中小企業が障害者雇用を多数雇用するときに活用したい障害者多数雇用施設設置等助成

障害者雇用が進んでいますが、中小企業の障害者雇用はなかなか厳しいのが現状です。実雇用率を見ると、従業員1,000人以上の企業では法定雇用率の2.2%をクリアした2.25%となっていますが、45.5~50人未満規模企業で1.69%、50~100人未満で1.68%、100~300人未満で1.91%、300~500人未満で1.90%、500~1,000人未満で2.05%となっています。ちなみに全体の障害者の実雇用率は2.05%でした。

なかなか中小企業での障害者雇用が進まないことに、国としても大きな助成金を・・・と考えたのでしょうか。中小企業対象としたこの【中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金】の助成金額は2,000万円~3,000万円とかなり大きなものです。

もちろん助成金の金額が大きいのにともない、受給要件としても障害者を10人以上雇用して、障害者の雇入れに必要な事業所の施設・設備等の設置・整備をするなど、一般的な助成金よりもハードルが高く、事業計画をしっかり作り込む必要はありますが、中小企業で新規事業や新規設備投資などを検討しているときには、設備投資と障害者雇用を組み合わせて事業計画を考えてみることができるかもしれません。

すべての中小企業向けという助成金ではありませんが、新たな挑戦をしようと考えている中小企業にとっては、検討するに値する助成金ではないかと思います。ここでは、中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金の概要や支給金額、受給要件、助成金の支給までの手続き、流れなどについてみていきます。

平成30年度の障害者雇用に関しての詳細はこちらから
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平成30年障害者雇用状況の集計結果からみた今後の障害者雇用とは

中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金の概要

中小企業における障害者の一層の雇入れ促進を図ることを目的とした助成金です。労働者数300人以下の事業主が、障害者の雇入れに係る計画を作成し、この計画に基づき障害者を10人以上雇用して、障害者の雇入れに必要な事業所の施設・設備等の設置・整備をした場合に、その該当施設・設備等の設置等にかかる費用に対して助成が行なわれます。

中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金の支給金額

対象労働者の人数と施設や設備などの設置・整備にかかった費用に応じて、下表の額を支給されます。

出所:中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金のご案内

・事業主の希望により、それぞれ下段( )内の支給額を選択することもできます。
(下段は、支給の合計額は少なくなりますが、第1期の支給額が多いことが特徴です)
・支給額は、受給資格認定時の対象労働者の雇入れ計画に基づく支給額を上限とします。
実際に雇い入れた対象労働者数が計画数を上回った場合でも、支給額は変更しません。
実際に雇い入れた対象労働者数が計画数を下回った場合は、実際に雇い入れた人数に応じた額となります。
・各支給対象期の末日の時点で、雇用している対象労働者が10人を下回る場合は、その支給対象期以降は支給されません。

中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金の主な受給要件

受給するためには、次の要件をすべて満たすことが必要になります。

(1)支給申請時点で雇用する常用労働者数が300人以下の事業主であること
(2)重度身体障害者、知的障害者、精神障害者を受給資格が認定された日の翌日から6か月以内に10人以上雇い入れること。
(3)受給資格認定日の翌日から6か月以内に雇い入れた対象労働者を継続して雇用するために必要な施設等を設置すること。
設置・整備に要する費用は、契約1件あたり20万円以上で、合計額が3,000万円以上であるものに限ります。
(4)事業に着手する前に、対象労働者の雇入れと施設設置等を行うことに関する計画をハローワークに提出し、受給資格認定を受けること。
(5)支給申請の時点において、当該事業所に雇用される常用労働者の数に占める、対象労働者である常用労働者の数の割合が、10分の2以上である事業主であること。

このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件があります。
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雇用関係助成金共通の要件

中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金の支給までの手続き、流れ

金額の大きな助成金なので、一般的な助成金のように申請をすればもらえるというものではなく、事前に管轄の労働局に受給資格の認定申請を行い、認定を受ける必要があります。また、事業計画を提出して、それが労働局で審査されます。

受給資格の認定申請

助成金を受給しようとする事業主は、事業計画に着手する前に、管轄の労働局に対して、受給資格の認定申請を行い、認定を受ける必要があります。この事業計画には、対象労働者の雇入れや設置・整備対象事業所における工事等の発注、契約、支払等を行うこと(施設の設計図や仕様書などの作成は除く)が含まれます。受給資格認定日前に着手した場合は、支給対象外となりますので、十分注意してください。

申請に際しては、受給資格認定申請書と一緒に事業計画書を提出します。
計画書の記載内容には、次のようなものが含まれます。
・事業概要
・建設・設備等計画
・収益計画表
・対象労働者に係る雇用管理の方法
・地域における障害者の雇用の促進に資する取組
・労働者の雇入れ計画

