備されています。ここでは、中小企業向けの特別貸付についてみてきました。
日本政策金融公庫と商工中金で特別貸付が行われていますので、条件などをみてお問い合わせください。
また、政府では資金繰り支援の他に持続化給付金の支給を検討しているようです。令和2年度補正予算案の成立を前提としているため、制度の具体的な内容や条件についてはこれからの発表となります。
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