障害者雇用におけるストレスチェック~実施方法と留意点~

障害者雇用におけるストレスチェック~実施方法と留意点~

2017年10月8日 | 企業の障害者雇用

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近年の社会情勢、労働環境の急激な変化に伴い、多くの働く人が仕事や職業生活に強い不安やストレスを感じているといわれています。そのため平成27 年12 月1 日からストレスチェック制度が導入されました。

ストレスチェック制度は、労働者が50人以上の事業所で義務づけられています。実際にストレスチェックをどのように実施すればよいのか、また気をつけるべき点について見ていきましょう。

ストレスチェック制度とは

平成27 年12 月1 日に導入されたストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について医師、保健師等によるストレスチェックを行うことによって、労働者本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることを目的としています。

また、ストレスチェックの検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげたり、ストレス要因を低減させることにつなげようとしています。

そして、近年増えているメンタル不調のリスクの高い労働者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることによって、早期の発見、サポートができる体制をつくることも目指しています。

ストレスチェックの実施に際し、厚生労働省からは「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成27 年4月15 日、改正 平成27 年11 月30 日)が策定されています。

「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」
出所:厚生労働省

対象となる事業所

ストレスチェック制度は、労働者数が50 人以上の事業所で実施が義務付けられています。

50 人未満の事業所では当分の間努力義務です。小規模事業場でも取り組むことが望ましく、その際には法令・指針を遵守することとされています。

対象となる労働者

常時勤務している労働者が対象となります。通常の労働者(正社員)はもちろん、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の対象となっている非正規労働者(パートタイム労働者、契約社員、嘱託再雇用者等)、障害者社員も含めて、ストレスチェックの対象となります。
 
具体的には、以下の要件をいずれも満たす者が対象となります。

①期間の定めのない労働契約で使用される者(契約期間が1年以上の者ならびに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されている者を含む)

②週の所定労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。(派遣労働者は、雇用関係がある派遣元事業主(派遣会社)において実施。)

労働者の受検の自由

ストレスチェックは、すべての労働者が受けることが望ましいのですが、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きい等の特別の理由がある労働者にまで受検を強要する必要はないと考えられていることから、事業者は労働者に受検を義務付けることはできません。

なお、事業者が、実施者からストレスチェックの受検者のリストを入手して、受検をしていない労働者に対して、ストレスチェックの受検を勧めることは可能です。

ストレスチェックの実施

ストレスチェックの実施手順

ストレスチェックを実施するには、導入前の準備から、実施、結果の通知、希望者からの面接指導などが含まれます。

大きな流れは、以下の図のとおりですが、1つずつ見ていくことにしましょう。

stress-check

出所:東京都労働相談情報センター

【1】導入前の準備(実施方法など社内ルールの策定)

事業者が、労働者に対し、ストレスチェック制度の目的や情報の取扱について事前に十分説明し、労働者の理解を得ることが重要です。ストレスチェックの実施にあたっては、事業者はストレスチェック制度に関する基本方針を表明した上で、ストレスチェック制度の実施体制、実施方法などについて、衛生委員会等で審議を行います。

なお、ストレスチェックは、1年以内ごとに1回以上、定期的に実施します。

【2】質問票の配布・記入

ストレスチェックでチェックすべき項目は、以下の3点です。

①職場における労働者の心理的な負担の原因
②労働者の心理的負担による心身の自覚症状
③職場における他の労働者による当該労働者への支援

実際に用いる調査票は「職業性ストレス簡易調査票」(57 項目)を用いることが推奨されています。

職業性ストレスチェック簡易調査票(57項目)
出所:厚生労働省

ストレスチェックは、 調査票(紙)によることを基本としています。パソコンで行うこともできますが、個人情報の保護や改ざんの防止(セキュリティの確保)のための仕組みが整っており、個人の検査結果の保存が適切になされ、実施者以外は閲覧できないようにされていることが必要です。
 
一般健康診断とあわせてストレスチェックを実施する場合には、一般健康診断の問診票と、ストレスチェックの質問票とを別に設けて、区別して管理すること必要です。

【3】ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定

ストレスチェックの実施者は、「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が高い者、「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者を、面接指導の対象となる高ストレス者としてピックアップして、労働者に面接指導の申出をするよう勧めることができます。

【4】本人に結果を通知

ストレスチェックの結果は、ストレスチェックの実施者から直接労働者本人に通知されます。実施者は、ストレスへの気づきを促すため、個人のストレスプロフィールをレーダーチャートで出力して示すなど分かりやすい方法で通知を行うこととされています(5頁参照)。その際、労働者によるセルフケアに関する助言・指導、面接指導の対象者には事業者への面接指導の申し出窓口や申し出方法、面接指導の申し出以外のストレスチェック結果について相談できる窓口についても情報提供を行います。