【申請期間】7月16日~9月15日、または1月16日~3月15日

労働局で申請内容を審査(受給資格認定の可否を連絡)

受給資格認定日の翌日から起算して6カ月以内に 対象労働者の雇入れ及び施設等の設置・整備を実施します。

支給対象期は、対象労働者の雇入れが完了した日、または施設・設備等の設置・整備が完
了した日のうち、遅い方の日を「起算日」として、その日から6カ月間が「第1期支給対象期」、以後次の1年ごとの期間が「第2期支給対象期」「第3期支給対象期」となります。

支給申請

支給申請は、それぞれの支給対象期の末日の翌日から起算して2カ月以内に、以下の書類を添付して、管轄労働局に提出します。

①支給申請書
②支給対象事業施設等に係る実績明細書(第1期支給対象期のみ提出)
③支払内訳明細書(第1期支給対象期のみ提出)
④対象労働者名簿

計画の実施状況報告

助成金を受給した事業主は、第1期支給申請期の支給決定日から3年間、決算の都度、事業計画の実施状況を労働局へ報告することが必要となります。

受給資格認定の審査基準とは

審査基準に基づいて、受給資格認定申請書、事業計画書の内容について審査が行なわれます。

事業の安定性

以下の全ての要件を満たし、事業を的確に遂行する能力があるかが見られます。
・基準資産額(繰延資産、営業権を除く資産の総額から負債の総額を控除した額)が、負債の総額の7分の1以上であること
・事業資金として自己名義の現金・預金の額が、労働者数(事業計画上の対象労働者雇入れ後の人数)を10万倍した額以上であること

また、「生産及び受注計画」「資金調達・借入返済の計画」について、資金計画、収益等の計画が妥当で、収益の実績等も勘案して、事業の安定性が見込まれるかについて審査されます。

施設・設備の妥当性

助成対象の施設・設備は、以下の点から妥当と評価できるかが判断されます。
・障害者の移動や雇用継続のための配慮や工夫がされているか。
・施設・設備の内容が、対象労働者の障害特性や職務内容等と照らして妥当なものとなっているか。
・期間内での設置・整備についての終了見込みは適切といえるか。
助成対象として不適当な施設・設備についての経費が含まれている場合は、この経費分を除外して対象経費を算定し直すことになります。その結果、算定経費の額が3,000万円を下回る場合は支給対象となりません。

【支給対象となる施設・設備等について】
以下の全てを満たすことが必要になります。
(1)雇い入れた対象労働者を継続して雇用するために必要な次の①~④のいずれかの施設・設備であること
① 作業施設(対象労働者が作業を行う施設)
② 管理施設(事業を管理するための施設で、①とあわせて設置するものに限る)
③ 福祉施設(住宅、保健施設、給食施設等で、①とあわせて設置するものに限る)
④ 上記①~③の施設の目的を達成するための設備または備品(通勤用を除く)
(2)対象労働者を雇い入れる事業主自らが所有するものであること(賃借によるものを除く)
(3)設置・整備が、受給資格認定日の翌日から6カ月以内に行われるものであること
(4)設置・整備に要する費用が、1契約当たり20万円以上、合計額が3,000万円以上であること

適切な雇用管理

障害者の雇用管理についての計画は、以下の点から適切なものと評価できるかが見られます。
・障害者の業務内容や、勤務時間・日数、賃金等の労働条件(採用後の処遇を含む)が適切に設定されており、障害者が自立して生活できるようなものとなっているか。
・障害者が業務を行うに当たっての支援体制(例:指導者、援助者、介助者等の選定等)が適切に整備されているか。
・働き続けるために必要な生活面への配慮(例:連絡網、相談員配置、外部の支援機関・医療機関との連携等)がされているか。
・労働者の離職状況等から、雇用管理が適切に図られているといえる状況にあるか。
・事業所内の他の労働者に対して障害者雇用に関する理解促進を図るなど、障害者の円滑な就業に対する配慮がされているか。
・障害者がキャリアアップするための能力開発や研修等に関する取組がされているか。

地域における障害者雇用の促進への貢献

地域における障害者の雇用促進に資する取組となっているかも審査に含まれます。
・他の事業主に対する雇用管理のノウハウの提供
・障害者、保護者、福祉施設等に対する意識の啓発、就業体験の場の提供
・ハローワーク、労働局、地方自治体を含めた障害者就労支援機関への協力、連携
・雇入れ・施設設置等完了以後の障害者雇用の拡大見込み

参考:中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金のご案内

※ 助成金を受給しようとする事業主は、事業計画に着手する前に、管轄の労働局へ受給資格の認定申請を行い、認定を受ける必要があります。詳細は都道府県労働局またはハローワークに問い合わせてください。

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