人事担当者が知っておきたい精神科病院とメンタルクリニックの違い

人事担当者が知っておきたい精神科病院とメンタルクリニックの違い

2025年02月12日 | 障害関連の情報

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企業で人事の仕事を担当している人にとって、精神障害やメンタルヘルスについての知識や理解は、仕事を進めていくためにも、よりよい職場環境を構築していくためにも必要なことです。

最近では、精神的な支援が必要な社員が増えており、時に周囲の理解や適切なサポートを求められることがあります。特にメンタル不調などでは医療機関にかかることが多いですが、例えば、精神科病院とメンタルクリニックはどこが違うのでしょうか。

医療機関についての知識は、社員が適切な医療機関を選択し、必要な支援を受けるための第一歩となります。今回は、精神疾患に関する社会の動向や精神科病院とメンタルクリニックの違いなどを解説していきます。

精神障害の増加傾向

近年、精神疾患を抱える人の数は増加傾向にあり、メンタルヘルスへの関心は社会全体で高まっています。厚生労働省の調査によると、2022年12月時点の障害児・者数は1164万6000人で、5年前の前回調査に比べて24.3%増えています。この調査は5年に1回実施している「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)の結果などからわかっています。

調査には障害者手帳所持者や難病と診断された人など1万4079人が回答しており、障害種別でみると前回は身体障害者が最多でしたが、今回は精神障害者が56.6%増の614万8000人で最多となっており、全体の5割強を占めています。

また、在宅か施設かや年齢別で見ると、次のようになります。

精神科病院とメンタルクリニックの違いとは?

精神科病院とメンタルクリニックは、どちらも心の健康をサポートする医療機関ですが、その役割や機能には違いがあります。どのような違いがあるのかを見ていきます。

精神科病院とは

精神科病院とは、20床以上の入院施設を持つ医療機関を指します。これは、医療法で定められた病院の定義に基づいています。精神科病院は、精神疾患を抱える患者の入院治療を専門的に行う施設であり、外来診療に加えて、入院による集中的な治療が必要な患者に対応できる体制を整えています。

精神科病院の主な役割は、以下の通りです。
・入院治療が必要な患者への対応
精神科病院は、外来での治療が困難な患者や、病状が悪化し入院が必要となった患者に対して、入院による専門的な治療を提供します。精神疾患は、症状によっては自宅での療養が難しい場合や、周囲のサポートだけでは症状の改善が見られない場合があります。このような場合に、精神科病院は患者が安心して治療に専念できる環境を提供します。

・重症な症例への対応
精神科病院は、重度の精神疾患や合併症を持つ患者への対応も行います。例えば、統合失調症や重度のうつ病、自殺念慮のある患者など、専門的な医療チームによる集中的な治療とケアが必要な患者を受け入れます。

精神科病院には、精神科医だけでなく、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士など、多職種の専門家が連携して患者の治療にあたっています。

精神科病院には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
・入院治療が可能: 精神科病院の最大のメリットは、入院治療が可能である点です。入院治療が必要な患者に対して、24時間体制での医療ケアを提供できます。
・重症患者への対応: 精神科病院は、重度の精神疾患や合併症を持つ患者に対して、専門的な医療チームによる集中的な治療を提供できます。

【デメリット】
・閉鎖的なイメージ: 精神科病院に対しては、昔のイメージや閉鎖的なイメージが根強く残っており、受診に抵抗を感じる人も少なくありません。
・受診への抵抗感: 精神科病院は、入院施設があるため、「敷居が高い」と感じてしまう方もいます。精神科病院への入院は、患者にとって大きな決断であり、心理的な負担を感じることもあります。

精神科病院は、入院治療を必要とする患者にとって、非常に重要な役割を担っています。しかし、その一方で、閉鎖的なイメージや受診への抵抗感が課題として残っています。精神科病院の役割を正しく理解し、必要な時に安心して利用できるような環境を整えることが大切です。

メンタルクリニックとは

メンタルクリニックとは、入院施設がないか、19床以下の入院施設を持つ医療機関を指します。 医療法では、19床以下のベッド数またはベッドがない施設を診療所と定めています。メンタルクリニックは、精神科や心療内科を標榜する診療所を指し、外来での診療を中心に行っています。

メンタルクリニックの主な役割は、以下の通りです。
・外来診療が中心
メンタルクリニックは、入院を必要としない患者に対して、外来での診療を提供します。患者は、自分の生活リズムに合わせて通院し、医師の診察やカウンセリングを受けることができます。
・通院しやすい環境
メンタルクリニックは、比較的通院しやすい環境を提供しています。多くのメンタルクリニックは、駅の近くや商業施設の中など、アクセスしやすい場所に立地しており、平日の夕方や土曜日・日曜日にも診療を行っている場合があります。これにより、仕事や学業で忙しい方でも、比較的通院しやすくなっています。

メンタルクリニックには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
・通院のしやすさ: メンタルクリニックは、通院のしやすさが大きなメリットです。多くのクリニックは、患者が通いやすいように、立地や診療時間に配慮しています。
・心理的なハードルの低さ: 精神科病院に比べて、メンタルクリニックは、「病院」という印象が薄く、受診に対する心理的なハードルが低いと感じる方もいます。これにより、精神的な不調を感じた際に、早期に相談しやすくなっています。

【デメリット】
・入院が必要な場合は転院が必要: メンタルクリニックは、入院施設がないか、あっても少数であるため、入院が必要な場合は、他の精神科病院に転院する必要があります。これにより、患者は、転院の手続きや環境の変化によるストレスを感じる可能性があります。

メンタルクリニックは、外来での診療を中心に行い、通院しやすい環境を提供することで、患者の精神的な健康をサポートしています。一方で、入院が必要な場合には転院が必要となる点がデメリットとして挙げられます。メンタルクリニックは、ストレスや不安に悩む患者が気軽に利用できる場として、地域に多く存在しています。

ここまで、精神科病院とメンタルクリニックの違いを見てきましたが、続いて診療科について見ていきます。

精神科と心療内科、どちらを選ぶ?