【5】本人から面接指導の申出

高ストレス者とされた労働者は、事業者に医師の面接指導を受けるための申出をすることができます。医師の面接指導の申し出をした労働者は、ストレスチェックの結果を事業者に通知することに同意したものとして扱われます。

【6】〜【8】医師による面接指導の実施、就業上の措置の要否・内容について医師から意見聴取、就業上の措置と実施

申出を受けた事業者は医師へ面接指導の実施を依頼し、医師による面接指導の結果を意見聴取して、必要に応じて就業上の措置を実施しなければなりません。医師の判断としては以下の表にあるものが考えられます。

2

【9】〜【10】個人の結果を一定規模のまとまりの集団ごとに集計・分析、職場環境の改善

ストレスチェックの結果を職場環境の改善に活かすためには、労働者本人に対して結果を通知することのみならず、集団的な分析を行うことが重要です。そのため事業者は、実施者にストレスチェックの結果を一定規模の集団毎に集計・分析させると共に、その結果を勘案し、必要があると認めるときには、その集団の労働者の実情を考慮して、労働者の心理的な負担を軽減させるための適切な措置(職場環境の改善)を講ずるよう努めなければなりません。

出所:ストレスチェック制度簡単導入マニュアル(厚生労働省)

ストレスチェックの実施者

ストレスチェックは、医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士が実施者になります。事業者が実施者となることはできません。実施者は、チェック項目の選定、評価基準の設定・選定、個人の結果の評価(ストレスチェック結果の点検、確認、面接指導対象者の選定等)を行います。実施者には守秘義務が課されます。

産業医の選定されている事業場では産業医が関与することが望ましいのですが、必ずしも産業医が実施しなければならない訳ではありません。外部機関にストレスチェックや面接指導を委託する場合には、委託先がこれらを適切に実施できる体制を整え、情報管理も適切に行われる体制が整備されていることを、事前に確認することが望まれます。

実施者は労働者の同意なしにストレスチェックの結果を事業者に提供してはなりません。この同意は、ストレスチェックの結果を労働者が受け取ってから、取得することとされています。ストレスチェック実施前、実施時に取得することはできません。また、同意しない旨の申出がない限り、同意したものとみなすという扱いもできません。



ストレスチェックの留意点

プライバシーの保護

ストレスチェックの検査の結果は、個人情報を含みますので、プライバシーの保護に気をつける必要があります。

検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。

事業者は、ストレスチェック結果の提供について、結果通知後に個別に労働者から同意を取得しなければなりません。(ストレスチェックの実施前または実施時に労働者の同意を取得してはなりません。)

また、事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェックの結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、上司や同僚等に共有してはなりません。

事業者は、実施者にストレスチェックの結果を労働者に通知させるに当たっては、封書または電子メール等で当該労働者に直接通知させる等、結果を当該労働者以外が把握できない方法で通知させるようにしましょう。

ストレスチェックの結果の記録・保存

事業者は、ストレスチェックを受けた労働者の同意を得て、実施者から提供を受けたストレスチェックの結果について記録を作成し、これを5年間は保存しなければなりません。記録の保存にあたっては、保存場所の指定、保存期間の設定、セキュリティの確保などを行う必要があります。

不利益な取扱いの禁止

労働者がストレスチェックを受検しないこと、ストレスチェックの結果を事業者に提供することに同意しないこと、医師による面接指導を事業主に申し出たこと、高ストレス者として面接指導の要件を満たしているにも関わらず面接指導の申し出をしないこと等を理由とする不利益取り扱いは禁止されています。

これらを理由とする懲戒処分、解雇、雇止め、退職勧奨、不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更等が禁止されています。

まとめ

企業で行なうストレスチェック実施方法と気をつけることについて説明してきました。ストレスチェック制度は、労働者数が50 人以上の事業所で実施が義務付けられています。

ストレスチェックを実施するには、導入前の準備から、実施、結果の通知、希望者からの面接指導などが含まれます。それなりの準備がありますので、十分余裕をもって準備して下さい。

ストレスチェックの目的は、定期的に労働者のストレスの状況について医師、保健師等によるストレスチェックを行うことによって、労働者本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることです。このストレスチェックの機会を活用して、労働者の意識を啓発しつつ、社内にメンタル不調者がでないような職場づくりをしていきましょう。

参考

メンタルヘルス不調者への休職から職場復帰までのステップ

職場におけるメンタルヘルス不調者の休職から職場復帰

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