精神科と心療内科は、どちらもメンタルヘルスを扱う診療科ですが、対象とする症状に違いがあります。

精神科では、主に精神的な症状を扱います。例えば、うつ病、不安、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などが挙げられます。また、アルコールや薬物などの依存症も精神科医の専門分野です。精神科は、こころの症状やこころの病気を扱う科と言えます。

心療内科では、主にストレスなど心理的な要因による身体症状を扱います。例えば、ストレスによる頭痛や胃痛、過食や嘔吐などの身体症状です。心療内科は、心が原因の体の不調に対処します。これらの症状は一般的に「心身症」と呼ばれます。心身症とは、「身体疾患の中でも心理社会的な因子を持ち、器質的ないし機能的障害が認められる病態のこと」を指します。具体的には、ストレスで生じた胃潰瘍、心筋梗塞、喘息、腹痛や下痢などの腸疾患などがあります。

両科の連携について
実際には、精神科と心療内科の区別は曖昧な部分があり、明確に分けることが難しい場合もあります。精神科医が心療内科を標榜したり、心療内科医が精神科を標榜したりするケースも多く見られます。

これは、患者にとって、「心療内科」という名称の方が受診しやすいと感じることがあり、精神科医がより多くの患者を受け入れるために心療内科を標榜することがあるためです。また、うつ病などの患者が受診しやすいように、心療内科医が精神科を標榜することもあります。精神科で摂食障害の治療が行われたり、心療内科でうつ病の治療が行われたりすることもあります。

どちらの診療科を受診するか迷う場合は、精神症状が主体であれば精神科、身体症状が主体であれば心療内科を受診するのが望ましいですが、どちらを受診しても大きな違いはないようです。通院のしやすさ、医師の経歴や人柄、治療方針などを考慮して医療機関を選ぶことが大切です。

このように、精神科と心療内科はそれぞれ異なる症状を主に扱いますが、実際には両科の連携も重要であり、患者の状態に合わせて適切な医療機関を選ぶことが大切です。

メンタルクリニックを受診する際のポイント

メンタルクリニックの受診を検討する際には、適切なタイミングとクリニック選びが重要です。受診を検討するタイミングとしては、日常生活に支障をきたすほどの症状が続く場合は、早めにメンタルクリニックを受診することを推奨しています。

以下のような症状が続く場合は、専門家の助けを求めることを検討するとよいでしょう。
・強いストレスを感じている場合
日常生活、職場、学校などで感じるストレスが通常よりも強い、または長期間続く場合は注意が必要です。
・抑うつ状態が2週間以上続く場合
気分の落ち込みが2週間以上続き、趣味が楽しめない、食欲がない、眠れないなどの症状が見られる場合は、専門家の診断を早めにうけたほうがよいでしょう。
・眠れない日が続く場合
寝つきが悪い、途中で何度も目が覚める、早朝に目が覚めるといった睡眠の問題が続く場合は、心身の不調のサインである可能性があります。
・自傷行為が見られる場合
自傷行為は、深刻な心の問題を示唆している可能性があります。このような行動が見られた場合は、すぐに専門家に相談し治療を開始することが重要です。

また、メンタルクリニックを選ぶ際のポイントとしては、以下の点を考慮するとよいでしょう。
・医師の専門性
症状に適した専門医を選ぶことが重要です。例えば、うつ病、不安障害、発達障害など、特定の症状に特化した医師がいるかを確認します。医師の専門領域や経験は、クリニックのウェブサイトや案内で確認することができます。
・土日診療の有無
土日に診療を行っているクリニックを選ぶと通院しやすくなります。予約システムが整っているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
・アクセスのしやすさ
自宅や職場から無理なく通える距離にあるクリニックを選ぶと、通院の負担を軽減できます。公共交通機関の最寄り駅からの距離や駐車場の有無、バリアフリー対応なども確認しておくことができます。
・口コミや評判
実際に通院した人の口コミや評判は、クリニックの雰囲気や医師・スタッフの対応、診療の質を知る上で参考になります。インターネット上のレビューサイトやSNSを活用して情報を集めることができます。ただし、口コミは主観的な意見であり、万人に合うわけではないことを理解しておくことも大切です。

まとめ

精神疾患の増加に伴い、企業の人事担当者がメンタルヘルスについて理解を深めることが求められています。今回は精神科病院とメンタルクリニックの違い、精神科と心療内科の特徴、さらにはメンタルクリニックの選び方について解説しました。
精神科病院は、入院治療が必要な患者を対象とし、重症例に対応する医療機関であるのに対し、メンタルクリニックは主に外来診療を行い、気軽に相談しやすい環境を提供しています。また、精神科は主に精神的な症状を扱い、心療内科はストレスによる身体的な不調に対応する点で違いがあります。
メンタルクリニックを受診する際は、症状の程度や持続期間を判断基準とし、医師の専門性、診療時間、アクセスのしやすさなどを考慮して選ぶことが重要です。人事担当者としては、従業員が適切な医療機関にアクセスできるよう情報提供し、メンタルヘルスに関する理解を深めることが、より良い職場環境の構築につながります。

動画で解説

参考

【令和6年度最新】 障害者雇用の最新動向とその背景を読み解く

数字が示す障害者採用 精神・発達障害者の雇用増加と企業の対応策

なぜ、身体障害者の採用は難しくなっているのか~障害者雇用の実態~

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